侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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フレデリック

波乱の留学

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 留学に行くことになった。

「リリ、しばらく会えなくなるから寂しいよ。僕のこと忘れないでね」


 リリアンの手をぎゅっと繋いだ。

「すぐ帰ってくる?」

 キョトンとしたリリアンの顔。すぐ帰ってくると答えられないから笑って誤魔化した。


「リリ、ちょっといい?」

 リリアンの手を繋いだまま、あの木のある場所に向かった。

「よし、今なら行ける!」

 木登りは怒られるから、梯子を持ってきた。

「リリ先に登って!」


「え? うん、でもまた怒られるよ」

「責任は取るから、早く!」


 これが最後だろうと言うことで、護衛は内緒にしてくれるそうだ。その代わり誰か来たらすぐに降りるようにと約束した。


「わぁ。すごい」


 下で護衛がハラハラしている。見張りもこちらを注視していた。


「僕はしばらくこの風景が見れなくなるから今日が見納め」


 ここが僕が知る限りの1番綺麗な風景だからリリアンとみたいと思った。

「リックがいなくてもリリは見れるから大丈夫だよ」

 ……そう言うことではない

「ずっとこの綺麗な街を守っていかなきゃいけないんだ」

「うん」

「それがリリと一緒だったら良いな。僕が帰ってくるまで待っててほしい」   


「うー、うん?」


 本人に婚約のことを話してはいけない約束だから言えない。


 君の事が好きだから待っていて。帰ってきたら婚約しようと伝えたいのに。


「覚えてて。さ、降りよう。僕が先に降りるからリリは後についてきて」

 一段ずつリリをだくようにして降りていく。梯子があれば便利だなと思ったが、支えている人がいないと危ないよな。見張っていた護衛に感謝をして最後の茶会だ。


「あれ、フレデリック、準備は良いのか?」


 従兄弟のキリアンに声をかけられてリリアンを背中に隠した。リリアンを見られたくない!

「あぁ、準備はできている」

「そうか、後ろに隠している子は、」

「じゃあなキリアン、また後で! 叔父上にも伝えてくれ」

 リリアンのブルーのドレスが見えたんだろう。こんなに可愛いリリアンだ。キリアンに見られたら取られてしまうかもしれない! 

 顔を見られてもどこの誰かを言わない限りしばらくは大丈夫だろうけれど、学園に入学すると顔を合わせることもあるだろう。


 従兄弟だから趣味が似る……なんて事はないよな。考えすぎだよな。






 それから留学中は、王子と言う立場かとてもモテた。学園でもモテたし、社交界でも注目を浴びた。

 しかし心を揺さぶるような女性は居なかった。やっぱりリリアンしか居ないと侯爵にも報告はしていたんだけど……


『フレデリック様! 私と婚約してくださいませ』

 シバ王国のクラウディア王女がしつこいのだ。


『申し訳ございません。私には心に決めた女性がいます。国へ戻ったら彼女と婚約をします』

 って何回言わせるんだ! あまりにもしつこいから国王陛下とクラウディア王女の兄でもあるアクセル王太子に断りを入れた。


『国に幼い頃から心に決めた相手が居ます。クラウディア王女の申し出は有難いのですがお断り致します』


『クラウディアに言い聞かせる。迷惑をかけて悪かった』

『クラウディアもしつこいやつだな! 諦めろと言っているのに』


 2人は理解してくれたようで助かった。


 ある日の夜、夜会に招待されていて疲れて帰ってきた時のこと。

 部屋に入るとなんとなくだけど微かに女性用の香水の香りがした。気のせいか……と着替えを済ませ、メイドを下げてベッドルームへと向かう。


「はぁ、疲れた」

 水を一杯飲むためにソファに腰掛けた。

 こんな時に思い出すのはリリアンの事。最近の写真を送ってきてもらい、リリアンの成長した姿を見る。屈託のない笑顔の写真と緊張した面持ちの家族写真だった。

 子供特有の丸みを帯びた顔ではなく少しシュッとした顔になって、幼さが残るが美しく成長していた。あぁ……早く帰りたい。


 ……あと1年の我慢だ。





『フレデリックさま』


 急に声をかけられ、


『誰だ!』


 殺気立ちベッドルームに置いてある剣を手に取ったが剣を構える前に、クラウディア王女である事が判明。


『クラウディア王女? なぜここに』

 ここは私の寝所だよな? 


 これは……ヤバいぞ! こんな姿を見られるわけにはいけない。メイドを下がらせてしまった!

『好きです、フレデリック様。私を抱いてください』


 ギュッと私に抱きついてくるクラウディア王女。なんと、夜着を脱ごうとしているではないか!


 もちろん私にそんな気はなくても、こんな姿を見られたら誤解されてしまう! 

 べりっとクラウディア王女を離して、すぐに扉を閉めてベルを鳴らし、メイドを呼び侍従を呼んでもらった! 

 このメイドは数分前に下がらせたばかりだから、何かあっても証人になるだろう! 


「殿下、一体なにが?」

 侍従が2人急いでやってきた。私は扉を閉めるので必死だった。


 メイドを含めて事情を話した。


「夜も更けていますが王太子殿下はまだ執務室におられる時間です。相談して参ります!」

 このメイドは他国の王族の世話係を任せられているだけあってしっかりしたもののようだ。褒美を与えなければいけない。それくらい優秀だし、助かる。



 それから間もなく救世主が現れた!


「フレデリック、話は聞いた」

 王太子のアクセルが急いで来てくれたようだ。

「アクセル! 頼むよ」

 アクセルの顔を見てホッとした。そして扉の向こうのクラウディア王女の引き取りを願った。



 そんな事があったから、寝る前は入念にベッドルームの確認をするようになった。



 しばらくはまたクラウディアが居るのではないかと毎夜神経を使った。ある意味怖い思いをした……




 そしてある事件があり、リリアンと添い寝をするようになった。ようやく心の安寧が得られるようになったのに!




 まさか家に帰るとは! 酷いじゃないか! もう1人寝は寂しい。薄情だ!


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