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第三章:労働編
026:豹変(暁の旅団視点)
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がさがさと荒っぽく草木を掻き分け、レッカが班の先頭を担って前へ進む。
ぶすっと不機嫌そうに表情を歪め、苛立ちを叩きつけるように地面を踏みしめ、先を目指す。他二人の女性も似たような表情で、後ろにいる男の顔をなるべく見ないようにしながら獣道を歩いていた。
班の最後尾を歩くアレスは居心地悪そうに黙っていたが、やがて我慢の限界に達したのか、きっと目を吊り上げて声を荒げ始める。
「おい! さっきからなんだお前ら! 何にも言わねぇでいると思えばちらちら俺を睨みやがって! 俺が何したってんだよ!?」
「……自分の班を潰しかけただろうが」
地団駄を踏み、子供のような癇癪を見せつけて騒ぐアレスに、レッカはぼそりと吐き捨てるように言う。
咎めるような冷たい言葉を向けられ、しかしアレスは臆する事なく、怒りで顔の上半分を赤く染めてさらに喚き出す。
「俺の何が悪いってんだ! ちょっと間違っただけだ! あの時も、あんな獣の一匹ぐらい別に逃げずに殺してやればよかっただろ! こんな遠回りなんかせずによ!!」
「……馬鹿か。地竜は硬いんだ、殺そうと思って簡単にできるやつじゃない。こんな敵だらけの森の中でいちいちあんな厄介なやつを相手にしていられないよ」
はぁ、と深い溜息をつき、レッカは肩を落とす。
班に入った頃はもう少し頼りになる男だと思っていたのに、先に班にいた邪魔者を追い出した矢先でこうも情けない面ばかりが目立つようになってきた。
一体どこで間違ったのだろう、と頭を掻き、鼻息荒く睨みつけてくる男に冷たく横目をやる。
「お前、今までどうやって生きてこられたんだ? あたしらが仲間に加わるまでも、依頼を成功させてきたんだろ。それなりに名が売れた班だって噂があったから、こっちから入れてくれって頼んだんだのに……最近は全然そんな風に感じられないね」
「そうですね。噂とずいぶん乖離しているように感じます」
「がっかり……」
レッカが疑問を口にすると、ナナハとリリィも訝しげに尋ねる。その目には明らかな落胆が芽生えており、アレスに対する失望がありありと表れていた。
「なっ……! そ、そんな事はねぇ! きょ、今日はたまたま調子が悪かっただけで……」
「お前の行動を見る限り、昨日今日の問題じゃなさそうだがな……お前、冒険者を始めて一年だったか? どんな初心者でも、一年経てばもう少しましな奴になるぞ」
「……っ!!」
アレスの弁解に耳を貸さず、素直な感想を口にするレッカ。最早彼女はアレスを班の頭ではなく、入りたての新入りのように見ている。
ナナハに至っては道端の塵を見るような嫌悪に満ちた目を向けており、リリィに関してはもう完全に興味をなくしてそっぽを向いている始末であった。
「正直に言って、今のあなたは足手纏いに他なりませんわ。動きは拙く力もない、挙句頭も足りず配慮もない……あなたの方こそ、《暁の旅団》に必要のない人間に思えますわ」
「っ…! ……!!」
一方的に扱き下ろされ、見下され、アレスの顔はみるみる赤黒くなっていく。
額と手の甲には無数の血管が浮き出し、ぶるぶると震える握り拳の隙間からは、爪で破られた皮膚から垂れ出した鮮血が滲み出る。
いまにも弾けそうな風船のような印象を抱かせるアレスの憤怒ぶりを見やり、ナナハは深い溜息をこぼした。
「ーーーはぁ、こんな事ならあの穢らわしい〈呪術士〉をここにいさせてあなたを追い出したほうがましな気がしてきましたわね」
その瞬間、アレスの中でぶちっ!と何かが切れる音が鳴る。
