侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw

さこの

文字の大きさ
65 / 65
フレデリック

最終話

しおりを挟む

「どうしたのリリ?」

 王宮から実家に帰り、学園に行って週に3回王宮に来る。そしてまじめに妃教育を受け、周りからの評判もとても良い。

 今まで避けられていたのはなんだったのだろうかと言う程素直になった。嬉しくもあり、疑問を抱いていたのは内緒だ!


「リック、少し庭に出ませんか?」


 珍しい! ティータイムの途中だ。リリアンが目の前にある菓子より私との時間を取るなんて! 


「あ、うん。リリが庭に出たいと言うなら喜んでお供するよ!」



 最近は手を繋いでも躊躇されなくなったし、側から見たら仲の良い婚約者同士に見えると思う。


「あっ、ふふっいた!」


「誰かいるの?」


「ほら、あそこ!」


 リリアンが指を差す方向を見るとネコが日向ぼっこしていた。

「あのネコのこと?」


「えぇ。相変わらずネコちゃんはあの場所が好きみたいね」


「リリ、覚えていたの? 忘れたのかと思っていた」

 嬉しかった。リリアンは私との思い出を思い出したくないのかと思っていたから。意地悪をした覚えはないこともないけれど、リリアンの事を大好きだと言うことは間違いない。

「実は忘れていたの。リックとの良い思い出もたくさんあったみたい。でも忘れていたの」

「リリはまだ小さかったからだよ。でもあの時からリリの事を好きだったんだ」

 ふふふっと笑うリリアン。

「急にリックがいなくなったから寂しかったんだと思う。だからリックを悪く仕立てたのかもしれない。ごめんなさい」


「いや! 謝らなくて良い。それがあって今がある! 私には今が大事だから、」


「そうね。私もそう思うの」

「え!」



「マリーとお庭の散策をしていたらたまたまネコちゃんがいて、どこに行くのかついて行ったの。不思議とネコちゃんの歩調がゆっくりで私を待ってくれていて、ここに着いたの」


 は私のサロンから見える庭だった。

「あそこの木にネコちゃんがいたのよね? 確か」

「そうだよ。リリが目敏く見つけたんだ」


 あぁ。懐かしい……そしてリリと思い出の共有ができるなんて夢のようだ!


「木に登って怒られたのは仕方がないわよね。子供だったんだもの」


「まさか本当にリリが登ってくるとは思わなかったんだけど、そう言う所にも惹かれたんだ。男勝りなところもまた可愛かった」

 うん。うんと頷くフレデリック


「やっぱりリックは変なのね。普通の令嬢は木に登らないからね!」

 呆れたような口調ではあったけれど、懐かしそうにも見えた。


「そうだろうね。リリの可愛いくて魅力的なところだよ。虫は怖いのにお化けは怖くない所も変わっていて可愛い。故にリリは何をしても可愛い! それを全て受け入れる私は変わっているのかもしれないね」


 そっと肩を抱き寄せた。するとあろう事かリリアンがこてんと頭を預けてくれた!

「ふふっ、やっぱり私にはリックしかいないみたいね。こんなに優しい人をどう変換したら意地悪で嫌な人になっていたのか不思議ねー」

「どうしたの? 妃教育で教師から辛い事を言われていたりとか、ないよね!」

「皆さんとても熱心に教えてくださるし、楽しいわよ。今まで知らなかった事が知れたりもするから」

「そう。良かった。辛い事があったら相談に乗るからすぐに言ってほしい」

 リリアンの頭にキスを落とした。するとリリアンは頭を上げて私を見てきた。

「リック……」


 と呟くリリアンの口元を見る。あれ? もしかして……



 リリアンの肩に手を当て顔を近づけてみた。あれ? もしかしていけんじゃないか?

