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第二章
マリー拐われる
しおりを挟むあれ?ここどこ?薄暗い室内。
なにかを嗅がされて意識を手放した。と言うのは理解できた。
寝かされていた身体を起こす。
身体を拘束されているわけでもなく自由だ。
立派な寝具……。室内も華美ではないものの、落ち着いたインテリアのようだ。
「困ったわね…」
「起きましたか?ローズマリア様」
と声を掛けられた。
「えっ?人がいたの?」
「えぇ。ずっとおりましたよ」
「まったく気づかなかったわ」
「ご主人をお呼びします」
パタンと扉が閉じられた。
……クレマンって言ったかしら?ヘルマン?カルマン?まぁいっか。なんでレシピの事を知っていたのかしら?
「手荒な真似をして申し訳ありませんでした」と恭しく頭を下げる男
「あなた」
「ヘルマン・オルフィーノと申します」
「どちら様かしら?」
「私は食べる事が大好きで新しいものを見つけるのを生き甲斐としております、数年前にあなた様が考案されたアイシングクッキーが忘れられず虜になりました。その後も見たことのない様なお菓子に益々虜になりました。最近は、なめらかプディングが世の中を騒がせております。私はこの素晴らしい才能の持ち主と是非お会いしたいと、ずっと探しておりました。やっとあなた様に会えた!」
「はぁ、そうでしたか」
「私はあなたの考案するお菓子をもっと世間に広めることが出来ます。あなた様を私に下さりませんか?」
「へっ?私をあなたに?」
「えぇ。いただきたい。この国にいるうちはあなた様を私のものには出来ない。今から国外に出ます。隣国に行けば仲間がなんとかしてくれます」
「それは無理でしょう?私はこの国のアラン王子殿下の婚約者ですよ?もし見つかったらあなた、只ではすみません。今なら間に合います。私を解放しなさい」
「いえ。もう遅いですよ、馬車が到着しましたよ。あなたは自ら国をでると言う事です。私についてくれば、あなたは間違いなく幸せになれます」
「えっと。私の幸せはアラン殿下といる事なので、ごめんなさい」
「はぁー。仕方ありませんね。一緒に来ないのであれば、外国の変態にでもあなた様のことを売るしかありませんよ、もう帰すことは出来ません。さぁ?私と行くか売られるか、お選びください」
「二択ですか……困りましたね」
……このまま引き延ばしたら誰か来てくれないかしら?!ピンチであることは確かなんだけど、悲壮感がない。確か小説でも私拐われていたわ!そうよ!確か助けに来てくれるわ!えっ?でも確か助けに来てくれるのって……。
ドゴっ!!と扉が蹴破られる。
「ローズマリア嬢」
「殿下その、どうして」
……アルベルト・ルイス殿下がなぜ?
「ゴメンね、詳しい話は後でいい?ヘルマン・オルフィーノ我が国での人身売買・違法薬物の件でを捜査していた、今回はジェオルジ王国、侯爵令嬢でアラン王子殿下の婚約者誘拐の罪、違法薬物使用、で話しを聞きたい、言ってる意味わかるよね?」
「くそっ」
「あっ、君の仲間は全員捕まえたからね。その時にこの場所を聞いたんだ。捕らえよ!」
ワァーっと何人もの騎士が部屋に入ってくる。ヘルマンは呆気なく捕らえられた。
茫然と立ちすくむマリー
「ローズマリア嬢、大丈夫か?怖い思いはしてない?」
「あ、あの、ありがとうございました。まさか殿下が来られるとは…」
「あの男の事で探っていたら、学園に探し物があると言ってたという情報を聞いて、泳がせていた。まさか君が囚われているとは思わなくて、危険な目に合わせてしまった、申し訳ない」
と頭を下げられた
「いえ!殿下のせいではございません。私が一人で行動をして、ヘルマンに話しかけた結果なのです」
……やめてよ!隣国の王子に頭を下げられるなんて、恐れ多いのよー
「しかし、怖い思いをさせてしまった。もしこの事が公になって、貴方の評判が悪くなってしまったら、私のせいだよ」
「お気になさらずに、その時はその時で修道院にでも行きますから!」
……やめてよー。あなたのせいじゃないのよー
「お願いします。頭を上げてください」
頭をソォーっと上げるアルベルト、頭を上げながらマリーを見遣ると目があう。
マリーの目は狼狽えていたが、それがまた庇護欲を注ぎアルベルトは釘づけになってしまった。
「その、評判が落ちて修道院に行く位ならわたしが責任を取る」
「は、はぁ?それは、助かります?」
……名誉毀損で訴えてくれるのかしら?
「えぇ。その時は私が貴方を貰い受けます」
「え?その、それは困ります」
「フフフ。お任せください」
「いえ。私にはアラン王子と言う婚約者がおります」
「その時はその時でしょ?」
……やめてよぉー。兄弟って似るの?早く帰りたいぃ
「さて、邸まで送りますよ、みなさん心配してるでしょう?貴方の家に連絡を入れてあります」
「あっ!そうだ。どうしよう、怒られる…」
顔が青くなる……
「私も一緒に謝りますよ」
「…お願いします」と縋った
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
馬車の中にて
「あの、殿下…」
「僕のことは、アルベルトかアルって呼んで欲しい」
「いいえ、そう言うわけには」
頭を振る!ダメだ親しい呼び名など
「だめかな?同級生なのに?」
「……ではアルベルト様」
「固いね…アルで良いよ」
「いいえ。それは恐れ多いので」
「……頑固だね」
「よく言われます」
「僕もマリーと呼ばせてもらうよ?良いね?」
……良いね?ってもう決定事項じゃない!断れないのか!
「はぁ。お好きにお呼びください」
私はもう疲れた
「そろそろ侯爵家に着くんだけど、どう説明しようかな。秘密裏に動いていたからなぁ。侯爵がこの事を言い触らすとは思えないから、言っちゃうか!その方が話が早いな」
「あの、その辺はお任せします」
「マリーに迷惑は掛けないから大丈夫だよ」
「ううう。家に帰りたいけど、帰りたくない。絶対怒られる……」
「さて、と着いちゃったね」
ーーーーーーーーー
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