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第117話 危機意識
しおりを挟む「あっくん、私ラルフからも話が聞きたいんだけど、異性だと話しにくいかな?」
「えっ…あ~どう、かな?
話しにくい内容ではある、よね。
男のプライドもあるだろうし…」
「プライド?浮気されたからってこと?」
「あ゛~~えーーーーっと」
「もしかして同性愛者だった?」
「うーーーーーん…」
「もしかして勃たないとか?」
「ちょっっっ!しーちゃん!?」
「正解なんだね。私は下ネタ平気だけど、あっ!ラルフ貴族だったっけ。貴族だとお上品なのがデフォ?」
「しーちゃんって時々驚く程性にオープンだよね…」
「あー、うん。そうだった。マッキーにも注意されてたんだった。開けっぴろげ過ぎると男はドン引きするし品もないからやめなさいって。」
「マッキーって誰?」
「私の親友。土木の現場で働いてるとさ、周り男ばっかりでしょ?15から働いてたし。
みんなもっとエグいこと言うから耳年増って言うやつだよ。」
「もしかしてなんかされたの!!??」
凄い勢いで詰め寄ってくるあっくん!
「びっくりしたぁ。何もされてないよ。ていうか、そもそも女認定されてなかったし。
あ、でも一回あったかも。腹パン一発でKOしたけど。それより親方の怒り方が半端じゃなくてドン引きしたなぁー。」
「しーちゃんこそ危機管理能力どこいったの!?
アッケラカンと言うことじゃないよ!!」
「大丈夫だよ。私より強いやつなんてそうそう居ないし。」
「駄目っ!!!もう!絶対一人にならないでよ!」
「ここの奴等ならもしそーゆーことあっても躊躇いなく殺せるからいいよね!」
「それは全力で殺してくれ!!てか襲わせないけど!」
「あはははは!全力で殺してくれって!」
「笑い事じゃないよ!
本気で心配してるんだ!
しーちゃんは可愛い女の子なんだから!
誰かがそれに気がついて狙ってるかもしれないでしょ!
絶対一人にならないって約束して!!」
「…うん。約束する。
そうなったら助けてくれるでしょ?」
「勿論!だけど極力俺から離れないでよ!」
また変なスイッチ入っちゃったよ。
あっくんて過保護なんだよね。
女の子扱いなんて殆どされたことないから戸惑うわ!
「で?肝心のラルフは?」
「あ、そうだった。そればっかりはなぁラルフ本人に聞いてみないとなんとも…」
「そりゃそうだ。じゃラルフ呼んでくる。」
「いや、俺が呼んでくるよ。話せそうになかったら連れてこないから。」
「わかった。よろしくね。」
あっくんとラルフが戻ってきた。
ってことは話せるってことだよね。
あっくんは眉間に皺寄せてるけど。
「来てくれてありがとう。話したくないことは話さなくてもいいからね。」
「いえ、紫愛様からの質問でしたらお答えいたします。」
「無理しなくてもいいんだよ。無理するとかえって良くないから。詰問じゃないから気楽にね?」
「はい。お気遣いありがとうございます。」
「じゃ聞くね。結婚して何年?」
「9年です。」
「一度も性交渉はない?」
「…はい。」
「それはどうして?」
「その…常に擦り寄ってくるような女子ばかりだった為か、女子に嫌悪感をもっておりまして。」
「ラルフのお母さんや姉妹との関係は?」
「貴族の女子らしい、とだけ言っておきます。」
「不仲だと?」
「不仲と言うより、そもそも接触自体ありません。たまにパーティーで見かける程度で、その時の印象で正しく貴族女子だなという認識しかありません。」
「女性との性交渉の経験は?」
「ございません。」
「騎士団のみんなと夜の生活の話になったりはしないの?」
「ほとんどの者がそのような話はしています。ですが私は団長の尻拭いに追われていたのもあって、横で聞いてはいても参加する程の時間の余裕もなく。」
「やっぱり現場人間の集まりだとそうなるよね。じゃあ知識がないわけではないってこと?」
「はい。」
「貴族同士での浮気の現状は?」
「その……当たり前です。していない方がむしろ不自然と言いますか…」
「はぁ?じゃあ政略結婚の意味は?」
「それは…無いに等しいかと…」
「あのクソ皇帝!制度だけ作って満足してるとかほんと使えないっ!
ごめん脱線した。
ラルフは男性が好きなの?」
「は?」
「だから、性の対象がそもそも男か聞いてんの。」
「それはそれで…気色が悪いですね。」
「女性の身体を見ての性的興奮は?」
「ありません。」
「じゃあ勃起はする?」
「ちょっとしーちゃん!!??」
「あっくんは黙ってて。ラルフどう?