彼はぎりぎりと歯を食い縛りながら、突然駆け出しレッカ達の前に飛び出したかと思うと、自分の得物である剣の柄に手を掛けた。
「ぐぅう……く、き、こ、この……! 糞女共が! 調子に乗るな!!」
蔑視を向けられる事など、追い出した昔馴染みの男以外に向けられた事のないアレスはかっと頭に血を登らせ、激情のまま腰に履いた剣を抜き放つ。
途端にレッカ達は空気を一変させ、鋭い視線でアレスを射抜き出す。
「……事実を述べただけですよ。それだけで仲間に剣を向けるのですか」
「うるせぇ! 俺を馬鹿にすんじゃねぇ!《暁の旅団》の頭は俺だ! お前らは俺の指示に従うのが、俺を敬うのが当たり前なんだよ! 見下すんじゃねぇ!!」
我を失った獣のように荒い呼吸を繰り返し、切っ先を突きつけてくるアレスを前にし、ナナハは表面上は冷静に、内心では冷や汗を垂らして告げる。
半ば正気を失っている〈剣士〉と相対し、拙くも十分危険な凶器を突きつけられ、否応無く緊張を強いられる。
そこへ、レッカが固まって動けなくなった彼女の前に移り、彼女を庇ってアレスの前に立ち塞がった。
「馬鹿な事はやめな、仲間を斬る気かい」
「お、お前らがその目をやめればいいだけだ! これは仕置だ! 俺に従わない屑な手下に対する俺の躾だ! 逆らうんじゃねぇ!!」
血走った目で吠えるアレスを見下ろし、レッカはすっと視線から感情を消し去る。
向けられた剣の切っ先はぶるぶると震えていて、明らかに持ち主が冷静でない事を示している。激情のあまり、獲物を握る手に余分に力が籠もってしまっているらしい。
レッカはやがて、はぁと深い溜息をこぼすと、おもむろにアレスの方へ踏み出す。凶器を目前にしながら、その一歩には一切の躊躇いがなかった。
「ひ!? う、うおわぁぁぁぁ!!」
向かってきた大柄な女に威圧されたのか、アレスは一歩後退りながら、震える剣を構える。
そして情けない気合の声とともに、上段から斬り捨てようと振りかぶり……そのまま、レッカに刀身を掴まれ、剣を森の中のどこかに放り投げられてしまった。
「へーーーぶへぁっ!?」
得物を奪われ、しかし何が起こったのかわからない様子で、アレスは自分の両手を見下ろし呆ける。
直後、棒立ちになった彼の顔面にレッカの拳が叩き込まれ、アレスはどたっと勢いよく地面に倒れ込む。鼻からは血が勢いよく噴き出し、あたりの草木に生臭い模様を描く羽目になる。
そんな、あっさりと倒れた班の頭の姿に、レッカ達は唖然とした顔で立ち尽くしていた。
「……こいつ、本当に弱ぇな。噂になってた戦果ってのは、本当に一体なんだったんだ?」
「私達を謀った愚か者です。聞くだけ無駄でしょう」
「……こいつ、ラグナよりきらいになった」
口々に目の前で顔を血塗れにさせた男に対する悪態をつき、僅かに溜飲を下げる三人。
だが、殴った後でレッカは険しい顔になり、ぴくぴくと痙攣するだけになった班の頭を冷たく見下ろす。
「しっかしどうすっかなぁ……班の頭がこんなんだったってわかっちまったのに、これ以上依頼を続けられねぇだろ」
このまま置き去りにする事は人道に反し、このまま依頼を果たしに行っても問題が起きるとしか思えない。
どうしたものか、と悩んでいたその時だった。
「ーーーあいつのせいだ…!」
不意に、気を失っていると思われていたアレスががばっと起き上がり、小さく呟いた。
かと思えば、驚き固まったレッカ達を押しのけるようにして、どこかへ向かって走り去って出したのである。
「あいつの所為だ……あいつの所為だ! あいつの所為だあいつの所為だあいつの所為だ!!」
「お、おい! 何やってんだ!?」
「あいつの所為だ……あいつの所為だぁーーーーーーーー!!」
レッカ達の制止に耳を貸す事なく、アレスは止まらぬ鼻血を撒き散らしながら、耳障りな喚き声をあげて深い森の奥へと消え去った。
