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旅は道連れ
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すごーく美味しかったです!」
「お前、よく食うな」
「美味しかったので。それに、残すのは作ってくれた人に悪いですもの」
「それもそうだな。お前が正しい」
ユーゴ様は小さく笑った。こんな風に笑えるんだ。
「馬車の中から街も見られましたし、外にも来られて大満足です。食事は美味しいですし、宝石も売れましたし、これで悔いなく王都に行けます」
「……そうだったな。王都へは何をしに行くんだ?」
「……えっと、その、ちょっと人探しに?」
「なんで疑問形なんだ。そんなんだから怪しいと思われるんだ」
「違うもん! ユーゴ様には分からないと思うけど、大事なことなの」
「なんで俺には分からないと決めつける。言ってみろよ」
「ふん。言ったってしょうがないよ、くだらないって言われるくらいなら——」
「言ってみろ。くだらないかどうかは、聞かないと分からんだろ」
思ったより真面目な声だった。これ、言わなきゃいけない流れ?
「笑わないから言ってみろ。ここにはお前と俺しかいない」
「……数年前、ふと床が気になって捲ってみたら、隠し空間があって。宝飾類が出てきたの。それを売るために宝石の勉強をして、アンティーク市に来たの」
躓いて床を壊したことは黙っておこう。絶対に何か言われる。
「なるほど。隠されていたものが、ふと出てきたのか」
「うちはおばあさまとお兄様がいて——」
家の事情を話し始めると、ユーゴの表情が少しずつ変わっていく。
「……それで私が子爵を継いだの」
「えっ、お前、当主なのか……」
とても驚いた顔だった。
「貧乏子爵家だけど。なにかあったときに、家名があった方が信用されると思って、私が来たの。見つかった宝飾類の中に、すごく貴重なものがあって……おばあさまは、美術館に置いてもおかしくないレベルだって」
どうせ今日で別れるのだから、きちんと話しておこうと思った。
「その貴重なものって、なんだ? 無理なら言わなくていい」
ユーゴ様ってもしかして宝飾類に詳しかったりするのかな? アンティーク市にもずっと居たよね。
「……これ」
巾着からカメオを取り出す。
「触っていいか?」
「うん」
ユーゴ様はしばらくカメオを無言で見つめ、光にかざし、息を整えた。
「……こんな品、初めて見た。二百年ほど前のものだろう。この時代の宝飾はほとんど失われている。確か戦争でこの時代の贅沢品は奪われたり破壊されたりしていて宝飾類などはほぼ海外に流出している。本物なら、確かに美術館級だ。これをどうしたいんだ?」
「詳しい人に相談したいの。だから王都に」
「王都に伝手は?」
伝手、伝手……うーん。
「ない!」
「……即答かよ」
額を押さえた後、ユーゴ様はため息をついた。
「……だろうよ! くそ。乗りかかった船だ。仕方がない。お前の力になってやる。こんな惚けた女が一人で王都に行ったら、悪い大人に騙されるのがオチだ」
「失礼ですね!」
「助けてやるって言ってるんだ」
「……高くつきませんか? お礼の品は何を……」
そして、急に何かを思いついた顔になる。
「そうだ。お礼だ」
「お礼?」
「お前、王都にいる間、俺のパートナーをしろ」
「……は?」
「出なきゃならん夜会がある。俺がお前をサポートしてやる代わりに、パートナーになれ」
ユーゴ様の話によると、もう何年も王都に行っていないようで、領地に籠っているんだとか。それでも夜会の招待状などは届く。断っていたけれど親戚が結婚するからどうしても王都へ行かなくては行けないらしい。ご両親から引き摺ってでも連れて行く。と脅されているようだった。長い人生色々あるよね……聞かないでおこう。年上の人の話ってなんだか長そうだし、面倒くさそうだし。
「そういえば、ユーゴ様っておいくつなんですか?」
「25だ。なんだその顔」
思ったより若い! あ、顔に出るんだった。キリッと真面目な顔をした。
「お前は?」
「17歳です!」
「へぇ……」
「その返事なに!」
「俺、年上なんだからもっと敬えよ」
「気が向いたらそうします。第一印象が悪かったので」
「なんでも口に出すな。悪かったよ。これからよろしくな」
「うん。こちらこそ」
というわけで、旅は道連れ——、
「お前、よく食うな」
「美味しかったので。それに、残すのは作ってくれた人に悪いですもの」
「それもそうだな。お前が正しい」
ユーゴ様は小さく笑った。こんな風に笑えるんだ。
「馬車の中から街も見られましたし、外にも来られて大満足です。食事は美味しいですし、宝石も売れましたし、これで悔いなく王都に行けます」
「……そうだったな。王都へは何をしに行くんだ?」
「……えっと、その、ちょっと人探しに?」
「なんで疑問形なんだ。そんなんだから怪しいと思われるんだ」
「違うもん! ユーゴ様には分からないと思うけど、大事なことなの」
「なんで俺には分からないと決めつける。言ってみろよ」
「ふん。言ったってしょうがないよ、くだらないって言われるくらいなら——」
「言ってみろ。くだらないかどうかは、聞かないと分からんだろ」
思ったより真面目な声だった。これ、言わなきゃいけない流れ?