別に答えたくなかったら言わなくていいんだよ。」
「…はい。します。」
「じゃあ自分で処理したことは?」
「…………あります。」
ラルフ顔真っ赤。皮膚青くても真っ赤になるんだ。
「その子種ってどうしたの?水に流した?それとも布か何かに出したりした?」
「……水で……洗い流しました。」
「それって毎回?」
「しーちゃん!!!」
「大事なことだから黙っててってば!」
「あの……いつも、その…浴場で、なので…」
「わかった。ありがとう。キツイ質問ばっかりしてごめんね。
あのね、ラルフが知らないだけで体外受精があるかないか確認したかったの。
もし自分の子供なのにそうじゃないと思ってるのって、辛いでしょ?
だから子種を盗まれたりしてる可能性を探ってた。
あとは、病気の可能性。
勃起しないっていうのは、なんらかの病気の可能性もあるの。
高血圧、糖尿病、うつ病、他にも色々あるけどね。
だから心因性なのか病気なのか確認したくて。
正直に答えてくれてありがとう。
とりあえず病気はなさそうで安心した。」
「紫愛様の質問は、私の心配をしてくださってのことだったんですね。」
「あ、ごめん。最初に言えばよかったね。
そりゃあっくんが守ろうとしたんだからよっぽど辛かったんでしょ?
私だって善良な人に敵意向けたりはしないよ。
なに?私が興味本意であんな下世話な質問したと思ってたの?」
「いえ、それは考えておりませんでしたが、何故そのようなことを知りたがるのかとは…
その知識は地球では当たり前なのですか?」
「普通の知識だと思うけど…ここではそういう専門家とかいないの?」
「いるのかもしれませんが、私は存じません。」
「あっ!ラルフ!私は?」
「紫愛様がどうかいたしましたか?」
「私も一応女だけど……もしかして今ので更に苦手になったとか…」
「いえ!紫愛様に嫌悪感は感じたことがございません!」
「へ?なにそれ?まさか女とも認定されてないとか?異世界に来てまでも!!??」
「いえ。紫愛様は下心がございませんから。それに清らかで頭も良く美しく、文句の付け所など少しもございません。」
「いやそれはそれでどうなのよ!?
目がおかしいんじゃない?」
「いいえ、そう思っているのは私だけではありませんから。」
「へ?」
「紫愛様が団長をお諌めする姿を見て、殆どの者達はとても好感を抱いておりました。
だからこ「おい!余計なこと言ってんじゃねぇぞ!」
「………申し訳ございませんでした。」
「ふーん、それを経てのあの眼差しなわけね。」
「しーちゃん!?まさか「そりゃ気がつくよ。あんだけ性的な目で見られてたら。」
「じゃあ何でそういうやつら外さなかったの?」
「だってそれと護衛は別でしょ?
今まで綺麗な人や好みのタイプの護衛につくことだってあっただろうし、そういう時の視線すら気をつけろっていうのは難しいでしょ?私が強いのもわかってんだからそーゆー目線は関係ない。人の気持ちは変わるし、人にどうこう言われて変わるモノでもない。
誠心誠意きちんと仕事に向き合えるかどうか。
それがわからなかっただけ。
性的な目と同じだけ敵意も感じたから確かに気持ち悪かったけどね。
色々感じたのは握手してた時だったから、もしあっくんがその護衛残そうとしたら嫌がるつもりだったよ。」
「川端様、紫愛様の方が上手でございますよ?」
「しーちゃん!自覚あってのさっきのやり取りはないよ!しーちゃんは確かに強いけど慢心じゃない?数で来られたらどうするつもり?もし相手が手段を選ばなかったら?」
「それは…ごめんなさい。」
「しーちゃんがそんなだったら香織さんや麗のことなんて言えないよ!」
「はい。」
「本当に気をつけてよ!
心配してもし足りないよ!
こんなに可愛いくて狙われてるのも自覚してんのに危機意識ゼロとか何考えてんだかっ!!」
なーんか妙な怒られ方してる気がする。
「女扱いされたことなんてなかったんだもん。
対等に扱ってくれたのってマッキーだけだったし。」
「え!?マッキーって男なの!?」
「は?女の子だよ!」
「なんだそっか。」
何でマッキーが男だと思ったんだろ?
「あの、少しよろしいですか?」
突如ラルフが会話をぶった斬る。
「どうした?」
「何故今辻井様の名前が出たのでしょう?
確かに一部には狙われそうな可愛さではありますが、彼は男子では?」
「「は?」」
ラルフの意味のわからない発言で部屋は静まり返った
応援ありがとうございます!
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