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第172話 勘違いの答え②
しおりを挟む「そんなこと習ってないから知らない!」
「麗ちゃん、私と紫愛ちゃんは責めているわけではないわ。もし病気だった場合、これから何か症状が出てくるかもしれないの。それを心配しているだけよ。」
「でも!急にそんなこと言われたって…
個人差だとしか思ってなかったから…」
「麗ちゃんのお母さんは、麗ちゃんに何か言ったりしていなかったかしら?
生理はまだなのか?とか、下着は足りてるのかとか。」
「両親は私に興味なかったから…あんまり会ったことない。」
「別々に暮らしていたの?」
「一緒に暮らしてたけど、私が居ても居なくても気にも留めないし、私もそれが楽だったから。」
「そう、なのね。
病院に行ったりしたことはある?」
「覚えてないです。」
放置されてたってこと?
こんなに知識がないのも麗に無関心だから?
生理がきてないことくらい親ならわかるはずなのに、その声かけもないくらい接触がなかったの?
どうしてここに連れて来られる人は苦しい過去ばっかり持った人なのよ!!
麗が素直になれない理由がわかった気がする。
そこまで興味がなさそうにされたら、最初はきっと関心を引きたくて麗だって頑張ったはず。
何をしても無関心を貫かれた末のこの性格なら親のせいだ!!
とりあえずどこまでの知識があって、昔と今の体調に変化があるのかどうか、確認しないと!
「麗は昔と今とで何か体調に変化があったりする?」
「何もない。」
「体調不良も何もない?」
「ないよ。」
とりあえずの不調はなさそうで一安心。
「麗はさっき色仕掛けって何?ってあっくんに聞いてけど、意味はわかってる?」
「意味わかんないから聞いたんでしょ?」
「女を武器にして男に迫ることを言うの。」
「女の何が武器になるって言うのよ!」
「例えば、だけど、男にはない膨らんだ胸を見せたり押し付けたり、そういうことをするの。」
「それの何が武器なの?意味わかんない。」
わからない??
性的なことの知識もないってこと?
あれ?学校で習わないっけ?
「じゃあ、男に狙われるって意味はわかる?」
「女の方が男より力が弱いから狙いやすい女が狙われるってことでしょ?」
「性的に見られるって意味はわかる?」
「わかんない。」
カオリンと顔を見合わせる。
「麗ちゃん、赤ちゃんがどうやってできるかは知ってる?」
「卵子に精子が入り込んで受精卵になるんでしょ?」
それは知ってるんだ…
学校で習うことだから知ってて当然かな?
「じゃあ具体的には何をするか知ってる?」
「精子を出して卵子とくっつける。」
ん?それさっきと同じ答えじゃないの?
「そうね、それはどうやるか知ってる?」
「??どういう意味?」
あーカオリンが困りだした。
ここからは私の出番だ!
「麗、勃起って知ってる?」
「海綿体に血が流れること。」
「じゃあ勃起はどんな時に起こる?」
「性的興奮?」
「性的興奮てどんな時に興奮するんだと思う?」
「知らない。」
「じゃあsexは知ってる?」
「知らない。」
「じゃあ、えっちは聞いたことある?」
「あるけど、意味はよくわかんない。」
「地球のみんなが何でここまで異世界人達を怖がってるのかわかる?」
「利用されそうだからでしょ?」
「具体的にどんなふうに利用されようとしてるのかわかる?」
「無理矢理魔法使わせようとさせられるか、実験対象としてモルモットにされそう。」
「うん。それも正解。
でも、他にもある。
麗は隠されてるのが嫌なんだよね?
でも、聞いて気分の良い話では絶対にないよ。それでも、これから自分の身に起こるかもしれないことではある。
もちろん全力で守るつもりだけど、何をするにしても100%って不可能だよね。
だから麗も自分で自衛してほしくて今頑張ってもらってるの。
どうする?知りたい?知りたくない?
