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18.遠出の誘い
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「遠出?」
「ああ、大分お前の容態も安定しているし、庭ばっかり回ってても飽きるだろ? たまにはちょっと外を見て回るのだって、いい運動になると思うぜ」
ある日の散策の後、オリバーからそんなことを提案されコーネリアスはふむ、と頷く。
「散策は邸内の庭で済むと思っていたが……」
「庭も広いとはいえ、いつも同じ景色ばかり見てたら退屈にもなるだろ。ちょっと気分転換にリムネアの高原を回ったっていいんじゃないか?」
「確かに、いつも同じでは張り合いがないか。それに、彼女とはもっといろいろなところを巡ってみたい」
いい考えだ、とコーネリアスが続ける。オリバーはそれを見てさらに乗り気になって話を広げた。
「そうそう、そんな大がかりなものじゃなくて、護衛も最小限のお忍びなんてどうだ? その方が羽も伸ばせるし気楽だしお前にもいい気分転換になると思うぞ? 高原には王都じゃ咲いてない貴重な花やら何やらも生えてるらしいし」
そこまで話を聞くとコーネリアスも真剣に考えるようになる。
「高原までの散策であれば、御用邸からもそれほど遠くない。いいかもしれないな」
「だろ? だからさっさとアメリア嬢にお誘いをかねて外出許可をもらってこい。二人で見て回るならそのくらいの甲斐性は見せるもんだぞ」
「な、オリバー、お前何を考えて……!」
「じゃあ俺はアメリア嬢を呼んでくるから後はがんばれよ」
オリバーはそれだけ言い残してさっさと部屋から出ていってしまう。引き留めるにはもう遅く、手を伸ばしたコーネリアスだけが部屋に残された。
そして少しもしないうちにコーネリアスの部屋をノックする音が一つ。
「コーネリアス様。オリバー様からお呼びとのことでしたが」
声の主はアメリアである。コーネリアスは来てしまった手前引き返すのも憚られてアメリアを部屋に通す。
「何かお体に障るようなことがございましたか?」
「いや、そういうわけではないのだが……ア、アメリア」
「はい」
「次に散策に行くときは、遠出して高原まで行ってみぬか? いつも同じ庭を眺めているだけだと飽きてしまうだろうし、高原には王都では見られない植物もあるという。知見を深めるにもいい場所だと思うのだが」
アメリアはぽかんとしていたが、コーネリアスが何を言いたいか察すると少しだけ頬を染めてはにかんだ。
「そういうお誘いでしたら、喜んで。お受けいたします、コーネリアス様」
「外出許可は……」
「私同伴でしたら構いませんよ。気を許してくださっても真面目なんですね」
「いや、その……」
なんだかコーネリアスも照れくさくなってしまって、視線を逸らす。その時ちらりと垣間見えたアメリアの表情は、いつになく明るく輝いてコーネリアスには見えた。
その表情にコーネリアスはどきりとして胸が高鳴る。すぐ側で見慣れていた顔が明るく笑う姿に、息だって一瞬止まったような錯覚さえ覚えた。
「……コーネリアス様?」
アメリアに呼びかけられ、コーネリアスははっとして目を瞬かせる。アメリアは不思議そうにコーネリアスを見つめていて、コーネリアスはその瞳に照れくさくなって視線を逸らしてしまった。
「いや、何でもない。気にしなくていい」
「そうですか。では私は外出の準備をオリバー様としてきますね。せっかく療養地に来たんですし、外に出られるのが楽しみですね」
そういってアメリアはコーネリアスにお辞儀をすると部屋を辞した。
またもや残されたコーネリアスは目の奥に焼き付いたアメリアの笑顔を何度も反芻してはため息ばかりつく。
「オリバーのお節介め……」
事の発端に毒づきながらも、コーネリアスの口元は綻んでいた。
「ああ、大分お前の容態も安定しているし、庭ばっかり回ってても飽きるだろ? たまにはちょっと外を見て回るのだって、いい運動になると思うぜ」
ある日の散策の後、オリバーからそんなことを提案されコーネリアスはふむ、と頷く。
「散策は邸内の庭で済むと思っていたが……」
「庭も広いとはいえ、いつも同じ景色ばかり見てたら退屈にもなるだろ。ちょっと気分転換にリムネアの高原を回ったっていいんじゃないか?」
「確かに、いつも同じでは張り合いがないか。それに、彼女とはもっといろいろなところを巡ってみたい」
いい考えだ、とコーネリアスが続ける。オリバーはそれを見てさらに乗り気になって話を広げた。
「そうそう、そんな大がかりなものじゃなくて、護衛も最小限のお忍びなんてどうだ? その方が羽も伸ばせるし気楽だしお前にもいい気分転換になると思うぞ? 高原には王都じゃ咲いてない貴重な花やら何やらも生えてるらしいし」
そこまで話を聞くとコーネリアスも真剣に考えるようになる。
「高原までの散策であれば、御用邸からもそれほど遠くない。いいかもしれないな」
「だろ? だからさっさとアメリア嬢にお誘いをかねて外出許可をもらってこい。二人で見て回るならそのくらいの甲斐性は見せるもんだぞ」
「な、オリバー、お前何を考えて……!」
「じゃあ俺はアメリア嬢を呼んでくるから後はがんばれよ」
オリバーはそれだけ言い残してさっさと部屋から出ていってしまう。引き留めるにはもう遅く、手を伸ばしたコーネリアスだけが部屋に残された。
そして少しもしないうちにコーネリアスの部屋をノックする音が一つ。
「コーネリアス様。オリバー様からお呼びとのことでしたが」
声の主はアメリアである。コーネリアスは来てしまった手前引き返すのも憚られてアメリアを部屋に通す。
「何かお体に障るようなことがございましたか?」
「いや、そういうわけではないのだが……ア、アメリア」
「はい」
「次に散策に行くときは、遠出して高原まで行ってみぬか? いつも同じ庭を眺めているだけだと飽きてしまうだろうし、高原には王都では見られない植物もあるという。知見を深めるにもいい場所だと思うのだが」
アメリアはぽかんとしていたが、コーネリアスが何を言いたいか察すると少しだけ頬を染めてはにかんだ。
「そういうお誘いでしたら、喜んで。お受けいたします、コーネリアス様」
「外出許可は……」
「私同伴でしたら構いませんよ。気を許してくださっても真面目なんですね」
「いや、その……」
なんだかコーネリアスも照れくさくなってしまって、視線を逸らす。その時ちらりと垣間見えたアメリアの表情は、いつになく明るく輝いてコーネリアスには見えた。
その表情にコーネリアスはどきりとして胸が高鳴る。すぐ側で見慣れていた顔が明るく笑う姿に、息だって一瞬止まったような錯覚さえ覚えた。
「……コーネリアス様?」
アメリアに呼びかけられ、コーネリアスははっとして目を瞬かせる。アメリアは不思議そうにコーネリアスを見つめていて、コーネリアスはその瞳に照れくさくなって視線を逸らしてしまった。
「いや、何でもない。気にしなくていい」
「そうですか。では私は外出の準備をオリバー様としてきますね。せっかく療養地に来たんですし、外に出られるのが楽しみですね」
そういってアメリアはコーネリアスにお辞儀をすると部屋を辞した。
またもや残されたコーネリアスは目の奥に焼き付いたアメリアの笑顔を何度も反芻してはため息ばかりつく。
「オリバーのお節介め……」
事の発端に毒づきながらも、コーネリアスの口元は綻んでいた。
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