なぜか剣聖と呼ばれるようになってしまった見習い魔法使い異世界生活(習作1)

田中寿郎

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第二章 街へ

第25話 凶矢で脊髄損傷

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新人イビリでコジローに絡み、返り討ちにあって腕を切り落とされたドジル。

結果として、冒険者ランク格下げ処分を受け、腕を接ぐために使った高品位ポーションの代金を返すために、莫大な借金を負ってしまった。

しかし、処分を受けてもドジルは懲りておらず、コジローに復讐してやらなければ気が済まなくなっていたのである。

コジローに剣で負けたのは、単に不意打ちだったと考えていた。ならばこちらも不意打ちを仕掛けてやろうと考えていた。

(ドジルは実はコジローが転移を使ったというのには気づいていないのであるが、後で気づいていたとしても、コジローが奥の手に転移魔法を持っていると知らなければ「不意打ち」であったという事は、間違いとも言い切れないのであるが。)

ドジルは森の中で不意打ちを食わせコジローを殺してやるつもりだった。コジローが魔狼を連れているのが少し厄介であったが、一人になった隙を狙えばやれるだろう。
従魔なんてものは、主人が死んでしまえば森に帰るだけだろうと思っていたのである。

コジローの後を尾行ていたドジル達だったが、しかし、コジローが森に入ったところで転移を使って移動したため、見失ってしまった。

ギルドでコジローが薬草の場所を聞いていたのを知っていたので、その場所まで行ってみたのだが、焚き火の後はあるもののコジローの姿は既になく、自棄(ヤケ)気味に周辺を歩きまわっていた。

そして、いい加減、諦めて出直そうかと思い始めた頃、偶然、コジローを発見したのである。

ドジル達にとってラッキーだったのは、たまたまマロが近くに居なかったことであった。居れば、隠れていても気配を察知されてしまっただろう。しかし、遭遇したのは、偶然にもモンスターボアを狩ろうとしてマロが離れている時であった。

ドジルは気配を殺して忍び寄り、矢を放ったのである。



コジローは、背中に衝撃を受け、膝から崩れ落ちた。

「や~りぃ~!!」

その声は、ドジル?!

コジローは、倒れたまま声がしたほうに顔を向けると、嫌らしく笑っているドジルと目があった。

先日の復讐か。

しかし、当たりどころが悪かったのか、コジローは立ち上がれなかった。

まずい・・・

しかし、ドジルはコジローに矢が刺さったのを確認した後、すぐに逃げ去っていた。



脱兎のごとく森を走るドジル達・・・

手下A:「へっ、ザマァ!」

手下B:「でも、トドメ刺さなくてよかったんですかい?」

ドジル:「従魔の狼が居るはずだからな、戻ってきたら厄介だ。矢には毒を塗っておいた、解毒剤もないヤツだ。即効性はないが、その分、ジワジワ苦しみながら、後悔して死んでいけばいい。」



すぐにマロは戻ってきた。モンスターボアは倒したのだが、獲物が大きすぎて運べないのでコジローを呼びに戻ってきたのだ。

そこでコジローが倒れているのを発見した。既にドジル達の姿はなかった。

コジローは、話はできるが、倒れたまま起き上がれない。

マロはどうしていいか分からず、コジローの頭を舐めたり服を咥えて引っ張ってみたりしたが、コジローに無理に動かさずそっとしておいてくれと言われ、悲しそうに座り込んだ。



コジローは自分の状態を確認する。下半身の感覚がない・・・?

手で太ももに触れてみるが、ブヨブヨとした感触のものが手に当たるだけである。

これは、おそらく・・・脊髄損傷の症状ではないか?!

矢がちょうど脊髄に当たり、半身麻痺になったのではなかろうか・・・?



この世界ではポーションや治癒魔法で、死なない限り怪我は治る。しかし、手足の切断のような大怪我は、普通のポーションでは治らず、冒険者の年収ほどもする高価なポーションが必要となる。

世の中には、さらに高級なポーションもあるという。それを使えば手足を失ったとしても、新しい手足を生やす事すらできるらしい。しかし、そのようなポーションは、城が立つほどの価格がするとのことだった。

脊髄損傷は、地球でも治療不可能な重症である。もしそうなら、おそらくこれは普通のポーションでは治らない可能性は高いのではないかとコジローは思ったが、試してみなければ分からないだろう。

だが、ギルドに備えてあった高級なポーションはトジル達の手を接ぐために使ってしまった。ギルドも予算が潤沢なわけではないので、すぐにそのような高価な備品を補充することはできないので、現在はポーションはギルドにはない。

ポーションがなくとも、最上位の治癒魔法が使える魔法使いが居れば治すことができるが、そのような大魔法使いは滅多に居ないとの事だった。

治癒魔法・・・

大魔法使い・・・

そうか、ゼフトならあるいは?!

ジローは胸のペンダントを握り、ゼフトに呼びかけた。


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