「笑わないから言ってみろ。ここにはお前と俺しかいない」
「……数年前、ふと床が気になって捲ってみたら、隠し空間があって。宝飾類が出てきたの。それを売るために宝石の勉強をして、アンティーク市に来たの」
躓いて床を壊したことは黙っておこう。絶対に何か言われる。
「なるほど。隠されていたものが、ふと出てきたのか」
「うちはおばあさまとお兄様がいて——」
家の事情を話し始めると、ユーゴの表情が少しずつ変わっていく。
「……それで私が子爵を継いだの」
「えっ、お前、当主なのか……」
とても驚いた顔だった。
「貧乏子爵家だけど。なにかあったときに、家名があった方が信用されると思って、私が来たの。見つかった宝飾類の中に、すごく貴重なものがあって……おばあさまは、美術館に置いてもおかしくないレベルだって」
どうせ今日で別れるのだから、きちんと話しておこうと思った。
「その貴重なものって、なんだ? 無理なら言わなくていい」
ユーゴ様ってもしかして宝飾類に詳しかったりするのかな? アンティーク市にもずっと居たよね。
「……これ」
巾着からカメオを取り出す。
「触っていいか?」
「うん」
ユーゴ様はしばらくカメオを無言で見つめ、光にかざし、息を整えた。
「……こんな品、初めて見た。二百年ほど前のものだろう。この時代の宝飾はほとんど失われている。確か戦争でこの時代の贅沢品は奪われたり破壊されたりしていて宝飾類などはほぼ海外に流出している。本物なら、確かに美術館級だ。これをどうしたいんだ?」
「詳しい人に相談したいの。だから王都に」
「王都に伝手は?」
伝手、伝手……うーん。
「ない!」
「……即答かよ」
額を押さえた後、ユーゴ様はため息をついた。
「……だろうよ! くそ。乗りかかった船だ。仕方がない。お前の力になってやる。こんな惚けた女が一人で王都に行ったら、悪い大人に騙されるのがオチだ」
「失礼ですね!」
「助けてやるって言ってるんだ」
「……高くつきませんか? お礼の品は何を……」
そして、急に何かを思いついた顔になる。
「そうだ。お礼だ」
「お礼?」
「お前、王都にいる間、俺のパートナーをしろ」
「……は?」
「出なきゃならん夜会がある。俺がお前をサポートしてやる代わりに、パートナーになれ」
ユーゴ様の話によると、もう何年も王都に行っていないようで、領地に籠っているんだとか。それでも夜会の招待状などは届く。断っていたけれど親戚が結婚するからどうしても王都へ行かなくては行けないらしい。ご両親から引き摺ってでも連れて行く。と脅されているようだった。長い人生色々あるよね……聞かないでおこう。年上の人の話ってなんだか長そうだし、面倒くさそうだし。
「そういえば、ユーゴ様っておいくつなんですか?」
「25だ。なんだその顔」
思ったより若い! あ、顔に出るんだった。キリッと真面目な顔をした。
「お前は?」
「17歳です!」
「へぇ……」
「その返事なに!」
「俺、年上なんだからもっと敬えよ」
「気が向いたらそうします。第一印象が悪かったので」
「なんでも口に出すな。悪かったよ。これからよろしくな」
「うん。こちらこそ」
というわけで、旅は道連れ——、
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