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思っていたより優しい?
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「おい、はしゃぐな」
だって、だって初めてだもの。すごいホテル! スパって聞いた事はあるけれど、現実を目にしたのは初めて。すごく素敵なホテルなんだけど、私みたいな者が宿泊しても大丈夫なのかな……ユーゴ様に「乗れ」と言われて伯爵家の馬車を用意してもらったんだけど。
「私は乗り合いの馬車で行くから、王都に行ったら会いましょう」と答える。
「ついでだから乗せてやる。宿はどうするつもりだ?」
……え! 考えてない! 次の町で町の人に聞けば良いと思っていたから。
「計画性がないな……いいから来い」と言われて荷物を取られ馬車の中に乗せられた「荷物はこれだけか?」
「うん」と返事をすると手を差し出された。この手は何? と首を傾げる。
「手を出せ!」と言われ手を出すと、グイッと手を引かれ馬車に乗せられた。もしかしてこれがエスコートってやつ? 一人で乗れるのにな。
「いいか? 王都では一人で馬車に乗り込むな。手を出されるのを待て。もし出さない場合は自ら手を出せ」
「そういうルールがあるんですね! 知りませんでした」
恥をかくところだった。田舎からやってきたのがバレバレだ。王都に着いたらカメオの譲り先を探すだけではなく、滞在場所(ホテル)探しと、ドレスと普段着を買わなくてはならない。名だけであっても子爵なのだから数着買ってきなさい。とおばあさまに勧められたから。
ファッションなんて全く分からないのに困った。このホテルにも売っているから買っとこうかな……とブティックを眺める。値段が表示されていないのだけど高そう……
「おい、どうした? 一丁前にブティックなんて眺めて、何か欲しいのか?」
「うーん。欲しいようなそうでないような? 王都で服を買ってくるようにおばあさまに言われたのだけど、このブティックだと値段も分からないし大人っぽいし……」
ホテルに着いてからも、私はずっときょろきょろしていた。
ブティックのショーウィンドウに並ぶドレスは、どれも胸元が大きく開いていて、見ているだけで落ち着かない。あんな胸元の空いたドレスどこで着るの?!
「何か欲しいのか?」
「王都で服を買ってこいって言われてて……でも高そうで」
「食事は部屋で摂る。人混みは好かん。スパに行ってこい」
スパは、天国だった。
スパには常駐のスタッフがいて世話をしてくれるのだそう。高そうなホテルだけど一泊くらい贅沢しても良いよね。泥パックに、オイルトリートメント、ヘッドマッサージ。
終わる頃には体がふわふわに軽くなっていた。
部屋に戻ると、向かいがユーゴ様の部屋らしい。
リラックスしていたら、ノックされたので、がちゃりと扉を開ける。変な顔をしたユーゴ様が立っていた。
「せめて確認してから開けろ」
「やり直します?」
「バカなこと言うな。来い」
またバカって言った。
⸻
「……ここ、ユーゴ様の部屋、だよね」
これは流石に着いて行ってはいけないような気がする!
「早く入れ。食事が冷めるだろうが!」
部屋に入ると、窓際に食事が並んでいて、夜景が広がっていた。
「わあ……」
「後で見ろ。座れ」
スープが入っている器が素敵。サラダも美味しそう。料理はどれも美味しくて、夢中で食べた。
「本当に美味そうに食べるな」
「美味しいですから」
デザートを私の前にそっと置く。
「それも食え。お前を見てたら腹が膨れた」
「失礼な!」
チョコレートムースを食べて、私は本気で幸せになった。ほっぺたが落ちそうだ。贅沢に慣れてはいけないのに……その後、お茶を飲みまったりとしていた。
⸻
翌朝。
ノックで目が覚め、うっかりそのままドアを開けると、きっちりした女性が立っていた。
「ユーゴお坊ちゃんに仕えております、サーラと申します」
その後は怒涛だった。
朝食、化粧、髪の手入れ、着替え。
差し出されたワンピースは私のものではない。
「坊ちゃんが昨夜、ブティックで購入されました」
「えっ」
「プレゼントですわ」
髪を整えられ、服を着せられ、鏡を見ると——知らない私がいた。
⸻
エントランスに降りると、見知らぬ貴族風の青年が立っていた。
「おい、無視するな」
「……ユーゴ様の声?」
声も悪態も同じなのに、見た目が違う。
「全貌を見るのは初めてで……」
「言い方を改めろ」
本人だった。
⸻
馬車の前で、コホンと咳払いし、手を差し出す。
「あ、そうだった」
私はその手を取る。
「ホテル代とワンピース代を——」
「いらん。あのフロアはうちが年間契約している」
「え?」
「ホテル建設時に出資している」
スケールが違いすぎる!
