なぜか剣聖と呼ばれるようになってしまった見習い魔法使い異世界生活(習作1)

田中寿郎

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第三章 アルテミルの街とその領主

第42話 クーデター終息

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「予知・・・か・・・?」

荒唐無稽な結論であるが・・・もしそうであるなら、これまでのリヴロットの戦いもすべて説明がつく。



「こんな短時間で見抜かれるとは・・・」

リヴロットは驚き、そして素直に認めた。正解だったようである。



なるほど、強いはずである。

事前に攻撃が分かっているのだから、それに合わせて動いてやれば勝てる道理だ。



コジローとリヴロットは、未知の能力の持ち主と対峙し慎重になり、お互いに動きが止まった。

睨み合う二人、頭の中では、必死に対策がシミュレーションされ始めていた。

予知対転移・・・周囲は睨み合ってるだけで動かないように見えるが、二人の脳内で必死で攻防シミュレーションが繰り広げられる。



だが、考えれば考えるほど、予知相手では、勝ち目がなさそうである。

コジローは少しクールダウンしてきて、考え直す。興奮して本気で打ち合ってしまったが、そもそもこれは、勝ってはいけない試合だったはず。

コジローが負けたほうが事態の収まりは絶対良い。そして、どうやって痛い思いをせずにうまく負けようかと考えていたのだが・・・

自分には師匠にもらったマジックシールドがあることを思い出した。

コジローは何度かリヴロットと剣を打ち結び、その後、リヴロットの剣をわざと体で受けて、派手に転がってみせた。もちろん、剣撃はマジックシールドが受け止めているのでダメージはないのだが。

「参りました!」

コジローは大きな声で敗北を宣言した。
リヴロットにはバレているかも知れないが、観客はうまく騙されてくれたようである。



その時、また脳内にカランとレベルアップの音が鳴った。

内容は後で確認するとして・・・やはり、戦闘後?いや、必死で何かをした後に、レベルアップするらしい・・・
まぁ、人間、そうやって成長していくものかもしれない。

何はともあれ、勝負はリヴロットの勝利ということで終わった。



リエの狙い通り、後に引けなくなっていた人々も、頭が冷えたようである。

コジローとリヴロットの戦いは、実のところ、動きが速すぎて観客にはよく見えていなかったのであった。だが、二人の目にも留まらぬ速さの戦いは、一般の人々にとっては驚愕であり、その感情は怒りの感情を抑える効果を発揮したのであった。



そこに、一台の馬車が到着した。

降りてきたのは、領主のクリス・ウィルモア伯爵その人であった。

隣町の建設に伴う業務で追われていたが、なんとか仕事を切り上げ駆けつけてきたのである。

早馬によって既に報告を受けていた領主は、なんとなくであるが状況を理解し、人々の前に進み出た。

伯爵は、街の人々に向かって誠意のこもった謝罪の言葉を語り、深く頭を下げたのだった。



本来、貴族が平民に頭を下げるなどありえない。

しかし、今回のことは自分の落ち度であったとクリスは本気で反省していた。あってはならないことだった。その思いが、自然に伯爵の頭を下げさせた。



もともと、クリス辺境伯という人物は、決して贅沢をせず人々のためを考えた善政を為す人物であり、人々に尊敬されていたのである。古くから住んでいる住民には未だに慕う者も多い。
その伯爵が頭を下げ、誠意ある態度で、間違いは必ず正すと約束してくれたのだ。

納得行かない者もあるだろうが、その者たちも周囲の者に宥められ、騒動は収まったのであった。。。



コジローはレベルアップの内容を確認してみた。

転移(物体転移)
加速(10倍速)
亜空間操作(空間拡張)
重力操作(2倍)

そういえば、重力操作という魔法もあるのをコジローは忘れていた。

荷物を持ったりするときに重量を軽減できるのは便利かも知れないが・・・意外と使う機会はない。
戦闘中に相手の体を重くすることもできるが、あまり必要を感じなかったのである。
しかしこれは、もっと高度なレベルで使えるようになれば、それだけで強力な武器になるかも知れない。。。


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