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第三章:労働編
028:転嫁(暁の旅団視点)
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「あいつの所為だ……青つのせいだあいつの所為だあいつの所為だーーー!!」
ぶつぶつと呟きながら、獣道を駆け抜けるアレス。
枝で頬を引き裂かれても、服の裾を破かれても、張り出した太い枝に肩を打たれても、一切構う事なくただ走り続けていた。
「そうだ、そういう事だったのか……あいつの所為で俺はこんな目に遭っているのか……そうだ、そうだったんだ、そうじゃなきゃおかしかったんだ……!!」
前だけを見据えていたアレスの目が、徐々に狂気を帯びていく。口は弧を描き、全身から形容し難い悍ましい気配が漂い始める。
彼の胸中は今、確かに怒りで満たされていたが、その顔は嬉しくて堪らないといった表情で溢れていた。
「あいつの呪いの所為で! 俺はこんなに失敗を繰り返すようになったんだ! じゃなきゃおかしいからな! 俺がこんな雑魚みたいな扱いを受けるわけがない! 俺は《暁の旅団》の頭! そこらの冒険者とは格が違う優れた人間! そんな俺が失敗するなんてーーーあいつの邪魔があった所為に決まっている!!」
脳裏に浮かぶ、今朝追い出したばかりの邪魔者の顔。
ぼろくそに貶して追い出したというのに、ちょっと眉を顰めただけでさっさと出て行った薄情者。いるだけで何の役にも立たなかった路傍の石。
全てはあの男がいなくなった時から狂い始めた。
あいつを追い出して清々するはずだったのに、自分のやる事なす事全てがうまくいかなくなった。自分に賛同していた女達でさえ、蔑んだ目を向けるようになってしまった。
全ての不幸はあの男が去ってから始まった。
という事はつまりーーーあの陰険な男が、己を呪って不幸な目に遭わせているのだという事になるではないか。
胡散臭い、〈呪術士〉如きに己を呪える力があったという事になるではないか。
「はは、ははははは……!【呪い】なんて大した効果もないなんて思ってたのに、ちゃんと効いてるじゃないか……ははっ! あいつめ、自分の為にだけ使って、仲間に使う時は手を抜いていたな!? はははは……とんでもない裏切りだ!!」
顔中、棘で引っ掻いた傷だらけにして、真っ赤に濡れながらアレスは走る。喚く。吠える。
自分をこんな目に遭わせた、陥れようと卑怯な力を使う恩知らずの昔馴染みに対する憎しみを滾らせ、その者の居場所を目指して駆け続けた。
「後悔させてやる! 私を馬鹿にした報いを受けさせてやるぞラグナ! はははははははは……!!」
月光に照らされた深い森の中で、無気味な男の嗤い声が長く、遠く響き渡っていったーーー。
ぶつぶつと呟きながら、獣道を駆け抜けるアレス。
枝で頬を引き裂かれても、服の裾を破かれても、張り出した太い枝に肩を打たれても、一切構う事なくただ走り続けていた。
「そうだ、そういう事だったのか……あいつの所為で俺はこんな目に遭っているのか……そうだ、そうだったんだ、そうじゃなきゃおかしかったんだ……!!」
前だけを見据えていたアレスの目が、徐々に狂気を帯びていく。口は弧を描き、全身から形容し難い悍ましい気配が漂い始める。
彼の胸中は今、確かに怒りで満たされていたが、その顔は嬉しくて堪らないといった表情で溢れていた。
「あいつの呪いの所為で! 俺はこんなに失敗を繰り返すようになったんだ! じゃなきゃおかしいからな! 俺がこんな雑魚みたいな扱いを受けるわけがない! 俺は《暁の旅団》の頭! そこらの冒険者とは格が違う優れた人間! そんな俺が失敗するなんてーーーあいつの邪魔があった所為に決まっている!!」
脳裏に浮かぶ、今朝追い出したばかりの邪魔者の顔。
ぼろくそに貶して追い出したというのに、ちょっと眉を顰めただけでさっさと出て行った薄情者。いるだけで何の役にも立たなかった路傍の石。
全てはあの男がいなくなった時から狂い始めた。
あいつを追い出して清々するはずだったのに、自分のやる事なす事全てがうまくいかなくなった。自分に賛同していた女達でさえ、蔑んだ目を向けるようになってしまった。
全ての不幸はあの男が去ってから始まった。
という事はつまりーーーあの陰険な男が、己を呪って不幸な目に遭わせているのだという事になるではないか。
胡散臭い、〈呪術士〉如きに己を呪える力があったという事になるではないか。
「はは、ははははは……!【呪い】なんて大した効果もないなんて思ってたのに、ちゃんと効いてるじゃないか……ははっ! あいつめ、自分の為にだけ使って、仲間に使う時は手を抜いていたな!? はははは……とんでもない裏切りだ!!」
顔中、棘で引っ掻いた傷だらけにして、真っ赤に濡れながらアレスは走る。喚く。吠える。
自分をこんな目に遭わせた、陥れようと卑怯な力を使う恩知らずの昔馴染みに対する憎しみを滾らせ、その者の居場所を目指して駆け続けた。
「後悔させてやる! 私を馬鹿にした報いを受けさせてやるぞラグナ! はははははははは……!!」
月光に照らされた深い森の中で、無気味な男の嗤い声が長く、遠く響き渡っていったーーー。
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