知りたくないなら私はもう教えない。」
「知りたいに決まってんでしょ!!」
「じゃあ言う。
私達が狙われるもう一つの理由はね
子供を作らせること。」
「は?」
「子供を無理矢理妊娠させられるかもしれないってこと。
地球人は魔力が高い。
それにあっくんは三因子持ってる。
地球人と自分たちの子供なら、さぞ強い子供が産まれてくるだろう。もしかしたら複数の因子を持って産まれてくる可能性もある。
そう思われてるの。
さっきカオリンが麗に聞いたよね?
子供を作る方法を。
麗はこう答えた。
“精子を出して卵子とくっ付ける”
それは正解だよ。
じゃあ、その精子はどこで出すの?
麗は、どこで出した精子と卵子とをくっ付けると思ってるの?」
「そんなのテストに出なかったからわかんない。」
「じゃあ卵子はどこにある?」
「卵巣。」
「じゃあどこに着床して赤ちゃんは育つの?」
「子宮。」
「卵子は自分で動く力はないんだよ。
卵子が子宮より下に落ちてきたらもう妊娠はしない。くっつける壁がないんだから。
じゃあ妊娠させるにはどこで精子を出したらいいと思う?」
「子宮、だよね?」
「正解。
じゃあ子宮に精子を出す方法は?」
「………そんなの無理。
みんなどうやって妊娠するの?」
「方法はあるんだよ。」
「まさか、手術?」
「違うよ。
もっと手っ取り早い方法があるの。
その方法はね、勃起したち◯こを差し入れて膣で射精するんだよ。
精子は自由に動けるから、膣に出された精子は子宮に向かって進んで行く。子宮で卵子と精子がくっついてうまく着床すると妊娠するんだよ。」
「……なに、それ…………まさかみんなそうやって妊娠してるの?」
「不妊で悩んでなければそうだよ。」
「信じらんない!!そんな汚いこと!!
それに!そんなこと痛くないわけ!?」
「無理矢理されたら痛いに決まってるよ。」
「無理矢理って………無理矢理できるもんなの?」
「できるよ。性的なことっていうのはそういうこと。女の裸を見ても性的興奮はするし、その行為にも性的興奮する。勃起すればあとは入れるだけ。男は気持ちいいだけだからね。こっちが痛くて泣き叫んでも妊娠させるのが目的だからね、射精するまで終わらないよ。」
「みんな……そんな思いして妊娠するの?」
「それは違うよ。
さっき言ったよね?
無理矢理されたらって。
合意の上でお互いを大切に思い合っていたらお互いが気持ちよくなれるんだよ。
夫婦はね、お互いが好きで大切で、この人に愛を伝えたいと思ってする行為なの。この人の子供がほしいと思ってする行為でもあるんだよ。」
「みんな…………これ、わかってたの?」
「そうだよ。カオリンも私もあっくんも金谷さんも優汰も怖がってる。
そんな大切な行為を無理矢理されて、大嫌いな奴等の子供をもし妊娠させられたら?女は十ヶ月お腹で育てないといけないんだよ?
耐えられると思う?
この世界には医療技術なんてほとんどない。
中絶も多分できないし、あったとしてもさせてもらえると思う?」
「そんなの……モルモットより最悪!」
「でしょう?だからあっくんは、男に勘違いされてるならそのままの方が安全だって思ったの。もちろん私だってそう思ったよ。」
「私の、ため……」
「私はね、麗はかなり繊細な子だと思ってる。
そんな繊細な子に、性別を間違われてるなんてどう言っていいかわからなかった。
隠しててごめんね。」
「それは、もういいよ。
私は生理がきてないから、もし狙われても子供はできない?」
「うん。できない。でもそれは異世界人達にはわからないことだからね。女だとバレたら狙われることに変わりはない。
でも、それよりね、麗は第二次性徴期がきてないんじゃないかと思うの。
カオリンはどう思う?」
今まで見守ってくれていたカオリンにも聞く。
麗はカオリンのことを信頼しているから、カオリンからの言葉の方が受け入れやすいよね?
「私もそう思ったわ。
さっき麗ちゃんに胸を見せてもらって腰を触らせてもらったけれど、女性特有の身体つきを一切していないの。
胸はほんの少しも膨らんでいないし、腰の骨も出ていない。身体の肉付きも丸みを帯びていない。」
私は麗の症状に思い当たる病気があった。
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