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<2> 再生の白、寄り添う黒
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さすがにくっついたままだと恥ずかしいので、お互い縁側に腰掛けることにした。それでも明音は俺の隣を離れようとはしない。ぴったりと寄り添ってくる。拳一個分の隙間すら開けさせてくれない。母さんはいつの間にかどこかへ行ってしまった。
おいなんだこれ、妹とはいえドキドキするじゃないか。反動か? 今まで俺に無理して冷たくしてきたから反動でこうなったのか?
「デレ期か」と呟いたら顔面を殴られた。
「そんなんじゃないし!」
と怒ったように言う。それでも離れないあたり、まだ甘えん坊なのだろう。昔はどこ行くのにもぴったりくっついてたからなあ。
まあいいや。正直こうしている時間も悪くはない。それよりも今度は俺が素直になる番だ。確かに今まで妹に頼るのは……とか言って変な意地もあったと思う。それが吹っ切れた今、もう迷うことはない。記憶を手繰り寄せて、野球を止めてしまった理由を語ることにしよう。
「中学最後の試合だったと思う」
「中学最後の試合? 見た覚えない」
「お前は統一テストの真っただ中だったからな。見てないと思うぞ。9回裏俺たちの攻撃。ツーアウト。ランナーは三塁にいて、逆転のチャンスだった。普段だったらそこで俺の学校のエースである若本が代打に立つはずだったんだ。でも監督が指名したのは……」
「兄さんだった」
繋いでくれた明音に俺は頷いた。
「それまで一回もレギュラーとして立ったことなかったから指名された時は驚いた。『お前は今まで頑張ってきたんだから打てる! 大丈夫だ! 思いっきり行け!』って監督は背中を押してくれて、俺も返事返したけど、わかってたんだ。相手の球、俺には打てないって……」
だからあの時、監督の意見を押し切って、若本にパスするべきだったと後悔している。
今でも最後の一瞬はすぐに思い出せる。切れ目の投手が投げた最後の球はスラーブだった。カーブのようなブレーキはなく、スライダー程の鋭さも無いその球を俺は完全に見誤る。バットに当った感覚は軽く、目の前をボールが転がって行った。
「結果は打ち損じのピッチャーゴロだ。俺のせいで全国大会に行けなかった。チームメイトには責められなかったけど、それが逆にきつかったんだ」
「若本が打席に立てば……」とみんなは思っていただろう。どんなに頑張っても、最後まで俺はチームのお荷物でしかなかった。卒業の日になっても若本は俺を敵視していたけれど、これは言わなくてもいいことだろう。
「俺の進学した高校は、同じ中学から来てる奴多くてな。顔を合わせられなくなって……」
「野球、止めちゃったんだ」
俺は黙ってうなずいた。
肘を膝に付けてため息を吐く。自分で言っておいてつまんない話だ。こんなこと野球をやっていればどこにでもあることだし、気持ちを切り替えて挑めば済むことだろう。しかし俺にはそれができない。あの日の苦しみを、悔しさを、再び味わってしまうのが怖くて、逃げている。
「兄さんはどうしたいの?」
ふと聞かれて振り向く。真剣な眼差しで明音がこちらを見ていた。
「兄さんはどうしたい?」
その眼には有無を言わさない力があった。俺はどうしたいのか、自分でも知っている。
止めた筈なのに、燻っているこの思いはなんだ。なぜ「『嘘つき』の兄さんに話すことなんてない」の一言に強烈に反応してしまった? なぜ明音の素振りを見て当て付けのように考えてしまった?
