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イミテーション
セリーナとジュリアナという娘を呼び話を聞くことになった。
そこには副学園長と教師一人を立ち合わせることにした。
和気藹々という雰囲気ではないので、サロンというわけにはいかず、執務室に呼ぶことにした。
ジュリアナが私の前に座った。セリーナをジュリアナの隣に座らせることは出来ない。
何かあったら困るし、そうなると私と向き合うことになりセリーナの可愛い顔を見なくてはならない。見たいけど背けてしまう……。
セリーナの顔を見ると無言になってしまう可能性がある。
「セリーナは私の隣に」
「いえ、こちらの一人掛けのソファで、」
「そちらには副学園長に座ってもらおう」
すると私の隣に大人しく隣に座るセリーナ。なぜかジュリアナがセリーナを睨んでいるようだ。
「殿下、こちらに呼んだ理由を聞かせていただいてもよろしいですか?」
皆が着席した事を確認し、副学園長が話を切り出す。
「ジュリアナ嬢にまず話を聞きましょうか、さっきの事を分かりやすく話してくれ」
「はいジェフェリー様! そこにいるセリーナ様は私の付けていた髪飾りをニセモノだと言いバカにしましたわ」
「その点についてセリーナ、反論はあるか?」
「バカにしてなどいませんわ。素敵な髪飾りだと思いましたもの。あの大きさで本物だとは思いませんでしたし、普段使いされるものではありませんでしょう?」
セリーナが言うと
「学園で高価な宝石を身につける事は禁止されています。ランディ侯爵令嬢がそう思ってもおかしくないのではないでしょうか?」
副学園長が言った
「ひどいわ! ここにも私の味方が誰もいない! クラスメイトの前でバカにされたんですよ! それにこの人は『間違いでしたら訂正してお詫び申し上げますけれど……』と言ったのに謝りませんでした!」
「ジュリアナ嬢、私の婚約者をこの人などと言う言い方はやめてくれ。失礼だ」
「ジェフェリー様も、この人の味方を? 学園では身分は関係ない、」
「くどいな。セリーナにこの人となどと言うんではない! それに私は君に名前で呼んで良いと言う許可をしていない。馴れ馴れしい態度はやめたまえ。私の名を呼んで良いのは婚約者であるセリーナだけだ。覚えておきなさい」
わなわなと震えるジュリアナ
「ところでジュリアナさんの髪飾りはどこへ?」
教師が言うとジュリアナが
「あら! ない! ないわ! お父様にいただいた髪飾りが!」
急に騒ぎ出すジュリアナ
「どこかに落としたのか?」
ジェフェリーが言う。
「さっきまでありましたのに!」
執務室にいる皆で髪飾りを探し出すと
「あら?」
「どうした? セリーナ」
少し目線を逸らしてジェフェリーがセリーナに尋ねた。
「私のポケットにこちらが……」
そっとエメラルドの髪飾りを机の上に置いた。
「ひどいわ! セリーナ様、それは窃盗ですわよ! 皆さんが証人です」
「まぁ、どうして私のポケットにあったのでしょう」
不思議ですわねぇ……
「抜け抜けと、泥棒のくせに! この髪飾りを褒めていてから羨ましくてこっそりと盗んだのでしょう!」
「ジュリアナ嬢! 言葉が過ぎる! セリーナ心当たりは?」
「ございませんわ。それよりもこの髪飾りですが……イミテーションですわね。本物とは輝きが違いますもの」
「……そんなわけないでしょう! お父様が西の国から仕入れてきたものです。高価だと聞いてます」
「保証書はございますか?」
「ほら! そうやってバカにする!!」
「大事なことですわよ。保証書のない宝石ほど怖いものはありませんから。保証書が無く大金を支払ったのならその金額を誰が保証するのです?」
「これは! 西の国のお妃様が先の大戦で亡命した時に売ってお金にしたものです。保証書なんてありません!」
「それはおかしいですわね……西の国のお妃様は亡命などしておりませんもの。民を見捨てる様な方ではありませんわよ」
「何を知っているの知りませんが、そう言う由来があっての、」
「あり得ませんもの。まず先の大戦と仰いましたが、先の対戦は西の国は関係ありませんでしょう? この細工を見る限り最近のデザインですし、由来とおっしゃるには新しすぎますわ」
「私見でものを言わないで! 泥棒のくせに! まずは謝りなさいよ!」
「セリーナ、ちょっと見せて」
髪飾りを手に取りじっと見るジェフェリー
「ふむ。よく見ると中に気泡があるな。本物とは到底思えない。これを本物と言い買ったのであればすぐに連絡したほうがいいぞ。逃げられんうちに。鑑定士を呼ぶか?」
「えっ!」
「イミテーションをイミテーションとして売るのには問題はないが、イミテーションと分かっていて本物として売る行為は詐欺だ」
「そう言うことならこの問題は解決ということでよろしいですな?」
副学園長が言った。
「えぇ。お二人にはご足労おかけしました」
ジェフェリーが言うとセリーナも立ち上がり二人に頭を下げた。そして二人は出て行った。
「ジュリアナ嬢、そう言うことだ。君が騒いだことにより大袈裟になってしまった」
「セリーナ様はそれで満足ですか! 私のことをみんなの前でバカにして!」
「何をおっしゃっておいでるの? イミテーションは令嬢の間でも流行っていますでしょう? あなたのお家のフロス商会の取り扱いではありませんの?」
「……はい」
「流行を作り出せるなんて素晴らしいです。とお伝えくださいませね」
「もう良いわ! 何よ。この茶番、さようなら! 私かえるわ」
立ち上がりバタン! とドアを開け出て行くジュリアナだった。
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