侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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学園にて、招かざる珍客

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 学園に通うようになって数ヶ月が経った。

 今日は王妃様とお茶会があり、マデリーンも招待されていて一緒に帰る時のことだった。


「数人の令嬢が一気に謹慎処分って何かあったのかしら?」

 先日の王宮での悪口が色んな人の耳に届いたようだ。


「マデリーンに言ってなかったんだけど……実は王宮でね、品位に欠ける言動があったからそれぞれの家の人の耳に届いたみたい。王宮は色んなところに人の目があるから、気をつけないといけないわよね」


 にこりと笑うリリアン。

 侯爵家と王家を侮辱するように笑っていたのを周りが聞いていた。

 その時の事が噂になり今回の謹慎処分となった。と聞いた。


 令嬢たちの親は侯爵家うちに謝罪に来たらしいが父や兄は知らぬ存ぜぬの一点張り。追い返したのだそう。

 だって私はお父様にもお兄様にも報告していませんもの。

 噂が先走りしたのね! 

 それでも噂が事実ならば……どうするのかな? と兄様は笑って言ったのだそう。


 私も令嬢達の家の人にお会いしていないから、こうする他なかったのでしょう。

 文句があるのなら彼女達は私に直接言ってくれれば良かったのに。そうしたらここまで大袈裟には……うん。なっていたわね。


「口は災いの元って事ね」


「時と場所を選ばないと。殿下やお兄様、キリアン様を悪く言われたくないわ。私も強くならなきゃ」


「貴族社会で女性が生き抜いていくには大事よね」 


 社交界では如実にヒエラルキーが存在する。学園では生徒として許されても、社交界では許されないし更に家自体の評判にも関わる事になる。


「交友関係を広めるために学園に通っているのだもの。貴族社会は繋がりがものを言うと幼い頃から習ってきているでしょうに」

 貴族の子供達は幼い頃から厳しく教育されているはず。幼い子供ならまだしも、社交界に出ると大人扱いなのに。幼稚な事を王宮でしたのだから当然ね。


「あら、頼もしいわね」


「リックと婚約すると言うことはそういうことなのよ。言動を一から見直しをしているの。反省の毎日なの」


「殿下は喜んでいるでしょうね。リリーがこんなに成長して……」

 なんだろう。親戚のおばさまが、大きくなったわねぇ。という目で見てくる時のような顔つきだわ!


「最近リックが優しいの……それに自分から攻撃? を仕掛けない限りは正当防衛になるし、少しは反撃をしないと王宮のような場所では生きていけないもの。強かさが重要なんですって」

「成長しましたのね、リリー……驚いたわ」

 マデリーンったらまた! その目つき……

「王妃様が苦労されたようでお話を聞いて私も励まされたの」


 そんなことを言いながら、校舎からちょうど出ようとした時だった。







「ちょっと!」

 ばーーん! と仁王立ちで現れた派手な女性。クラウディア王女……だった。


 名目上、大恋愛の上結婚したとか? 言われている。今では元王女様ね。


「何か言ったらどうなの!」


 この王女様は気品も何もあったものではないわね……それに少し前よりも美貌に翳りが?


「お久しぶりでございます。クラウディア王女様」

 淑女の礼をすると、はぁっ? っと明らかに機嫌が悪くなった。


ですって! 貴女のせいで私はこんな目に遭っているのに!」


 憎たらしいものを見る目つきだわ。

「まぁ! どのような目に遭っておられますの? 勉強不足で存じ上げませんでした……恥ずかしい限りですわ」


「ふん! 王宮から追い出されて、好きでもない男と結婚させられて、地位もなくなり貧乏暮らしよっ」

 他に生徒がたくさんいるのに恥ずかしくないのかしら? 私は恥ずかしい。


「まぁ。苦労なさっていますのね……」

 口に手を当ててしおらしく答えた。それを見て激昂する元王女。

「フレデリック様を返してちょうだい! 私が嫁ぐ予定だったのよ! この泥棒猫!」

 元王女が掴みかかろうとしたところ、漸く学園の警備が走ってきた。

 警備が私とマデリーンの前に立った。


「少しお話をさせてください。周りの生徒をこちらに近づけないでくださると助かります」


 聞かれたくない話もあるだろう。でもこれでこの元王女と会うのはおそらく最後になるから話だけでもしておきたい。少し恨みもある。

王女様、ここは人が多いので少し場所を変えますわよ。みんなの迷惑ですもの」

 “貴女の存在が”  

 ボソッと聞こえないように言ったら、マデリーンは驚きながらも笑っていた。


 人払いをしたところで王女はギャンギャンとまた騒ぎ立てる。正直言って品位のかけらもない。優雅さ優美さどれも王族としてふさわしくない。

 初めて王女様としてお会いした時は、美しい人だと思ったのに。


「言いたい事はそれだけですか?」

「はぁっ?! 生意気な! 貴女のようなお子様にフレデリック様は渡せないわ!」



「貴女の許可はいりませんもの。それよりもどうやってこの学園に来たのですか?」


「どうやってって、それは……」

 言い淀む元王女。きっと正規のルートではないのね。前回も入国許可なしだったと聞いたもの。

「密入国。という事ですか? わざわざ罪をおかしてまで、わたくしに文句を言いにご足労様です」

 リリアンは頭を下げた。

「なによ! 生意気ね」


「わたくしも貴女様に言いたいことがございましたからちょうどいい機会でしたわ」


「なによっ!」

 目を釣り上げる元王女。鬼気迫る顔付きだけれど、まったくもって響かないわ。

「殿下との結婚式が決まった事を報告致しますわ」


「その前にぶち壊してやるわよ! またあの男を使うわ!」


 あの男……私を人形と言ったマテス伯爵。想像するとゾクっとしたけれど


「元王女様はご存じないようですけれど、あの方はアザリア王国へ足を踏み入れる事は出来ません。そして貴女もです。言っている意味がわかりますか?」


「貴女が……入国を制限していたの! どんな権限があって、」

 私にそんな権限があるわけないのに……考えて行動をしない方らしいわ。


「貴女の罪はあの男の罪になるのです。それは貴女の父であるシバ王国の国王が決めた事でしたわね」

「それが何? この国で起きた事は国に戻るとチャラ、貴族ですものっ!」

 この人、すこし頭が残念な方のようね……


「密入国の罪は重いですわよ。それに貴女方はわたくしに接触してはいけない。と決まっていますでしょう?」


 前回の事件以来、私と接触してはいけない。と書面に書かれていた。それを破ったのだ。だから私は強気に出られた。


「聞いていましたか? こちらの方は密入国で、国との約束を破ってしまわれました」

 警備に目を向けると返事が返ってきた。

「「「はっ!」」」


 学園の警備が、王宮に連絡をしたようで、すぐに元王女は捕まり牢に入れられた。

 国へ強制的に返されるけれどその先は……シバ国王に委ねることになった。














 


 
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