何輪もの花

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とにかく壊してみたい。

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「あーテスト嫌だァ。」

「勉強しろよ、スマホ触るな。」

「かというお前も触ってるだろ…」

テスト絶賛真っ只中だ。さっさと勉強しなきゃと思うけれども。やる気はZEROのマイナスより。誰かやる気の安売りしてくれ。
正直本気なんて出したことが無い。別に完璧じゃない、むしろ悪いし底辺だろう。俺なんて嫌われ者だし周りを嫌いだ。でも、高校になればさすがの周りもイジメとかはしないし、していたとしても俺は知らないところ、でだ。何がしんどいのかも、どう変化したいのかも分からないのに、ひたすら今がしんどい。

「死にたくはない、でも消えたい…」

「分かるー。でもまだ死ねない。」

「…新刊?」

「そ!とりあえず、それを理由に生きる」

優しくて賢くて俺よりも強くて、うーん。憧れというか癒し。女なんて面倒だし相手のために頑張りたいとも思わない。この面倒臭い俺を受け入れて、俺もその相手のそのままを受け入れたいと思える人と一緒に居たい。まぁ、そんな人目の前の人しか知りませんが。

「俺からしたら理想なんだよなぁ。」

「何が?」

「Youがmyの理想。」

「止めとけよw」

「んー、まぁなれないけどね。」

自分は正直おかしい。自己満とか自己中とか独占欲とかそんな物ばっかが俺の中身で、純粋とか綺麗だとか可愛いとかそんな物が見当たらない。
自分は有償の愛を捧げるくせに相手には無償を欲する屑だろう。
あー、恋して盲目になって頑張りたい。推しは常に眼中にあるからダメだ。
てか、推しの泣き顔とか死に顔とか傷とか見たいなぁ。くそう。

「イタッ…切った。」

「大丈夫?」

「まぁそんなに切れてないから」

傷を触れるその場面に少し嫌な予感がする。あれれ?落ち着け、相手は3次元。泣き顔とか死に顔なんざ見たくねぇのに。ふと、前に泣いた時の顔を思い出してヒヤリとした。
ダメだ、集中しよう。そう今はテスト前だ。
数学なんざ面倒だけど公式さえ覚えればこっちのもの。

大事で、優しくて、絶対幸せになって欲しいし、大好きな親友だ。
そんな親友が傷ついて、死んでしまうかもしれない。なんて
あぁ、他の人にはされて欲しくないな。
あー、どうせなら俺に壊されて欲しい。

「あー、最悪だ。」

「そうだね、最悪だよね。」

「なー、しんどいわ。」

ヘラヘラと俺は頬を引き攣らせて笑ってみた。
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