残されたレッカ達は、それを呆然と見送る他に何もできずにいたのだった。
ぶすっと不機嫌そうに表情を歪め、苛立ちを叩きつけるように地面を踏みしめ、先を目指す。他二人の女性も似たような表情で、後ろにいる男の顔をなるべく見ないようにしながら獣道を歩いていた。
班の最後尾を歩くアレスは居心地悪そうに黙っていたが、やがて我慢の限界に達したのか、きっと目を吊り上げて声を荒げ始める。
「おい! さっきからなんだお前ら! 何にも言わねぇでいると思えばちらちら俺を睨みやがって! 俺が何したってんだよ!?」
「……自分の班を潰しかけただろうが」
地団駄を踏み、子供のような癇癪を見せつけて騒ぐアレスに、レッカはぼそりと吐き捨てるように言う。
咎めるような冷たい言葉を向けられ、しかしアレスは臆する事なく、怒りで顔の上半分を赤く染めてさらに喚き出す。
「俺の何が悪いってんだ! ちょっと間違っただけだ! あの時も、あんな獣の一匹ぐらい別に逃げずに殺してやればよかっただろ! こんな遠回りなんかせずによ!!」
「……馬鹿か。地竜は硬いんだ、殺そうと思って簡単にできるやつじゃない。こんな敵だらけの森の中でいちいちあんな厄介なやつを相手にしていられないよ」
はぁ、と深い溜息をつき、レッカは肩を落とす。
班に入った頃はもう少し頼りになる男だと思っていたのに、先に班にいた邪魔者を追い出した矢先でこうも情けない面ばかりが目立つようになってきた。
一体どこで間違ったのだろう、と頭を掻き、鼻息荒く睨みつけてくる男に冷たく横目をやる。
「お前、今までどうやって生きてこられたんだ? あたしらが仲間に加わるまでも、依頼を成功させてきたんだろ。それなりに名が売れた班だって噂があったから、こっちから入れてくれって頼んだんだのに……最近は全然そんな風に感じられないね」
「そうですね。噂とずいぶん乖離しているように感じます」
「がっかり……」
レッカが疑問を口にすると、ナナハとリリィも訝しげに尋ねる。その目には明らかな落胆が芽生えており、アレスに対する失望がありありと表れていた。
「なっ……! そ、そんな事はねぇ! きょ、今日はたまたま調子が悪かっただけで……」
「お前の行動を見る限り、昨日今日の問題じゃなさそうだがな……お前、冒険者を始めて一年だったか? どんな初心者でも、一年経てばもう少しましな奴になるぞ」
「……っ!!」
アレスの弁解に耳を貸さず、素直な感想を口にするレッカ。最早彼女はアレスを班の頭ではなく、入りたての新入りのように見ている。
ナナハに至っては道端の塵を見るような嫌悪に満ちた目を向けており、リリィに関してはもう完全に興味をなくしてそっぽを向いている始末であった。
「正直に言って、今のあなたは足手纏いに他なりませんわ。動きは拙く力もない、挙句頭も足りず配慮もない……あなたの方こそ、《暁の旅団》に必要のない人間に思えますわ」
「っ…! ……!!」
一方的に扱き下ろされ、見下され、アレスの顔はみるみる赤黒くなっていく。
額と手の甲には無数の血管が浮き出し、ぶるぶると震える握り拳の隙間からは、爪で破られた皮膚から垂れ出した鮮血が滲み出る。
いまにも弾けそうな風船のような印象を抱かせるアレスの憤怒ぶりを見やり、ナナハは深い溜息をこぼした。
「ーーーはぁ、こんな事ならあの穢らわしい〈呪術士〉をここにいさせてあなたを追い出したほうがましな気がしてきましたわね」
その瞬間、アレスの中でぶちっ!と何かが切れる音が鳴る。
彼はぎりぎりと歯を食い縛りながら、突然駆け出しレッカ達の前に飛び出したかと思うと、自分の得物である剣の柄に手を掛けた。
「ぐぅう……く、き、こ、この……! 糞女共が! 調子に乗るな!!」
