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第四章:謝罪編
036:感謝
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「……嫌な再会になったわね」
遠ざかっていくレッカ達の背中を睨み、アリアが吐き捨てる。あいつらを見る目はもう、仇敵を見るかのような鋭い目だ。
いやしかし、なんでお前が怒るかね?
普通俺が皮肉を口にして憂さを晴らす場面だろうに、俺が話そうとした時機にこいつが怒りを露わにするもんだから、すっかり俺の感情の行き場がなくなっちまっただろうが。
……まぁ、すっきりはしたがよ。
「……俺の代わりに怒らんでもよかったんだぞ」
「! べ、別にあんたのためじゃないし! あ、あいつらが気に入らないから勝手に言っただけだし……!」
うん、だろうな。
連中の身勝手さには、傍目から見てても聞いてても苛立つだろうな。
ていうかそんなに腹が立ったのか……顔を真っ赤にして、そこまで怒られると逆に冷静になるぞ。
この一件の当事者俺なのに、全く関係のない他人の立場になった気分だ。
「あんたの方こそ、勝手な事を言われっぱなしで情けないのよ! ちょっとぐらい言い返しなさいよ!!」
「そう言われても……正直どうでもよかったしな」
「そんなわけ……!」
俺が連中にほぼ言い返さなかった事が、そんなに不服か……でもその機会奪ったのお前じゃん。
ごねられたり逆切れされたりしたら流石に俺も本気にならざるを得んが、今回は割とあっさり引き下がったからな。
向こうから突っかかってこない限りは俺も何も言わんよ……つーか単純に相手にするのが面倒臭い。
「アリアちゃん、その辺にしておきましょう。神様のお望みの通りでいいじゃないですか」
「だけど……! あいつらの所為でこいつは……!」
「ですがあの方達の愚行がなければ、私達も出会う事はなかった……そうじゃありませんか?」
……愚行っつった? 今お前、愚行って言った?
シェスカの奴……俺以外に対する発言がちょいと危なげになってきたか……やっぱりちゃんと矯正すべきだったかな。
「私はむしろ、あの方達に感謝しています。あの方達が罪を犯したおかげで私達は救われました……そしてあの方達も己の罪深さを知り、道を改める事ができた。喜ばしい事だと思いませんか?」
「……でも」
「あー、だからもういいって。気にするだけ無駄だ、無駄」
連中との関係はもうとっくに終わった事だ。今更気にして改善も何もねぇ。
この先関わらなきゃ、もう始めから何もなかったのと同じ事だ。考えるのももうなしだ、やめておこう。
「……にぃ、つかれてる?」
「あん? そう見えるか? ……いや、そうかもな。会いたくもねぇ奴らに会っちまったからかな」
ルルが俺の袖を引いて尋ねてきて、俺は大きく深く溜息をこぼす。確かに疲れたな、あいつらとの話は。
なんかもう、辛気臭い雰囲気になってきたな。
罪だの罰だの縋り付かれんのも鬱陶しいし、一々連中の事を面倒臭ぇよ。この話は終わりだ、終わり。
……それ以上に、ちょっと面倒臭い事態になってきたからな、そっちを考えにゃならん。
「……とりあえず、朝飯を終えて一旦宿に帰るぞ。少し今後の方針を考え直さにゃならん」
「う、うん」
「はい、神様」
「ん、わかった」
あいつら、面倒な情報を持ってきやがったな……あの阿呆がまた面倒事提げて向かってくるとか。
あの性格だし、自分が気に入らない邪魔者を排除してなお、自分がうまくいかないのを他人の所為にして逆恨みして来るのは十分ありえる。
顔を合わせないのが一番だな。知り合いにも一通り、俺のことは話さないように声をかけておくか。
俺は三人娘を引き連れて、おばちゃんに代金を支払ってから店を出る。
三人とも少し食べ足りなさげだったが、俺の事情に気を遣ってか何も言ってこなかった……なんだか悪いね、面倒事に巻き込んで。
「先に食料でも買い集めておくか……しばらく宿に篭って、ほとぼりが冷めるのを待ってーーー」
我ながら駄目な人間の暮らしに片足を突っ込もうとしているな、と思いながら今後の方針を考えていた時だ。
ーーー俺の前に、不意に一人の女が飛び出してくる。
なんとなく見覚えのある顔立ちに、汚れて草臥れた格好をしたその女は、黒く鈍く光る何かを両手で握りしめ、俺に向かってまっすぐに突っ込んでくる。
その煌めきが、刃物の放つそれである事に気づいたその直後。
ぐさり、と。
女が握る短刀の切っ先が、俺の腹を貫いた。
遠ざかっていくレッカ達の背中を睨み、アリアが吐き捨てる。あいつらを見る目はもう、仇敵を見るかのような鋭い目だ。
いやしかし、なんでお前が怒るかね?