それでもまだ踏ん切りがつかないのかよ、俺。明音にここまで言わせておいて……。
「兄さん」
呼ばれて気が付いた。もう明音は隣にいない。いつのまにか白球とバットを持ってこちらを見ていた。
「……私と一打席勝負しよう。打てれば私の勝ち、兄さんは野球部に入って甲子園に行くの。アウトなら私の負け、なんでも1つだけいうことを聞くっていうのはどう?」
「なんでも? 1つだけ?」
「えっちなのはなしね」
「するかバカ!」
何てこというんだい、おませにもほどがあるわ。
だがいい提案だろう。野球を止めて1年と少し経っているが、小学生に負けるつもりはない。
「後悔するなよ」
明音はにっこりと笑って白球を投げてくる。それを受け取り、そばに置いてあったサンダルをひっかけて俺は庭へと飛び出した。
*
「先に言っとく。三球で決めるからな。うだうだしてると遅刻する」
「いいよ、こっちも三球で決めるつもりだったから」
明音はコンクリートの塀を背に堂々と打席に立つ。ヘルメットの鍔を握り位置を整えた。バットを握った手を一回転させて構える。距離は16メートルないくらいか。庭の端から端までを目いっぱい使った距離だ。バッターとピッチャーが普段相対する距離とそんなに変わらない気がする。
グローブなんてないので、手の中で構える。見よう見まねで腕を振り上げた。
「兄さんが何と言われようと、私はずっと兄さんの味方でいるから、だから負けられない!」
「そりゃありがとよ!」
全力で投げた。変化球なんか投げられない。だからストレートど真ん中だ。直球勝負。だが何かおかしいことに気が付く、具体的には明音の構えか。背を縮めた明音がこちら側の膝を腰のラインまで上げる。
「一本足打法!?」
いやどこで覚えたそんな技! 下半身が出来上がってないと体のバランスが崩れる上に基礎が染みついていない小学生がそんなことやったらダメだろ!
「……ふんっ!」
バットを振るのが遅い。バットが空中を切り裂き、標的は後ろへ流れていった。ワンストライク。
明音がとぼとぼと白球を拾いに行き、投げ返してくれる。
「一本足打法なんて今までやったことないだろ。……やめとけよ」
「ダメ。これで勝たないと意味ない」
こうなった明音は意固地だ。決して自分の意見を下げようとは思わないだろう。
自滅してくれるのならこちらとしては好都合だ。どうせタイミングなんて合わない、再びの直球勝負。
大きく振りかぶって……全力で投げる。懲りずに一本足か! 無駄だ!
カンと甲高い音がして白球が後ろにそれて行った。
え、なに今の。かすったの?
「兄さん。次は捉える」
明音の眼つきが鋭くなり、こちらを捉えていた。その眼は冷酷で俺の甘っちょろい自信の炎などすぐ消火できてしまいそうだ。なんて運動のセンスなのだろう一本足打法を修得し始めている。しかし、怯えることはない。相手はもう追いつめられている。
―――これが最後の一球だ。
「本当に最後でいいの?」
自分に問いかける誰かがいた。
「これで終わりなんだよ」
うるさい、いいんだ、これで。明音が何と言おうとも俺は野球を止めたのだから、野球なんてもうやりたくないってずっと思っていたのだから。
「本当に……?」
そうだ、俺は!
振りかぶって投げた。またストライクコースど真ん中に向かっていく。どうでもいいけど、一年のブランクがあってここまで正確に投げられるのはすごいんじゃないかな。
そんな俺の自信を打ち破る、奇跡の一本足。
「兄さん、これは罰だよ」
明音は得意げに呟いて振りぬいた。バットから甲高い音が響き渡る。聞き間違いはない、しっかりと芯に当たった音だ。白球が進行方向を変えて、俺の頭上を越えていく。青白い空の中で気持ちよさそうに、浮かぶように飛んで行った。
罰か。なるほど。あの敗戦を逃げずに克服しろという妹からの暖かい罰。隣に並んだ明音を見て真っ先に俺は言う。
「ありがとな、明音」
明音は今まで見たこともなかった、でもどこか懐かしい、最高の笑みを浮かべていた。
「おかえり、兄さん」
*
今思えば、1年半前の最後の白球はどう考えても甘かった。あんな絶好のコースに緩い球を投げれば誰でも当てられるだろう。ようするに俺は野球に戻りたかったのだ。明音がその機会を作ってくれただけだ。
だから、11歳だった明音に俺の球が打たれたに違いない。
うん、そうだ。絶対そうだ。
甲子園球場のベンチで俺はそんなことを考えていた。
監督がサインを送っているのが目に入る。代打……俺!?
