侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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フレデリック

木の上から見る景色

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「わぁ! おいしい」

 にこにことお菓子を頬張るリリアン。足が届かない椅子に座りブラブラと足を揺らしている。飾らないところも可愛い。周りのメイド達もほっこりしているようだ。


「あ! ネコちゃんが木の上に!」

 ネコを見つけて指を差す。

「あ、本当だ。よく見つけたね」

「木の上から見る景色ってどうなんだろう……気持ちいいのかなぁ」


 もぐもぐとお菓子を食べながらリリアンは言った。


「登ってみる?」

 なんとなく言ってみた。女の子は木登りなんてしないよな。

「え! 怖いし、怒られてしまいます」

「そうだね。怖いよね。でも登り切ったあとに見る景色は格別だろうね」

 さてリリアンはどうでるかな?

「リリにも登れるかな……」

 うーーん。と考える仕草は一丁前というか、表情がコロコロと変わる。

「僕が先に登るから真似してみて」

 この木は低いから大丈夫だろう。怪我しないようにと護衛にも頼み、腕まくりをした。

 低い木だからすぐに僕は登り終えた。この木はよく登っているし練習用と言っても過言ではない。

 さぁ、リリアンはどう出るかな?

 するとふん。っと言った感じで腰に手をやって木の上にいる僕を見た。


「よいしょっ、よいっしょ」

 ハラハラしながら護衛は何かあっても怪我をしないようにと、下から支えようとしていたが、リリアンは驚くことに登り終えてしまった。すごいな! 女の子なのに!


「ネコちゃん……いなくなっちゃったぁ」


 リリアンが登り始めた頃にネコは下に降りてしまった。もう、姿はない。


「ほら、みてごらん。いつもと景色が違うよ」

「わぁ。ほんとうだ! 向日葵よりも高いところにいる!」


 にこにこと木を登り終えたのが嬉しかったのか上機嫌だ。

 すると下から護衛に声をかけられた。

「殿下そろそろ降りてください! 私たちの首が飛びますよぉ」

 はらはらと周りが心配そうに見ていた。バレると面倒だ。



「リリアン嬢そろそろ下に降りようか」

「うん」

 と言ったが、降りようと下を見て顔が真っ青になって足を震わせるリリアン。

「どうした?」

「怖いよぉ」

 そう言って泣き出してしまった。登るより降りる方が怖いのか。大人の身長よりも高いところに立っているからなぁ……


「大丈夫だよ」


 護衛に手伝ってもらいリリアンを降ろしてもらった。僕はそのまま飛び降りた。

 着地も成功。リリアンはそれを見て涙が止まった。


「すごい! お猿さんみたい。かっこいいです」

 ガクッと肩の力が抜けたけれど、泣き止んだからいっか。それにしても猿って……もっといい例えがないのか?


 木に登った事は内緒だよとリリアンに言った。


「うん。怖かったけど楽しかった。内緒にしたらまた登ってもいい?」


 護衛は思いっきり首を横に振っていたが、僕は

「内緒にできたらね」

 と言ってハンカチを出して涙を拭いた。

 
 侯爵が言う通り泣き虫だけど、その後に笑う顔は頭から離れないほど可愛い。


 それから数年、何度か木に登り木の高さが高くなる。僕の見せたい風景のある少し高い木に登っているとついにバレてしまった。

 護衛の数が多いのか、執事のいい加減にしなさい! と言う声が大きかったのか……




「リリー! 女の子が木に登るなんて! 殿下も危ないでしょう! 怪我をしたらどうするのですか!」

 侯爵に怒られリリは大泣きしていた。

「申し訳ございませんでした」

 

「リリー! なぜ木に登ったんだ! 説明しなさい」


「ネコちゃんと同じ景色が見たかったの。ひっくひっく。ごめんなさい」


 ネコは初めて登った木のことで、今回は見せたい景色があったからなんだけどね。ここから見る王都の街は美しいから。リリとずっと見ていたいと思った。


「侯爵すみませんでした。僕が悪いので、リリを怒らないでやってください」


 母も出てきて侯爵に謝ったり泣いているリリを慰めたりしていた。母は最後までリリの味方をしていて、侯爵も何も言えなくなり、最後に一言


「……リリーは明日から部屋で謹慎とする」


 リリアンは泣きながらも受け入れていたけれど、母がなら今のうちに美味しいものを食べましょう! と言ってリリアンにお菓子を振る舞っていた。


「王妃様は甘いですよ!」

 と侯爵に言われても母は

「元気で健康が1番よ。たまには息抜きをしないとね」

 と笑っていた。そして


「フレデリックはリリーちゃんと遊んでいると子供らしいのよ。親としては嬉しい限りだからリリーちゃんには感謝しているのよ」


 と言われて少し恥ずかしかったけれど、母はそう言う風に見てくれるんだと少し嬉しかった。


 この頃はまだ良かったけれど、僕は体があまり丈夫ではなかったようですぐに寝込んでしまっていたから、情けないと陰で言われていた。剣術を習い始めてから少しずつ体力がついてきた。


 リリは元気で明るくて負けず嫌いですぐ泣くけれど、太陽みたいな子だから一緒にいると元気になれた。





 


 それから私が留学して戻ってきてリリと再会した時に思い出が全く違っていたのは今では笑い話だ……





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