侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

文字の大きさ
57 / 65

悪役令嬢にはなれないけれど、強かに生きていきます

しおりを挟む


「クラウディア殿がリリに……やはり学園は私の目に届かない。危険じゃないかっ!」


 このままでは学園に通えなくなる。フレデリックが怒っている。落ち着かせなくてはいけない。


「思ったよりも、怖くなかったの。それにちょっとスッキリわ。前回の事件を引きずっていて心が弱くなっていたみたいだけど、元王女様と対峙してみたら、意外となんて事なかったのよ」


 これは元王女だからだと思う。もしあの男が私の目の前に来たらと思うとゾッとするし恐ろしくて何も出来なかったと思う。でもアザリア王国へ入る事は出来ないし、私には接触不可。


 もし私の近くに来ることがあってもその場での抜刀が許可されていると聞いた。その時は護衛にお任せしましょう。


 聞くところによるとあの男の今の立場では、爵位を守ることに必死だと思うから全てを捨て、命懸けで私に会いに来る事はないと思う(多分)



「……リリは凛としていて美しかったとマデリーン嬢に聞いた」


 またマデリーンは話を盛って……


「少しやり返したかったの! だってリックを返せとか言うんだもの」


 これも王妃様のおかげだと思う。立場ある者は冷静に。でも言わなくてはいけない事は言う。泣き寝入りをするとそこを突かれてしまう事がある。

 私の見た目はおとなしそうに見えるから、攻撃されやすいのだと王妃様もマデリーンも言った。

 少し反撃するだけでも、私の立場からしたら相手は処罰の対象になるからやり過ぎないように。と言われた。


「……心配だけど、リリの戦い方を見つけたようだね」


「うん。悪役令嬢は無理だから、強かに生きることにしたわ!」


 やっと気づいた……悪役なんて無理だったわ。


「……それは応援するとしよう。母も苦労した分リリにはそうなって欲しくないんだろうね。女性同士でしか分からない部分もあるのだろうから。でも何かあったらすぐに相談してほしい」


 理解してくれて、良かった! 元王女と対峙して少しはトラウマから脱出できたような気がした。

 それといつまでもフレデリックに甘えているわけにはいかない。

 執務も忙しいのに寝る時間を合わせてくれ、無理をさせている。
 

「兄様からあの時の事を聞いたの」


 フレデリックにはなんとなく聞き辛くて事後処理の事を先日兄様に聞いた。


 知らなくてもいい。と言われたけれど気になったし、学園に登校するようになり日常を取り戻し、少し落ち着いてきたところだった。

 それにそろそろ家に戻ろうと思っている。


「……聞いたのか。無理して知る事はないと思っていた」


「それもあったから元王女と話をしようと思ったの」

 知らなかったら、きっと怖くて逃げていた。そして学園で無様な姿を見せていたかもしれない。聞いて良かったのだと思う。


「それでね、そろそろ家に戻ろうと思うの。リックの執務にも影響しているだろうし、結婚式も決まったし家族と過ごしたいと思っているの」


 言い切った後にフレデリックを見ると目を見開き驚いた顔をしていた。


「ダメだよ! リリは私がいないと眠れないじゃないか。寝不足になる! ……まさかシルヴァン殿と……」



 兄様にも迷惑はかけられないわね。でも兄様は家族だから問題無いでしょうに?


「最近うなされなくなったし、お医者様も精神的に落ち着いてきたから、日常を取り戻すためにも家に帰ってもいいと仰ったもの」


「…………」


「それに王妃様にも週3回は王宮に来ると言う事で了承を得ましたよ」


「たった3回……」


「リック? どうしたの」


「やってみるがいい……リリはすぐに私の温もりが忘れられなくて戻ってくることになるから!」





******



 その結果


「ダメだ……眠れない。リリがいないと……きっとリリもそう思っているに違いない」


 翌日寝不足のまま執務にも取り組むフレデリック。ついあくびが漏れる。


「おや? 殿下どうされたのですか?」

 シルヴァンに言われる。会議中あくびをしていたのを見られたらしい。

「少し眠りが浅かっただけです。リリの様子はどうですか?」


 リリは寂しがっていないだろうか。朝起きて私の顔を見てホッとするリリの顔が恋しい。


「よく眠れたようで朝から家族で食事をとり、学園に向かいましたよ。ようやく日常を取り戻せたようです」


 ……リリめ! 薄情な女だ。




 それからしばらくして、リリアンは1人寝で苦労することもなく日常を取り戻した。


「リリーおはよう!」

「マデリーンおはよう!」


「もうすっかり家から通っているのね」


「うん。家に戻ってもリックがいなくて不安になることもあったの。でも乗り越えたわ!」

「体が丈夫なのは知っていたけれど心も丈夫なのね。うーん。図太い? のね!