「6番……代打……高原君」
9回裏、俺たちの攻撃。ツーアウト。ランナーは三塁にいて、逆転のチャンスだ。
あの時と同じ展開に冷や汗が止まらない。そうだヘルメットとバット! おろおろしながら準備をする。監督はヘルメットをかぶりながらバットを準備している俺に一言声をかけた。
「高原……打ってこい!」
監督の闘魂注入と同時にチームメイトにバシバシと背中を叩かれる。
1年遅れても、あんな失敗をしても、俺をチームに入れてくれたみんなに感謝の気持ちがあふれ出す。
「はい!」
勢いよく飛び出す。打席に立つ途中で若本とすれ違った。
若本は口を変な形にゆがめている。笑っているのだ。初めて見た。
「今のお前と前のお前は違うだろ。大丈夫だ」
「ああ、ありがとう!」
若本にそういわれた時、初めてあの時の自分にさよならを言えた気がした。明音との試合で背中を押され、チームメイトに運んでもらい、若本に復活させてもらったこの体を持って、俺は駆け出す。鳴りやまない歓声に心を躍らせる。その中には、絶対、明音の声も入っているのだ。打席に立つとヘルメットの鍔を握り位置を整えた。バットを握った手を一回転させて構える。
やってから気が付いた。ああ、これって1年前に明音がやっていたことと同じだ。あいつ人の真似してやがったなこんにゃろう。
切れ目の投手を前に、俺は不思議と笑っていた。
今日俺は、罰を受け切ってやる。
切れ目の投手が振りかぶって……投げた。白球がスローモーションになり、生徒の応援も歓声も消える。
膝を腰付近まで上げバランスを保ち、タイミングを……。
―――今だ!
あの日と同じ甲高い音と白球が夏空を駆け抜けていった。
おいなんだこれ、妹とはいえドキドキするじゃないか。反動か? 今まで俺に無理して冷たくしてきたから反動でこうなったのか?
「デレ期か」と呟いたら顔面を殴られた。
「そんなんじゃないし!」
と怒ったように言う。それでも離れないあたり、まだ甘えん坊なのだろう。昔はどこ行くのにもぴったりくっついてたからなあ。
まあいいや。正直こうしている時間も悪くはない。それよりも今度は俺が素直になる番だ。確かに今まで妹に頼るのは……とか言って変な意地もあったと思う。それが吹っ切れた今、もう迷うことはない。記憶を手繰り寄せて、野球を止めてしまった理由を語ることにしよう。
「中学最後の試合だったと思う」
「中学最後の試合? 見た覚えない」
「お前は統一テストの真っただ中だったからな。見てないと思うぞ。9回裏俺たちの攻撃。ツーアウト。ランナーは三塁にいて、逆転のチャンスだった。普段だったらそこで俺の学校のエースである若本が代打に立つはずだったんだ。でも監督が指名したのは……」
「兄さんだった」
繋いでくれた明音に俺は頷いた。
「それまで一回もレギュラーとして立ったことなかったから指名された時は驚いた。『お前は今まで頑張ってきたんだから打てる! 大丈夫だ! 思いっきり行け!』って監督は背中を押してくれて、俺も返事返したけど、わかってたんだ。相手の球、俺には打てないって……」
だからあの時、監督の意見を押し切って、若本にパスするべきだったと後悔している。
今でも最後の一瞬はすぐに思い出せる。切れ目の投手が投げた最後の球はスラーブだった。カーブのようなブレーキはなく、スライダー程の鋭さも無いその球を俺は完全に見誤る。バットに当った感覚は軽く、目の前をボールが転がって行った。
「結果は打ち損じのピッチャーゴロだ。俺のせいで全国大会に行けなかった。チームメイトには責められなかったけど、それが逆にきつかったんだ」
