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第二章
アランからの贈り物
しおりを挟む「へぇー。マリー一位だったの?」
「うん」
「フランは?」
「……三位です」
「で、仲直りしたの?」
「「はい」」
「良かったよ。邸の中がピリピリとしてたでしょ?」
「そうなの?それは…ごめんなさい」
「うん。喧嘩は良くないよね」
「父上には言われたくありませんよね」
「あれは、しょうがないよ。まぁ二人ともめでたくSクラスだし、良かったよ。優秀な子達で私は鼻が高いよ。二人とも何か欲しいものある?」
「えー。いらない」とマリー
……バカではない事が証明されたから、もう気分は良い。フランよりも上の成績だったのだ
「フランは?」
「三位でご褒美なんて買ってもらえませんよ」
「なんとまぁ、物欲のない子に育ったもんだよ」とリオネル
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王宮にてアランの私室
うーん。どれにしようか。
迷うな。
私室には商人が来ている
机の上には、髪飾り・ブローチ・ネックレス・リング・ブレスレットなど、かなりのものが並んでいる
「こちらのものはいかがでしょうか?」
「ちょっとゴテゴテとしているな」
「それではこちらは?」
「色が気にくわん」
「こちらは?」
「華美ではなくシンプル過ぎず、邪魔にならないものはないか?」
「こちらのブレスレットなどいかがですか?」
「これは変わった花?だな、なんの花だ?」
「ブーゲンビリアでございます。この鮮やかに見える部分は葉っぱなんですよ?」
「へー。面白いな」
「花言葉はあなたしか見えない。と言う愛の言葉ですよ」
「これにしよう。包んでくれ」
「かしこまりました」
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「今日もお疲れ様!マリーちゃん」
「ありがとうございました」
王妃教育が終わったら、王妃とマリーはお茶を飲みながら世間話をする。
話上手な王妃は、亡き母セシリアのことについても話をしてくれるので、この空間は居心地が良い。
「マリーちゃんテスト一位だったんだって?」
「はい。日頃からバカにされている弟を見返したくて頑張りました」
「あらぁー。相変わらず仲良しねぇ」
「昔は弟も可愛かったんですが、最近は生意気で、無性に腹がたちまして、ギャフンと言わせたかったんです」
「フフフ、セシリアにそっくりね」
「え?お母様に?」
「セシリアも良くリオネルにたてついていたわよ」
「まぁ!私は頑固者なところがあって父に似ていると思っていたので、嬉しいです」
「あ、あら。そう?それはアランも大変ね」
「すみません」
「何を言ってるの?本音で話し合えるのは良いことよ!貴方達ラブラブだもんね」
「そう見えますか?」
「そうとしか見えないわよ」
「だってリオネルが嫉妬するくらいだものね」
コンコンコン
「あら?誰かしら?」
側仕えのメイドが
「アラン王子がいらっしゃいました」と伝える
「入れてちょうだい」
「母上、お話し中失礼します」とアランが入ってきた
「どうしたの?マリーちゃんに会いにきたの?」
「えぇ。マリーこの後ちょっと良いか?」
どうしたと言うのか?いつもこの時間は執務に追われているはずなのに!
首を傾げながら「はい」
と言うと、王妃様が
「私は邪魔ね!マリーちゃんまた来週ね」
と言っていただけたので、
「はい。それでは失礼致します」
と二人で部屋を出た。
アランが急に手を繋いできたのでドキドキする。
アランの顔を見ると優しい笑みを浮かべている。あぁ。やっぱりアラン様ってかっこいい。こんな素敵なアラン様が私だけの王子様だなんて、嬉しくって泣きそうになる。
「どうしたマリー?」
「うん。アラン様が好きだなって思って、いつもありがとう」
と普段は自分からは言わないが言ってみた
「熱でもあるのか?顔が赤いぞ」
「ううん、ない」
「それはそれで心配だな」
ちょっとムカついたが、日頃の行いもあるのかもしれない。バカだとフランに言われまくるから、大人しくしていよう。
「さぁついだぞ」
と王城の高い場所へ連れて行かれた。
「わぁー。良い眺め!こんな場所があるなんて知らなかった」
「凄いよなぁ。夕日で赤く染まってる街並みを見るのが好きなんだ」
とアランが言う。
夕日に染まってアラン様の金髪がキラキラしていてとっても綺麗。アラン様と手を繋いだまま、えいっとアラン様の腕に寄り掛かった。
「甘えてきてるのか?」
とクスクス笑うアラン
「三人分甘やかしてくれるんでしょ?」
「任せとけ」
と甘ーい雰囲気になった。
「マリー王妃教育辛くない?」
「王妃様が良くしてくれるし、結構ね教師にも褒められるんだよ」
「頭も良いしな、まさか一位を取るとは思わなかった」
「フランにギャフンと言わせたかったから、アラン様に会えない時に勉強したの。でもバカって勉強出来る出来ないじゃなかったみたい」しゅんと肩を落とす
「アラン様、私アラン様の事不安にさせてる?」
「フランが言ったのか?」
「ううん。私自分が思っている以上にね、無防備なところあるかもって思った。王妃教育はちゃんと褒められるのに、王宮から一歩出たら戻っちゃうの。アラン様とかフランといるでしょ?いつもの軽口で話したりするけど、学園で周りの人達見たら、なんか違うもん。ちゃんとしてるから、私みたいな子が将来アラン様と結婚して王妃になるなんて許せん!って人いるんじゃないかな?」
「バカなりに考えたんだな」
「うん」
「俺はマリーとしか結婚しない。だから何があっても王妃はお前だよ。無防備なところはあるけど、そう言うおまえが好きなんだ。でもそれを他の男に見せたくない。分かるか?」
「うん。どうすれば良い?」
「他の男となるべく接して欲しくない。オレの我がままだよ。独占欲が強いからな」
「うん。それはわたしも同じだもん」
二人、目が合い笑い合う。
「マリー腕出して」
「?」そっと腕を出す
シャラっと音がしてアランがポケットからブレスレットを取り出しマリーの華奢な腕に付ける
「一位おめでとう」
「えっ?ご褒美??」
「そう言うこと。これ付けててくれる?」
「うん。可愛い。嬉しい」
「気に入ってくれた?」
「えへへ。うん!アラン様って髪飾りをくれた時も今日もさりげ無くプレゼントしてくれるのってかっこいいね。惚れ直しちゃう」
マリーからアランの頬にキスをした。
「アラン様お返しに何かプレゼントしたいんだけど、何か欲しいものあったら教えて」
「欲しいのはいつでもマリーだけだよ。だから将来はちゃんと責任とって俺と結婚してくれ」
となんとも言えない殺し文句を言われた。
「はい!責任を取りますよ」
と微笑む
「キスしていい?」
「はい」
と目を瞑り唇が触れるだけの優しいキスをした。
後から調べて分かったのだが、ブレスレットの花はブーゲンビリア、花言葉は『あなたしか見えない』という事だ。
嬉しい反面、重い言葉だった……
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