 マデリーンはコロコロと笑い出した。


「そこしか取り柄がないもの! でもリックは寝てないのかも。眠たくなるまで仕事をして仮眠を取っているみたいなのよ」

 少し申し訳なさそうに眉を下げるリリアン


「リリーの事を抱き枕か何かと思っていたのかしら?」

 抱き枕……枕が変わると寝れないタチなのかもしれないわね。


「あと一年少しの我慢よ。よく考えたらリックと結婚するしか道がなかったと思ったら、ちょっとだけ嫌がらせをしたくなったの」


 フレデリックのことはかけがえのない存在だけど、今しか出来ないもの。

 
「嫌がらせなの? お仕置きじゃないの!」


「私のためでもあるのよ! ずっと一緒にいたら頼りっぱなしになるから、良くないと思って。お互いに今しか自由がないんだし」


 ふふっと2人で笑った。







 その後、リリアンとの結婚式までの間フレデリックの寝不足は続くのであった。


【本編完】


 一旦【本編完】となりますが、フレデリックサイドの話を数話更新します。


 



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります

なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。  忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。  「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」 「白い結婚ですか?」 「実は俺には……他に愛する女性がいる」   それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。 私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた ――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。 ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。 「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」 アロルド、貴方は何を言い出すの? なにを言っているか、分かっているの? 「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」 私の答えは決まっていた。 受け入れられるはずがない。  自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。    ◇◇◇ 設定はゆるめです。 とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。 もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう

楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。 目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。 「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」 さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。 アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。 「これは、焼却処分が妥当ですわね」 だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

婚約破棄された幼い公爵令嬢、目覚めたら絶世の美女でした

鍛高譚
恋愛
『幼すぎる』と婚約破棄された公爵令嬢ですが、意識不明から目覚めたら絶世の美女になっていました 幼すぎる、頼りない――そんな理由で婚約者に見限られた公爵令嬢シルフィーネ。 心ない言葉に傷ついた彼女は、事故に遭い意識不明となってしまう。 しかし一年後、彼女は奇跡的に目を覚ます。 そして目覚めた彼女は――かつての面影を残しつつも、見る者すべてを惹きつける絶世の美女へと変貌を遂げていた! 周囲の反応は一変。婚約破棄を後悔する元婚約者、熱視線を送る他家の令息たち、さらには王太子からの突然の縁談まで舞い込み――? 「もう、誰にも傷つけられたくない。私は私の幸せを手に入れるの」 これは、冷たく突き放された少女が美しく咲き誇り、誇りと自由を手に入れる、ざまぁ&逆転恋愛劇。

隠れ蓑婚約者 ~了解です。貴方が王女殿下に相応しい地位を得るまで、ご協力申し上げます~

夏笆(なつは)
恋愛
 ロブレス侯爵家のフィロメナの婚約者は、魔法騎士としてその名を馳せる公爵家の三男ベルトラン・カルビノ。  ふたりの婚約が整ってすぐ、フィロメナは王女マリルーより、自身とベルトランは昔からの恋仲だと打ち明けられる。 『ベルトランはね、あたくしに相応しい爵位を得ようと必死なのよ。でも時間がかかるでしょう?だからその間、隠れ蓑としての婚約者、よろしくね』  可愛い見た目に反するフィロメナを貶める言葉に衝撃を受けるも、フィロメナはベルトランにも確認をしようとして、機先を制するように『マリルー王女の警護があるので、君と夜会に行くことは出来ない。今後についても、マリルー王女の警護を優先する』と言われてしまう。  更に『俺が同行できない夜会には、出席しないでくれ』と言われ、その後に王女マリルーより『ベルトランがごめんなさいね。夜会で貴女と遭遇してしまったら、あたくしの気持ちが落ち着かないだろうって配慮なの』と聞かされ、自由にしようと決意する。 『俺が同行出来ない夜会には、出席しないでくれと言った』 『そんなのいつもじゃない!そんなことしていたら、若さが逃げちゃうわ!』  夜会の出席を巡ってベルトランと口論になるも、フィロメナにはどうしても夜会に行きたい理由があった。  それは、ベルトランと婚約破棄をしてもひとりで生きていけるよう、靴の事業を広めること。  そんな折、フィロメナは、ベルトランから、魔法騎士の特別訓練を受けることになったと聞かされる。  期間は一年。  厳しくはあるが、訓練を修了すればベルトランは伯爵位を得ることが出来、王女との婚姻も可能となる。  つまり、その時に婚約破棄されると理解したフィロメナは、会うことも出来ないと言われた訓練中の一年で、何とか自立しようと努力していくのだが、そもそもすべてがすれ違っていた・・・・・。  この物語は、互いにひと目で恋に落ちた筈のふたりが、言葉足らずや誤解、曲解を繰り返すうちに、とんでもないすれ違いを引き起こす、魔法騎士や魔獣も出て来るファンタジーです。  あらすじの内容と実際のお話では、順序が一致しない場合があります。    小説家になろうでも、掲載しています。 Hotランキング1位、ありがとうございます。

旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう

おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。 本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。 初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。 翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス…… (※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)

処理中です...