侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

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フレデリック

帰国へ。

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「フレデリックよく帰ってきた!」

「おかえりなさいフレデリック」

 まずは両親への挨拶だ。帰国祝いのパーティーを開くと言っていたがそれは断った。

 なぜって? 面倒だから。

 それに今後立太子するにあたりパーティーは必ずしなくてはいけないのだからその時にまとめてやって欲しいと言った。金もかかるし、何回も貴族たちを招集する形になってしまう。その時に婚約発表も出来たら尚良しだ!


 ようやく留学を終えて帰ってくる事ができたけど、クラウディア王女のせいで帰国が予定より伸びてしまった。その事によりリリアンの誕生日に間に合わなかった。

 侯爵に必死に頼んで、お披露目会の日にちをずらしてもらった。


 もうこの頃にはリリアンしかいないと言うことを侯爵にも理解してもらえた。遅れた理由ももちろん説明した。


『フレデリック殿下のお気持ちは十分理解しました。しかし娘はあなたの事を……いや、もうお任せしました』


 何かあったのだろうか? この時私は侯爵の言っている意味が分からなかったが、リリアンと会ってすぐに理解する事になる。

 それになんとなく婚約のことを言い風に言っておきます。とも言われた。


 私の事をよく思っていないとは! 私はこんなにリリアンの事を思っていたのに……相思相愛ではないようだ。

 

 久しぶりに生のリリアンを見た。相変わらず可憐で可愛らしく私の心を揺さぶった!


 しかしなんだろうか? 変な話し方をするし大人びたドレスを着ている。

 似合わないわけではないが、もっと似合うドレスがあるはずだ。


 話をしていると、なんだか話が噛み合わない。リリアンの友達のマデリーンが言っていた事はこの事なのか!

 早く誤解を解かなければならない! それに私はそんなにリリアンに意地悪をしていたのだろうか……確かにリリアンの泣き顔を見るのが好きで、少しばかり……


 好きな子にいじわるしたくなるんだよっ! 子供だったんだ。


 今思えば反省しかないな……



 その後まさかキリアンとリリアンを競う事になるとは思わなかった……


 キリアンが1ヶ月早くリリアンと出会っていたら……と思うと気が気ではない。


 リリアンを助けるためとは言えキス(人工呼吸)したんだよな。


 人前でキスをするなんて私は卑怯だ。恨まれても良い。

 でも、どうしてもリリアンがいいんだよっ!


 私との婚約を嫌って悪役令嬢とやらになろうとしたリリアン。これは大失敗で大変な事件が起きてしまった。


 まさかこんな事になろうとは……気が気ではなかったが、リリアンが戻ってきた。


 王宮内でリリアンが攫われる事になるとは! 王宮の警備の穴を見直す事にした。こんなにやすやすと攫われるなんて、こんな馬鹿げた話があっていいのか。情けない限りである。


 リリアンはあの男に暴力を振るわれ、異性に対して萎縮するようになった。

 元々リリアンの周りの異性は家族と屋敷の使用人だけだった。

 私が侯爵に頼み異性を近づけない事を頼んだのと、シスコンの兄と親バカな侯爵に守られていたからこそだ。

 この事件もあって。リリアンはもう私としか結婚できないと言い出した。

 卑怯な言い方をした私も悪いけれど、もうリリアンは逃げられないんだ。


 それからリリアンは妃教育も大人しくしていたし、リリアンの愛らしさに王宮内でも人気は高い。


 リリアンの部屋が私の移住区域になっても、不思議と文句は出なかった。

 なぜって? 執念と執着の末にリリアンと婚約出来た事を知っている一部の人間が面白おかしくバラしたからだ!


 でも咎めはしない。事実だから!



 添い寝していることは流石にバレていないようだけど(信頼出来る一部の者しか知らないから)私達の仲が深まっていると言う事は事実だった。
 リリアンもこの頃から私を頼ってくれているような気がするし、指輪を毎日つけてくれている。


 それなのにリリアンが、とうとう侯爵家に戻ってしまった!


 こんな事なら学園に行かせるんじゃなかった! と言いたいところだけど、今後の社交で学園のつながりが大事になる事を知っている。令嬢達との仲を深めておかなくてはいけない。


 リリアンは心に傷を負っている。だから1人になるのが怖いから1人寝が出来ない筈だ! すぐに戻ってくると思った。


『クラウディア元王女と対峙したら少し楽になったの。くよくよしているのも私らしくないし』


 強いなリリアンは……あんな目に遭わされたというのに。

 その一方で私と言えば、リリアンの温もりを知った今、1人寝は寂しくて寝不足の日々だ。


 リリアンが自宅に帰った事を知るキリアンには呆れられた。

『リリアンがいないと眠れないなんて情けないやつだ』

 
『うるさい! もしお前もこの立場に立ってみろ! そうなるに違いない! リリはな抱き心地が良い。すっぽりと私の腕に収まるんだ。それに良い香りがして安心する。安眠効果が得られる! もちろんそれ以上のことはしていない!』


 ……頬や額や髪にキスを落とすくらいは良いだろう。本人にバレてないし。


『俺だったら帰さなかっただろうな』


 ボソッとキリアンが言った。


『どういう意味で?』


『さぁな。言わない』



 破廉恥な事を言うかと思ったぞ、キリアンよ! 公爵家の嫡男だけあってこいつは昔っから人気があるからな! リリアンがこいつと話をしている姿を見ると楽しそうで胸騒ぎがしたものだ。それに似合っていた……いや!


 しかし既に時は遅し!



******


「リリ、もう今日の授業は終わり?」

 今日は週に3回の妃教育の日だった。授業が終わった頃に声をかけに行く。


「えぇ。終わったわ」

 にこりと笑顔を見せるリリアンは天使だ! 

「休憩しない? 疲れただろう」

 そう言って肩に手を当て頬にキスをした。周りのメイド達に見せつけるように! 私たちの仲の良さ、そして私が如何にリリアンを大事にしているかを大いに知るが良い! 中にはリリアンに嫌がらせをしようとしたメイドがいたらしい。


 侯爵家の令嬢で私の婚約者によくも手を出そうとしたものだ! 


 メイド長に聞き取り調査をしてもらい、部署変えとなったようだ。

 まぁ、当然だよな。追い出さなかっただけありがたく思ってほしい。



「リック時間はいいの? 執務は?」

 そう。私は王太子となってから執務に追われている! 容赦なく書類が回ってくるのだ。


「大丈夫だよ。婚約者と交流する時間くらいあるに決まっているよ」


 今日は庭に面している私のサロンでお茶をする事にした。日差しも心地よいし扉は開けっぱなしにした。

 最近、新たにパティシエを雇った。リリアンが親しい令嬢をいつ呼んでも良いように。このパティシエは若いが腕は確かで、いつかは自分の店を持つのが夢だと言っていたから王宮で働けるのは光栄だと言っていた。

 リリアンのためにパティシエの予算は確保した! 


「わぁ! 可愛い。お花に見立ててお菓子が並べてあるんですね。それにこのハチミツ紅茶もマイルドで本当に美味しい!」


 パティシエに笑顔で礼を言うリリアン。パティシエは胸に手を当て礼をしていた。雇って正解だったようだ。


「気に入ったみたいだね」


「リックもありがとう。王宮で私が過ごしやすくするために色々気を使ってくれているの知っているのよ」



 どうしたんだ! 急に!



******

次回最終回です。






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