拝啓、元婚約者様。婚約破棄をしてくれてありがとうございました。

さこの

文字の大きさ
37 / 100

図書館は楽しいです

しおりを挟む

「あら? こんなところにソファが?、」

 古代語の本が並んでいるスペースにソファが設置されていました。硬くもなく柔らかすぎず、座り心地が良さそうな歴史を感じさせるベルベット素材のソファでした。

「配置換えをしたんですよ。ここにソファがあるとリラックス出来ると思い、置いてみました」

 近くにいた司書様から返事が返ってきた。こちらの司書様は子爵家のご子息だそうで、王国の歴史を勉強されている学者様でもあります。図書館で働いて蔵書に囲まれる幸せな職場だとキラキラした顔で言っておられましたわ。この方、本が恋人なのだと揶揄われていましたわ。

「歴史がありそうなソファですのによろしいのですか?」

 派手さはないけれど、ベルベットの手触りも素晴らしくよく、何より作りが繊細で美しいのです。

「どうぞ、どうぞ。このコーナーは人も少ないですし、ゆっくりして行ってください。少しずつ配置を変えながら図書館に来てくださる方にリラックスして貰えるよう配慮していきますので、また感想を聞かせてくださると助かります」

「まぁ。それでしたら遠慮なく利用させていただきますわね」

 本を選ぶといいながら、夢中になり立ち読みをして気がついたら足が浮腫んでしまう事も多々……本をとって離れた場所にあるソファまで行くのが面倒だったりしますもの……助かりますわ。

 読みかけの本を手に取り、ソファに腰掛ける。そしてノートを取り出し膝に乗せ、気になったところや要点をノートに纏めていた。ソファがあるおかげで調べ物が捗りますわね。


 学園ではテストが始まろうとしていたので、流石に趣味の調べ物のために王宮図書館まで行くことは出来なくなりました。来期にはハリスとパティが入学してきますので、姉として恥ずかしくない点数を取らなくてはいけませんのでテスト勉強をしていました。

 私は五位、セシリーはいい成績を取る発言の通り十位でした。セシリーの成績は大幅にアップしていて復習の大事さを知りました。

「リュシエンヌが怪我してくれたおかげで成績が上がったわ……ありがとう! 怪我の功名だわ」

「馬鹿な事を言うのはやめてよ……怪我の功名だなんて。私のケガなのに」

 と言って笑った。今日はセシリーにケーキをご馳走する為に街へと出ました。艶々のフルーツに甘すぎない生クリームがなんとも言えないケーキでつい食べすぎてしまいました。家族へのお土産に焼き菓子と紅茶も買いました。ハリスとパティも行きたがっていたので、今度は一緒にいきましょうね。と約束をしました。

 テストが終わると少し長い休暇があります。それから卒業式、入学式となっていきます。

 長い休暇はお茶会に誘われることも多く、お茶会へといきます。私に婚約者がいないのを気にして、主催者は気を遣って? 子息を紹介してくれたりするのですが……疲労が半端ありませんわね。

 毎回子息を紹介され、デートのお誘いなどもあるのですが受ける気にはならず、お茶会へ行くのが辛いですわ……

 趣味は何かと聞かれて、読書や刺繍と言いますと淑女の鏡だとか褒められますが、なんだか古代語に興味があります。というのは言いたくありませんでしたわ。
 会話が続かないでしょうし、興味のない事を話されても困るでしょうから……それになんとなく知られたいとも思いませんでしたもの。

 お茶会のない日に図書館へ行く事にしました。本日の図書館はいつもより人が多いように感じましたわ。学園の長期休暇に入りますと、生徒が多くなるのだそうです。普段はわざわざ王宮図書館まで来なくとも国立図書館なども利用するのですが、そうなると国立図書館も人が増え、長期休暇になると王立図書館も人が増えるのだそうです。司書様は長期休暇は図書館も活気つくので模様替えもやり甲斐につながるのだそうです。

 私はいつもの二階のコーナーへ行く事にしました。するとソファの前に丸テーブルが置かれていましたの!

「まぁ、なんて至れり尽くせりなのかしら! 素敵な机だわ」

 嬉しくて声をあげてしまいました。慌てて周りを見ると誰も居なかった事にホッと胸を撫でおろしました。図書館で一人で騒いでいる人などおりませんもの。注意を受けて立入禁止とならないようにしなくては……

 本日も古書を扱うので白い手袋を付けました。手汗などを付けてシミにならないようにという配慮からです。これは学園の司書様から教えて頂いたのです。うっかり指を切り血が出るのも防げます。お借りした物を汚すわけにはいけませんもの。それから図書館では白い手袋を付けるようになりましたの。

 今日も今日とて学びのある時間でしたわ。夕方が近くなってきますので、そろそろ帰ろうと思います。今読んでいる古書は図書館で読む事は出来ますが、お借りすることは出来ませんので、また読みにくるとして別の本を借りていきました。令嬢達から人気のあるロマンス小説でした。今回は騎士様と恋をするシリーズですわ。
 
 

 
 

 
しおりを挟む
感想 197

あなたにおすすめの小説

婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。

黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」 豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。 しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに

おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」 結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。 「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」 「え?」 驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。 ◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話 ◇元サヤではありません ◇全56話完結予定

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

婚約破棄に、承知いたしました。と返したら爆笑されました。

パリパリかぷちーの
恋愛
公爵令嬢カルルは、ある夜会で王太子ジェラールから婚約破棄を言い渡される。しかし、カルルは泣くどころか、これまで立て替えていた経費や労働対価の「莫大な請求書」をその場で叩きつけた。

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】 今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。 「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」 そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。 そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。 けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。 その真意を知った時、私は―。 ※暫く鬱展開が続きます ※他サイトでも投稿中

処理中です...