「その服は最低ラインだ。王都で恥をかかせるな」
「王都で買おうと思ってました!」
「今日着くぞ」
「えっ!?」
乗り合い馬車と違い、伯爵家の馬車は馬を替えながら進むらしい。
私はただ、ぽかんとするしかなかった。
だって、だって初めてだもの。すごいホテル! スパって聞いた事はあるけれど、現実を目にしたのは初めて。すごく素敵なホテルなんだけど、私みたいな者が宿泊しても大丈夫なのかな……ユーゴ様に「乗れ」と言われて伯爵家の馬車を用意してもらったんだけど。
「私は乗り合いの馬車で行くから、王都に行ったら会いましょう」と答える。
「ついでだから乗せてやる。宿はどうするつもりだ?」
……え! 考えてない! 次の町で町の人に聞けば良いと思っていたから。
「計画性がないな……いいから来い」と言われて荷物を取られ馬車の中に乗せられた「荷物はこれだけか?」
「うん」と返事をすると手を差し出された。この手は何? と首を傾げる。
「手を出せ!」と言われ手を出すと、グイッと手を引かれ馬車に乗せられた。もしかしてこれがエスコートってやつ? 一人で乗れるのにな。
「いいか? 王都では一人で馬車に乗り込むな。手を出されるのを待て。もし出さない場合は自ら手を出せ」
「そういうルールがあるんですね! 知りませんでした」
恥をかくところだった。田舎からやってきたのがバレバレだ。王都に着いたらカメオの譲り先を探すだけではなく、滞在場所(ホテル)探しと、ドレスと普段着を買わなくてはならない。名だけであっても子爵なのだから数着買ってきなさい。とおばあさまに勧められたから。
ファッションなんて全く分からないのに困った。このホテルにも売っているから買っとこうかな……とブティックを眺める。値段が表示されていないのだけど高そう……
「おい、どうした? 一丁前にブティックなんて眺めて、何か欲しいのか?」
「うーん。欲しいようなそうでないような? 王都で服を買ってくるようにおばあさまに言われたのだけど、このブティックだと値段も分からないし大人っぽいし……」
ホテルに着いてからも、私はずっときょろきょろしていた。
ブティックのショーウィンドウに並ぶドレスは、どれも胸元が大きく開いていて、見ているだけで落ち着かない。あんな胸元の空いたドレスどこで着るの?!
「何か欲しいのか?」
「王都で服を買ってこいって言われてて……でも高そうで」
「食事は部屋で摂る。人混みは好かん。スパに行ってこい」
スパは、天国だった。
スパには常駐のスタッフがいて世話をしてくれるのだそう。高そうなホテルだけど一泊くらい贅沢しても良いよね。泥パックに、オイルトリートメント、ヘッドマッサージ。
終わる頃には体がふわふわに軽くなっていた。
部屋に戻ると、向かいがユーゴ様の部屋らしい。
リラックスしていたら、ノックされたので、がちゃりと扉を開ける。変な顔をしたユーゴ様が立っていた。
「せめて確認してから開けろ」
「やり直します?」
「バカなこと言うな。来い」
またバカって言った。
⸻
「……ここ、ユーゴ様の部屋、だよね」
これは流石に着いて行ってはいけないような気がする!
「早く入れ。食事が冷めるだろうが!」
部屋に入ると、窓際に食事が並んでいて、夜景が広がっていた。
「わあ……」
「後で見ろ。座れ」
スープが入っている器が素敵。サラダも美味しそう。料理はどれも美味しくて、夢中で食べた。
「本当に美味そうに食べるな」
「美味しいですから」
デザートを私の前にそっと置く。
「それも食え。お前を見てたら腹が膨れた」
「失礼な!」
チョコレートムースを食べて、私は本気で幸せになった。ほっぺたが落ちそうだ。贅沢に慣れてはいけないのに……その後、お茶を飲みまったりとしていた。
⸻
翌朝。
ノックで目が覚め、うっかりそのままドアを開けると、きっちりした女性が立っていた。
「ユーゴお坊ちゃんに仕えております、サーラと申します」
その後は怒涛だった。
朝食、化粧、髪の手入れ、着替え。
差し出されたワンピースは私のものではない。
「坊ちゃんが昨夜、ブティックで購入されました」
「えっ」
「プレゼントですわ」
髪を整えられ、服を着せられ、鏡を見ると——知らない私がいた。
⸻
エントランスに降りると、見知らぬ貴族風の青年が立っていた。
「おい、無視するな」
「……ユーゴ様の声?」
声も悪態も同じなのに、見た目が違う。
「全貌を見るのは初めてで……」
「言い方を改めろ」
本人だった。
⸻
馬車の前で、コホンと咳払いし、手を差し出す。
「あ、そうだった」
私はその手を取る。
「ホテル代とワンピース代を——」
「いらん。あのフロアはうちが年間契約している」
「え?」
「ホテル建設時に出資している」
スケールが違いすぎる!
「その服は最低ラインだ。王都で恥をかかせるな」
「王都で買おうと思ってました!」
「今日着くぞ」
「えっ!?」
乗り合い馬車と違い、伯爵家の馬車は馬を替えながら進むらしい。
私はただ、ぽかんとするしかなかった。
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