 なんて思っていると、リリアンが目を瞑ってきた! めちゃくちゃ可愛いその顔に吸い込まれるようにさらに顔を近づけて唇にそっと触れた。



 まさに幸せの絶頂! 触れるだけのキスだった。唇を離して

「リリ好きだよ、大好きだ」

 と言うとリリアンは顔を真っ赤にさせて答えてくれた。



「うん、私も」


 やったぞ! ようやくリリアンに気持ちが通じた!! リリアンは無自覚に私を煽っているのではないか? キス1つでこんなに嬉しいのだから困ったものだ……

 甘くなる2人の雰囲気を感じたので、もう1度キスしようと顔を近づけようとした。



「にゃぁぁぁーーーー!」


 と言ってネコが邪魔をしてきた!


 なんとなく残念だけど、それもまた笑って思い出にしようと思った。


 遠くでは温かい目で護衛やメイドが見ているんだけど、今は2人の世界だ。おい! 拍手なんてするんじゃない!


 リリとの思い出は面白いものがたくさんあった方が良い。これからもそうなれば楽しい人生が送れそうだ。





 フレデリック視線【完】


******

 これにて【完】となります。今月末か来月の初めに新作を投稿いたします。
 またお時間ございましたからよろしくお願いします( .ˬ.)"


 
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

【完結】白い結婚を終えて自由に生きてまいります

なか
恋愛
––アロルド、私は貴方が結婚初日に告げた言葉を今でも覚えている。  忘れもしない、あの時貴方は確かにこう言った。  「初めに言っておく、俺達の婚姻関係は白い結婚として……この関係は三年間のみとする」 「白い結婚ですか?」 「実は俺には……他に愛する女性がいる」   それは「公爵家の令嬢との問題」を理由に、三年間だけの白い結婚を強いるもの。 私の意思を無視して三家が取り決めたものであったが、私は冷静に合意を決めた ――それは自由を得るため、そして『私自身の秘密を隠すため』の計算でもあった。 ところが、三年の終わりが近づいたとき、アロルドは突然告白する。「この三年間で君しか見えなくなった。白い結婚の約束をなかったことにしてくれ」と。 「セシーリア、頼む……どうか、どうか白い結婚の合意を無かった事にしてくれ」 アロルド、貴方は何を言い出すの? なにを言っているか、分かっているの? 「俺には君しかいないと、この三年間で分かったんだ」 私の答えは決まっていた。 受け入れられるはずがない。  自由のため、私の秘密を守るため、貴方の戯言に付き合う気はなかった。    ◇◇◇ 設定はゆるめです。 とても強い主人公が自由に暮らすお話となります。 もしよろしければ、読んでくださると嬉しいです!

【完結】記憶にありませんが、責任は取りましょう

楽歩
恋愛
階段から落ちて三日後、アイラは目を覚ました。そして、自分の人生から十年分の記憶が消えていることを知らされる。 目の前で知らない男が号泣し、知らない子どもが「お母様!」としがみついてくる。 「状況を確認いたします。あなたは伯爵、こちらは私たちの息子。なお、私たちはまだ正式な夫婦ではない、という理解でよろしいですね?」 さらに残されていたのは鍵付き箱いっぱいの十年分の日記帳。中身は、乙女ゲームに転生したと信じ、攻略対象を順位付けして暴走していた“過去のアイラ”の黒歴史だった。 アイラは一冊の日記を最後の一行まで読み終えると、無言で日記を暖炉へ投げ入れる。 「これは、焼却処分が妥当ですわね」 だいぶ騒がしい人生の再スタートが今、始まる。

真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN
恋愛
「私には真実に愛する人がいる。私から愛されるなんて事は期待しないでほしい」冷たい声で男は言った。 伯爵家の嫡男ジェラルドと同格の伯爵家の長女マーガレットが、互いの家の共同事業のために結ばれた婚約期間を経て、晴れて行われた結婚式の夜の出来事だった。 真実の愛が尊ばれる国で、マーガレットが周囲の人を巻き込んで起こす色んな出来事。 (他サイトで載せていたものです。今はここでしか載せていません。今まで読んでくれた方で、見つけてくれた方がいましたら…ありがとうございます…) (1月14日完結です。設定変えてなかったらすみません…)

「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」と言われたので別れたのですが、呪われた上に子供まで出来てて一大事です!?