普通俺が皮肉を口にして憂さを晴らす場面だろうに、俺が話そうとした時機にこいつが怒りを露わにするもんだから、すっかり俺の感情の行き場がなくなっちまっただろうが。
……まぁ、すっきりはしたがよ。
「……俺の代わりに怒らんでもよかったんだぞ」
「! べ、別にあんたのためじゃないし! あ、あいつらが気に入らないから勝手に言っただけだし……!」
うん、だろうな。
連中の身勝手さには、傍目から見てても聞いてても苛立つだろうな。
ていうかそんなに腹が立ったのか……顔を真っ赤にして、そこまで怒られると逆に冷静になるぞ。
この一件の当事者俺なのに、全く関係のない他人の立場になった気分だ。
「あんたの方こそ、勝手な事を言われっぱなしで情けないのよ! ちょっとぐらい言い返しなさいよ!!」
「そう言われても……正直どうでもよかったしな」
「そんなわけ……!」
俺が連中にほぼ言い返さなかった事が、そんなに不服か……でもその機会奪ったのお前じゃん。
ごねられたり逆切れされたりしたら流石に俺も本気にならざるを得んが、今回は割とあっさり引き下がったからな。
向こうから突っかかってこない限りは俺も何も言わんよ……つーか単純に相手にするのが面倒臭い。
「アリアちゃん、その辺にしておきましょう。神様のお望みの通りでいいじゃないですか」
「だけど……! あいつらの所為でこいつは……!」
「ですがあの方達の愚行がなければ、私達も出会う事はなかった……そうじゃありませんか?」
……愚行っつった? 今お前、愚行って言った?
シェスカの奴……俺以外に対する発言がちょいと危なげになってきたか……やっぱりちゃんと矯正すべきだったかな。
「私はむしろ、あの方達に感謝しています。あの方達が罪を犯したおかげで私達は救われました……そしてあの方達も己の罪深さを知り、道を改める事ができた。喜ばしい事だと思いませんか?」
「……でも」
「あー、だからもういいって。気にするだけ無駄だ、無駄」
連中との関係はもうとっくに終わった事だ。今更気にして改善も何もねぇ。
この先関わらなきゃ、もう始めから何もなかったのと同じ事だ。考えるのももうなしだ、やめておこう。
「……にぃ、つかれてる?」
「あん? そう見えるか? ……いや、そうかもな。会いたくもねぇ奴らに会っちまったからかな」
ルルが俺の袖を引いて尋ねてきて、俺は大きく深く溜息をこぼす。確かに疲れたな、あいつらとの話は。
なんかもう、辛気臭い雰囲気になってきたな。
罪だの罰だの縋り付かれんのも鬱陶しいし、一々連中の事を面倒臭ぇよ。この話は終わりだ、終わり。
……それ以上に、ちょっと面倒臭い事態になってきたからな、そっちを考えにゃならん。
「……とりあえず、朝飯を終えて一旦宿に帰るぞ。少し今後の方針を考え直さにゃならん」
「う、うん」
「はい、神様」
「ん、わかった」
あいつら、面倒な情報を持ってきやがったな……あの阿呆がまた面倒事提げて向かってくるとか。
あの性格だし、自分が気に入らない邪魔者を排除してなお、自分がうまくいかないのを他人の所為にして逆恨みして来るのは十分ありえる。
顔を合わせないのが一番だな。知り合いにも一通り、俺のことは話さないように声をかけておくか。
俺は三人娘を引き連れて、おばちゃんに代金を支払ってから店を出る。
三人とも少し食べ足りなさげだったが、俺の事情に気を遣ってか何も言ってこなかった……なんだか悪いね、面倒事に巻き込んで。
「先に食料でも買い集めておくか……しばらく宿に篭って、ほとぼりが冷めるのを待ってーーー」
我ながら駄目な人間の暮らしに片足を突っ込もうとしているな、と思いながら今後の方針を考えていた時だ。
ーーー俺の前に、不意に一人の女が飛び出してくる。
なんとなく見覚えのある顔立ちに、汚れて草臥れた格好をしたその女は、黒く鈍く光る何かを両手で握りしめ、俺に向かってまっすぐに突っ込んでくる。
その煌めきが、刃物の放つそれである事に気づいたその直後。
ぐさり、と。
女が握る短刀の切っ先が、俺の腹を貫いた。
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