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見たことのない光景をただ眺めていた。しばらくするとそこに残っていたのは、倒れて動かない汚らわしいものだった塊と、彼らを剣で斬ったと思われる人の立っている姿。
その人は剣を収め、倒れている塊の懐から何かを取り出していた。それからこちらを向く。輝かしい瞳が、ニコリと微笑みを浮かべながらこちらへ近付いてくる。踵を鳴らす音がとても凛々しい。
そんな姿に惚れ惚れしていると、しゃがんでいるこちらに目線を合わせるためにその人が膝を付く。
「はじめまして、金魚姫。あなたを助けに来たの」
心地よく響く女性の声で、金魚姫、そう呼ばれた。特異とする力によってそう呼ばれている。金魚という生き物は素敵なものらしいが、同じように鉢の中でしか生きられない。それが嫌だった。
この力があれば、誰もが万能を得る。そんなでたらめが広がっていた。
けれども、彼女は違って見える。この力を求めず、助けるという言葉に嘘偽りはないと思われる。けれども、金魚姫という言葉がどうも引っ掛かる。
「……あ、りがとう」
「とても素敵な声。その声であなたの名を聞かせて」
その言葉にとても驚いた。まさか、本当の名前があると分かっていたなんて。金魚姫と呼んでいたのは、名前が分からなかったからだろう。
その人は剣を収め、倒れている塊の懐から何かを取り出していた。それからこちらを向く。輝かしい瞳が、ニコリと微笑みを浮かべながらこちらへ近付いてくる。踵を鳴らす音がとても凛々しい。
そんな姿に惚れ惚れしていると、しゃがんでいるこちらに目線を合わせるためにその人が膝を付く。
「はじめまして、金魚姫。あなたを助けに来たの」
心地よく響く女性の声で、金魚姫、そう呼ばれた。特異とする力によってそう呼ばれている。金魚という生き物は素敵なものらしいが、同じように鉢の中でしか生きられない。それが嫌だった。
この力があれば、誰もが万能を得る。そんなでたらめが広がっていた。
けれども、彼女は違って見える。この力を求めず、助けるという言葉に嘘偽りはないと思われる。けれども、金魚姫という言葉がどうも引っ掛かる。
「……あ、りがとう」
「とても素敵な声。その声であなたの名を聞かせて」
その言葉にとても驚いた。まさか、本当の名前があると分かっていたなんて。金魚姫と呼んでいたのは、名前が分からなかったからだろう。
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