旅は道連れ、世は情け?と言われて訳あり伯爵家の子息のパートナーになりました

さこの

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不思議な女の子

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素直に謝られてもなんだかむず痒い気持ちになったが悪い気はしない。お礼がしたい。というブランシュについ、明日の朝迎えに来る。と言っていた。アンティーク市が終わったらここを出て行くだろう。ひったくりに遭ったが最後くらいいい思い出……って俺と一緒じゃ思い出にならんかもしれん。

ひったくり犯はすぐに捕まった。

「ひったくりは?」

「黙秘しています」


警備隊の報告に、思わず舌打ちが出る。黙秘だと? それならと!

「……連れてこい」

そして一人の女を連れてきた。

少しして、怯えた女が連れてこられた。腹が大きい。

「な、なんでお前がここに……!」

男の顔色が変わる。

「お願い……もうやめて。盗みなんてしなくていい。二人で働けばいいから……この子に、そんな父親の背中を見せたくないの」

女が泣き崩れたのを見て男は観念したようだ。身重の妻に心配をかけさせるなんてどうしようもない男だ(この場に連れてきた俺がいうのもなんだが)この男を捕まえた時に建物の影で男をじっと見て震えている女が目に入った。
これは知り合いだ。と思った俺は警備隊に女の後をつけさせた。そして家を特定し話を聞くと夫だと言った。夫が捕えられる姿を見て気が動転して家に帰ったが、どうやって夫に会いに行こうかと思っていたらしく、夫に、会いにきたのだ。

ブランシュを狙った理由も。

オンナが男に必死の思いを告げると、アンティーク市で盗んだ品物は隠してあるらしく、隠し場所を吐いた。ブランシュを狙ったのは、アンティーク市でそこそこの値段で売り上げがあったのを知っていたからだった。若い娘がアンティーク市で儲けると付け狙われるのか……

「若い娘で、隙だらけだったから」

……なるほどな。

俺がいなければ、あのままやられていたわけだ。

加減なく蹴った背中は、明日になれば相当痛むだろう。だがあとは法に任せればいい。

警備に引き渡し、屋敷へ戻る。

明日はどこへ連れていくか。
そんなことを考えながら、久しぶりに静かに眠れた。



眠れるようになったのは、最近だ。

王都での出来事が、長い間夢に出ていた。

親友と幼馴染。
裏切り。
そして、俺だけが悪者になった噂。

吟遊詩人が広めた話は国中を回ったらしい。

……もう、どうでもいい。

今の生活があれば、それでいいと思えるようになった。



翌朝、ブランシュを迎えに宿へ向かう。

俺の家で騎士見習いをしていた男が急に料理に目覚め、野菜や麦を育てることに喜びを感じると騎士見習いをあっさりやめ、丘の上にある古い家を買い取り飲食店を始めた。こだわりがあり美味いのだが、客足は伸び悩んでいる。
俺は気に入っているから利用するようにしている。ブランシュをここに連れてきたのは街を通り美しい自然を見てもらいたかったから。

馬車に乗るときに手を貸してやれば良かったのに、そんな余裕や気遣いが出来なかった。手を貸さないと馬車に乗らない令嬢が多い中、ブランシュは全く気にしていないようで。ぴょん、と飛び乗ってしまった。

ブランシュは若い令嬢らしくワンピースを着ていた。落ち着きすぎる装いというか……服装は地味だが、薄茶の髪と琥珀色の瞳が、きょろきょろと楽しそうに動いている。


馬車を降り店までは遠回りして行ったこともあり、少し歩いたのだが文句一つ言わずに何を見ても楽しそうだった。足元が悪い。

「転ぶなよ」

「平気!」

本当は腕を貸すつもりだったんだがな。

この子といると、調子が狂う。

悪くない意味で。
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