【完】婚約してから十年、私に興味が無さそうなので婚約の解消を申し出たら殿下に泣かれてしまいました

さこの

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週明けの学園

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 貴族の学園は夏季休暇が長い! 前期・後期に分かれていて、前期試験が終わると夏季休暇へと入るのです。


 夏季休暇にデビュタントがあるので、試験が終わり結果が出たら皆が家に帰り、学園は静かになります。遠くに実家がある方は帰らない方もおられるのだそうです。



「セリーナ様のおかげで、うちのパン屋は繁盛しています。両親もとても感謝していて、なんてお礼を言っていいのか……」

 サムさんが言いました。

「セリーナ様のおかげで、うちも忙しく人を雇うことが出来ました。なんてお礼を言って言いのか……」

 ダニエルさんも言いました。


「私は何もしておりません。週末屋敷に帰るとサムさんの家のパン、ダニエルさんの家の乳製品を美味しくいただいています。シェフに聞いたのだけど、とても手が掛かる作業だと聞きました。ですから美味しいのですわね」


 パンは今まで屋敷で焼いていた。今でも焼いているけれど、サムさんの家のパン屋さんでしか出せない味わいがあるのだそうです。お母様もクロワッサンをたいそう気に入っていました。


 ダニエルさんの家のミルクは濃厚で甘くて美味しいですし、バターはシェフが気に入ってわざわざ買いに行くこともあるそうです。 
 チーズも然りで丁寧に作っているから味が濃いとシェフが言っていましたわ。お父様もワインを飲む際にダニエルさんの家のチーズをおつまみにしているのだそうですわ。


 手が掛かるためあまり多くは作れないそうで、シェフは年間契約をしたとのことでしたわ!



「屋敷の皆んなが言っているのだけど……その、以前使っていたものよりも美味しくて、しかもコストパフォーマンスも良いそうなの」



「貴族様向けに作ってないので……金額は抑えてあります。味を認めてくださってありがとうございます」

 ダニエルさんが言いました。

「手広くされるおつもりはないの? 美味しいですのに。もっと沢山の方の口に入れたいと思いませんの?」

「はい。それをしてしまうと、味が変わってしまいます。ジィちゃんはそれを許しませんし、僕もジィちゃんの意見に賛成です」


 ダニエルさんのおじいさまは、味に絶対の自信がありますのね。伝統の作り方を変えたり作業効率が多少悪くても、おじいさまの職人のプライドがあるなんて素晴らしいことですわね。お父様も驕って味が変わったら取引はしないと仰っていたもの。


「素晴らしいおじいさまですわね。いつもありがとうございますとお伝えくださいね」


「はい! ジィちゃんがこの話を聞くと大喜びですよ」




「ふーーーん。やっぱりあなたの家が邪魔していたんだ!」


「ジュリアナ様? おはようございます」


 なんだか機嫌が悪そうですわね。


「あなたの家のせいでうちがどれだけ被害を被っているか分かりますぅ?」

「なんのことでしょうか? 仰っている意味が分かりませんわ」


「わざとらしい! こんなくだらない男どもを褒めたりして調子に乗らせて! 貴族様のお遊びかしら!」


「ジュリアナ様、少し落ち着いてください。皆さんが驚いてますよ」


「また良い子ぶって! 王族の婚約者ってそんなに偉いわけ?」


「ジュリアナ様、口が過ぎますよ! 落ち着いてください。場所を変えましょうか?」


「あら! それは良い考えです事」


「……それではあちらに移動しましょう?」


 どこへ移動しよか考えながら歩き出しました。ジュリアナ様の前を通ると何かに足を引っ掛けて思わず転んでしまいました。


 その拍子に机に体をぶつけて、膝は地面をつき、手首を捻ってしまった様です。


「「セリーナ様!!」」


 すぐに近くにいたサムさんとダニエルさんが近寄ってきました。


「大丈夫ですわ、ご心配おかけしました」


 と立ち上がろうとしたら



「いたっ……」


 足も捻ってしまった様です。


「人を呼んでまいります!!」


 ざわざわとする教室


 ジュリアナさんはそんな様子を見て鼻で笑っていました。

 サムさんとダニエルさんの手を借りて、なんとか立ち上がるとそこへ


「セリーナ!」


 ジェフェリー様がやってきました。すぐに近くに寄って大丈夫か? と聞いて下さいましたわ。


「セリーナに何をした!」


「何もしていませんわ。セリーナ様が急に転んだのですわ。皆さん見ていらしたと思いますわ」


 ざわざわとする室内。皆ジュリアナ様に悪意のある表情を向けています。


「ジェフェリー様、その通りです。私が勝手にに転んだのですわ。ご心配おかけしました。もう大丈夫ですから、」


「大丈夫な訳あるか! 心配して当然だろう! 大事なセリーナに何かあったらと思うと居ても立っても居られない!」


「ジェフェリー様……」


 きゅっと胸が掴まれる思いがしました。ジェフェリー様の顔を見ると真剣な顔つきで、心配してくださっているのが分かりました。


「ちょ、セリーナあんまり見ないで、恥ずかしいから、いや、嬉しいけど、くそ、可愛いな、」


 急にしどろもどろになるジェフェリー様はいつもの様子に戻りました。
 さっきはカッコよかったのに……。




















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