綾織季蝶
恋愛
「貴女じゃ彼に不釣りあいだから別れて」そう告げられたのは孤児から魔法省の自然管理科の大臣にまで上り詰めたカナリア・スタインベック。 相手はとある貴族のご令嬢。 確かに公爵の彼とは釣り合うだろう、そう諦めきった心で承諾してしまう。 別れる際に大臣も辞め、実家の誰も寄り付かない禁断の森に身を潜めたが…。 何故か呪われた上に子供まで出来てしまった事が発覚して…!?

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

婚約破棄された幼い公爵令嬢、目覚めたら絶世の美女でした

鍛高譚
恋愛
『幼すぎる』と婚約破棄された公爵令嬢ですが、意識不明から目覚めたら絶世の美女になっていました 幼すぎる、頼りない――そんな理由で婚約者に見限られた公爵令嬢シルフィーネ。 心ない言葉に傷ついた彼女は、事故に遭い意識不明となってしまう。 しかし一年後、彼女は奇跡的に目を覚ます。 そして目覚めた彼女は――かつての面影を残しつつも、見る者すべてを惹きつける絶世の美女へと変貌を遂げていた! 周囲の反応は一変。婚約破棄を後悔する元婚約者、熱視線を送る他家の令息たち、さらには王太子からの突然の縁談まで舞い込み――? 「もう、誰にも傷つけられたくない。私は私の幸せを手に入れるの」 これは、冷たく突き放された少女が美しく咲き誇り、誇りと自由を手に入れる、ざまぁ&逆転恋愛劇。

隠れ蓑婚約者 ~了解です。貴方が王女殿下に相応しい地位を得るまで、ご協力申し上げます~

夏笆(なつは)
恋愛
 ロブレス侯爵家のフィロメナの婚約者は、魔法騎士としてその名を馳せる公爵家の三男ベルトラン・カルビノ。  ふたりの婚約が整ってすぐ、フィロメナは王女マリルーより、自身とベルトランは昔からの恋仲だと打ち明けられる。 『ベルトランはね、あたくしに相応しい爵位を得ようと必死なのよ。でも時間がかかるでしょう?だからその間、隠れ蓑としての婚約者、よろしくね』  可愛い見た目に反するフィロメナを貶める言葉に衝撃を受けるも、フィロメナはベルトランにも確認をしようとして、機先を制するように『マリルー王女の警護があるので、君と夜会に行くことは出来ない。今後についても、マリルー王女の警護を優先する』と言われてしまう。  更に『俺が同行できない夜会には、出席しないでくれ』と言われ、その後に王女マリルーより『ベルトランがごめんなさいね。夜会で貴女と遭遇してしまったら、あたくしの気持ちが落ち着かないだろうって配慮なの』と聞かされ、自由にしようと決意する。 『俺が同行出来ない夜会には、出席しないでくれと言った』 『そんなのいつもじゃない!そんなことしていたら、若さが逃げちゃうわ!』  夜会の出席を巡ってベルトランと口論になるも、フィロメナにはどうしても夜会に行きたい理由があった。  それは、ベルトランと婚約破棄をしてもひとりで生きていけるよう、靴の事業を広めること。  そんな折、フィロメナは、ベルトランから、魔法騎士の特別訓練を受けることになったと聞かされる。  期間は一年。  厳しくはあるが、訓練を修了すればベルトランは伯爵位を得ることが出来、王女との婚姻も可能となる。  つまり、その時に婚約破棄されると理解したフィロメナは、会うことも出来ないと言われた訓練中の一年で、何とか自立しようと努力していくのだが、そもそもすべてがすれ違っていた・・・・・。  この物語は、互いにひと目で恋に落ちた筈のふたりが、言葉足らずや誤解、曲解を繰り返すうちに、とんでもないすれ違いを引き起こす、魔法騎士や魔獣も出て来るファンタジーです。  あらすじの内容と実際のお話では、順序が一致しない場合があります。    小説家になろうでも、掲載しています。 Hotランキング1位、ありがとうございます。

旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう

おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。 本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。 初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。 翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス…… (※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)

処理中です...