「若本が打席に立てば……」とみんなは思っていただろう。どんなに頑張っても、最後まで俺はチームのお荷物でしかなかった。卒業の日になっても若本は俺を敵視していたけれど、これは言わなくてもいいことだろう。
「俺の進学した高校は、同じ中学から来てる奴多くてな。顔を合わせられなくなって……」
「野球、止めちゃったんだ」
俺は黙ってうなずいた。
肘を膝に付けてため息を吐く。自分で言っておいてつまんない話だ。こんなこと野球をやっていればどこにでもあることだし、気持ちを切り替えて挑めば済むことだろう。しかし俺にはそれができない。あの日の苦しみを、悔しさを、再び味わってしまうのが怖くて、逃げている。
「兄さんはどうしたいの?」
ふと聞かれて振り向く。真剣な眼差しで明音がこちらを見ていた。
「兄さんはどうしたい?」
その眼には有無を言わさない力があった。俺はどうしたいのか、自分でも知っている。
止めた筈なのに、燻っているこの思いはなんだ。なぜ「『嘘つき』の兄さんに話すことなんてない」の一言に強烈に反応してしまった? なぜ明音の素振りを見て当て付けのように考えてしまった?
それでもまだ踏ん切りがつかないのかよ、俺。明音にここまで言わせておいて……。
「兄さん」
呼ばれて気が付いた。もう明音は隣にいない。いつのまにか白球とバットを持ってこちらを見ていた。
「……私と一打席勝負しよう。打てれば私の勝ち、兄さんは野球部に入って甲子園に行くの。アウトなら私の負け、なんでも1つだけいうことを聞くっていうのはどう?」
「なんでも? 1つだけ?」
「えっちなのはなしね」
「するかバカ!」
何てこというんだい、おませにもほどがあるわ。
だがいい提案だろう。野球を止めて1年と少し経っているが、小学生に負けるつもりはない。
「後悔するなよ」
明音はにっこりと笑って白球を投げてくる。それを受け取り、そばに置いてあったサンダルをひっかけて俺は庭へと飛び出した。
*
「先に言っとく。三球で決めるからな。うだうだしてると遅刻する」
「いいよ、こっちも三球で決めるつもりだったから」
明音はコンクリートの塀を背に堂々と打席に立つ。ヘルメットの鍔を握り位置を整えた。バットを握った手を一回転させて構える。距離は16メートルないくらいか。庭の端から端までを目いっぱい使った距離だ。バッターとピッチャーが普段相対する距離とそんなに変わらない気がする。
グローブなんてないので、手の中で構える。見よう見まねで腕を振り上げた。
「兄さんが何と言われようと、私はずっと兄さんの味方でいるから、だから負けられない!」
「そりゃありがとよ!」
全力で投げた。変化球なんか投げられない。だからストレートど真ん中だ。直球勝負。だが何かおかしいことに気が付く、具体的には明音の構えか。背を縮めた明音がこちら側の膝を腰のラインまで上げる。
「一本足打法!?」
いやどこで覚えたそんな技! 下半身が出来上がってないと体のバランスが崩れる上に基礎が染みついていない小学生がそんなことやったらダメだろ!
「……ふんっ!」
バットを振るのが遅い。バットが空中を切り裂き、標的は後ろへ流れていった。ワンストライク。
明音がとぼとぼと白球を拾いに行き、投げ返してくれる。
「一本足打法なんて今までやったことないだろ。……やめとけよ」
「ダメ。これで勝たないと意味ない」
こうなった明音は意固地だ。決して自分の意見を下げようとは思わないだろう。
自滅してくれるのならこちらとしては好都合だ。どうせタイミングなんて合わない、再びの直球勝負。
大きく振りかぶって……全力で投げる。懲りずに一本足か! 無駄だ!