蔑視を向けられる事など、追い出した昔馴染みの男以外に向けられた事のないアレスはかっと頭に血を登らせ、激情のまま腰に履いた剣を抜き放つ。
途端にレッカ達は空気を一変させ、鋭い視線でアレスを射抜き出す。
「……事実を述べただけですよ。それだけで仲間に剣を向けるのですか」
「うるせぇ! 俺を馬鹿にすんじゃねぇ!《暁の旅団》の頭は俺だ! お前らは俺の指示に従うのが、俺を敬うのが当たり前なんだよ! 見下すんじゃねぇ!!」
我を失った獣のように荒い呼吸を繰り返し、切っ先を突きつけてくるアレスを前にし、ナナハは表面上は冷静に、内心では冷や汗を垂らして告げる。
半ば正気を失っている〈剣士〉と相対し、拙くも十分危険な凶器を突きつけられ、否応無く緊張を強いられる。
そこへ、レッカが固まって動けなくなった彼女の前に移り、彼女を庇ってアレスの前に立ち塞がった。
「馬鹿な事はやめな、仲間を斬る気かい」
「お、お前らがその目をやめればいいだけだ! これは仕置だ! 俺に従わない屑な手下に対する俺の躾だ! 逆らうんじゃねぇ!!」
血走った目で吠えるアレスを見下ろし、レッカはすっと視線から感情を消し去る。
向けられた剣の切っ先はぶるぶると震えていて、明らかに持ち主が冷静でない事を示している。激情のあまり、獲物を握る手に余分に力が籠もってしまっているらしい。
レッカはやがて、はぁと深い溜息をこぼすと、おもむろにアレスの方へ踏み出す。凶器を目前にしながら、その一歩には一切の躊躇いがなかった。
「ひ!? う、うおわぁぁぁぁ!!」
向かってきた大柄な女に威圧されたのか、アレスは一歩後退りながら、震える剣を構える。
そして情けない気合の声とともに、上段から斬り捨てようと振りかぶり……そのまま、レッカに刀身を掴まれ、剣を森の中のどこかに放り投げられてしまった。
「へーーーぶへぁっ!?」
得物を奪われ、しかし何が起こったのかわからない様子で、アレスは自分の両手を見下ろし呆ける。
直後、棒立ちになった彼の顔面にレッカの拳が叩き込まれ、アレスはどたっと勢いよく地面に倒れ込む。鼻からは血が勢いよく噴き出し、あたりの草木に生臭い模様を描く羽目になる。
そんな、あっさりと倒れた班の頭の姿に、レッカ達は唖然とした顔で立ち尽くしていた。
「……こいつ、本当に弱ぇな。噂になってた戦果ってのは、本当に一体なんだったんだ?」
「私達を謀った愚か者です。聞くだけ無駄でしょう」
「……こいつ、ラグナよりきらいになった」
口々に目の前で顔を血塗れにさせた男に対する悪態をつき、僅かに溜飲を下げる三人。
だが、殴った後でレッカは険しい顔になり、ぴくぴくと痙攣するだけになった班の頭を冷たく見下ろす。
「しっかしどうすっかなぁ……班の頭がこんなんだったってわかっちまったのに、これ以上依頼を続けられねぇだろ」
このまま置き去りにする事は人道に反し、このまま依頼を果たしに行っても問題が起きるとしか思えない。
どうしたものか、と悩んでいたその時だった。
「ーーーあいつのせいだ…!」
不意に、気を失っていると思われていたアレスががばっと起き上がり、小さく呟いた。
かと思えば、驚き固まったレッカ達を押しのけるようにして、どこかへ向かって走り去って出したのである。
「あいつの所為だ……あいつの所為だ! あいつの所為だあいつの所為だあいつの所為だ!!」
「お、おい! 何やってんだ!?」
「あいつの所為だ……あいつの所為だぁーーーーーーーー!!」
レッカ達の制止に耳を貸す事なく、アレスは止まらぬ鼻血を撒き散らしながら、耳障りな喚き声をあげて深い森の奥へと消え去った。
残されたレッカ達は、それを呆然と見送る他に何もできずにいたのだった。
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