カンと甲高い音がして白球が後ろにそれて行った。
え、なに今の。かすったの?
「兄さん。次は捉える」
明音の眼つきが鋭くなり、こちらを捉えていた。その眼は冷酷で俺の甘っちょろい自信の炎などすぐ消火できてしまいそうだ。なんて運動のセンスなのだろう一本足打法を修得し始めている。しかし、怯えることはない。相手はもう追いつめられている。
―――これが最後の一球だ。
「本当に最後でいいの?」
自分に問いかける誰かがいた。
「これで終わりなんだよ」
うるさい、いいんだ、これで。明音が何と言おうとも俺は野球を止めたのだから、野球なんてもうやりたくないってずっと思っていたのだから。
「本当に……?」
そうだ、俺は!
振りかぶって投げた。またストライクコースど真ん中に向かっていく。どうでもいいけど、一年のブランクがあってここまで正確に投げられるのはすごいんじゃないかな。
そんな俺の自信を打ち破る、奇跡の一本足。
「兄さん、これは罰だよ」
明音は得意げに呟いて振りぬいた。バットから甲高い音が響き渡る。聞き間違いはない、しっかりと芯に当たった音だ。白球が進行方向を変えて、俺の頭上を越えていく。青白い空の中で気持ちよさそうに、浮かぶように飛んで行った。
罰か。なるほど。あの敗戦を逃げずに克服しろという妹からの暖かい罰。隣に並んだ明音を見て真っ先に俺は言う。
「ありがとな、明音」
明音は今まで見たこともなかった、でもどこか懐かしい、最高の笑みを浮かべていた。
「おかえり、兄さん」
*
今思えば、1年半前の最後の白球はどう考えても甘かった。あんな絶好のコースに緩い球を投げれば誰でも当てられるだろう。ようするに俺は野球に戻りたかったのだ。明音がその機会を作ってくれただけだ。
だから、11歳だった明音に俺の球が打たれたに違いない。
うん、そうだ。絶対そうだ。
甲子園球場のベンチで俺はそんなことを考えていた。
監督がサインを送っているのが目に入る。代打……俺!?
「6番……代打……高原君」
9回裏、俺たちの攻撃。ツーアウト。ランナーは三塁にいて、逆転のチャンスだ。
あの時と同じ展開に冷や汗が止まらない。そうだヘルメットとバット! おろおろしながら準備をする。監督はヘルメットをかぶりながらバットを準備している俺に一言声をかけた。
「高原……打ってこい!」
監督の闘魂注入と同時にチームメイトにバシバシと背中を叩かれる。
1年遅れても、あんな失敗をしても、俺をチームに入れてくれたみんなに感謝の気持ちがあふれ出す。
「はい!」
勢いよく飛び出す。打席に立つ途中で若本とすれ違った。
若本は口を変な形にゆがめている。笑っているのだ。初めて見た。
「今のお前と前のお前は違うだろ。大丈夫だ」
「ああ、ありがとう!」
若本にそういわれた時、初めてあの時の自分にさよならを言えた気がした。明音との試合で背中を押され、チームメイトに運んでもらい、若本に復活させてもらったこの体を持って、俺は駆け出す。鳴りやまない歓声に心を躍らせる。その中には、絶対、明音の声も入っているのだ。打席に立つとヘルメットの鍔を握り位置を整えた。バットを握った手を一回転させて構える。
やってから気が付いた。ああ、これって1年前に明音がやっていたことと同じだ。あいつ人の真似してやがったなこんにゃろう。
切れ目の投手を前に、俺は不思議と笑っていた。
今日俺は、罰を受け切ってやる。
切れ目の投手が振りかぶって……投げた。白球がスローモーションになり、生徒の応援も歓声も消える。
膝を腰付近まで上げバランスを保ち、タイミングを……。
―――今だ!
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