異世界転生したプログラマー、魔法は使えないけれど魔法陣プログラミングで無双する?(ベータ版)

田中寿郎

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第一部 転生編

第9話 創世神話

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曽祖父は魔道具に興味を抱き、それをもっと効率化できないかと、魔道具に関する様々な資料を集めていたのだそうだ。魔道具を見下す風潮が強い貴族の中では変わり者だったらしい。

とは言え結局、曽祖父の研究は大きな進展を得られず終わったのだそうだが。

それは、実はこの世界で今使われている魔法というのは、前時代の文明によって創造されたものであり、その詳しい理論や技術は現在は失われてしまっているという事情があったからである。

今現在、この世界に居る者達は、魔法の使い方は知っているが、その理論や仕組みについては何も知らないのである。既存の魔法は使えるがそれだけで、新しい魔法を創造する事などはできなくなっているのだ。

確かに―――仮に、便利な電化製品がありその使い方を知っていても、その作り方まで知っているかと言われれば別である。もしその製品を作った文明が滅びれば、作り方をは失われてしまうだろう。

だが、文明が滅びても壊れない製品があり、後世に残ってしまったとしたら? それは、『使えるが作れない』古代遺跡から出た謎のアーティファクト状態になるのは想像に難くない。

この世界に今ある魔法(と魔道具)にはそのような位置づけのモノが多いのだ。

それを解析、解読しようという動きは当然あった。だが、謎の古代文明の遺跡から太古の文字で記された資料が出土しても、その文字を解読するのは容易では無いのは当然である。

事実、曽祖父の集めた資料は、今の時代の言語とは異なる文字で書かれており、ほとんど解読できていなかったようだ。

ただ、曽祖父の残した資料の中に、一冊だけ現代語で書いてある資料があった。それは魔法の解説書…とまでは言えないが、魔法とは何かを漠然とおとぎ話のように説明した、子供向けの絵本のようなものであった。

それは世界の創生期の神話。

はじめに言葉ありき。太古の昔、創造神達は魔神語という言葉を使い、世界を創造したのだという。

神々は魔神語を編み、大地を作り、植物や動物も作り、ついに人間も作り出した。

登場した人間達は神々に憧れ、神々の使う魔法を使いたがった。だが、魔神語は神にしか理解できず、人間達に扱えるものではなかった。

そこで神は、人間にも理解できる中間言語を作った。それが古代魔法言語であるという。

古代の人々は、古代魔法言語を使って魔法を創り出し、それを魔神語に変換して魔法を発動させたのだ。

クレイ 「魔神語……マシン語?」

単なる偶然であったのか、あるいは何らかの関連があったのか分からないが、たまたまこの世界の言葉と、前世の地球でのプログラミング言語の語呂が似ていた事から、クレイは古代魔法言語をプログラミング言語と仮定して考えるようになった。

神々が使ったという魔神語、これを、地球でいうコンピュータが直接処理するマシン語と仮定したら? そして古代魔法言語をプログラミング言語だと仮定したら……。

コンピュータが扱う膨大な数値の羅列であるマシン語は、人間が直接扱うのは(不可能ではないが)難しい。そこで、人間に理解しやすいプログラミング用の言語を使ってプログラムを書き、それをマシン語に変換コンパイルしてコンピュータに実行させる。

この世界というシステムをコンピュータのアーキテクチャ、あるいはOSのようなものと仮定すれば、そこで実行されるプログラムはマシン語(魔神語)である必要があり、それを人間がプログラミングできるようにしたのが古代魔法言語であるとしたら。

クレイは、何かストンと音を立てて全てがハマるような気がした。

魔法とは、OSに既に登録されているコンパイル済みのアプリケーションのようなモノ。

既に機能が世界システム実装インストールされている状態で、それを起動するコマンドを打ち込めば、アプリは実行される=魔法が発動する。

そのコマンドが、魔法を使う際に詠唱される呪文であるとしたら。

曽祖父の残した書物や資料は、古代魔法言語の資料がほとんどであったが、ありがたい事に古代魔法言語を解読しようとした資料があったのだ。

曽祖父は、極めて初歩的な内容でしかなかったが、自分なりの研究の結果をいつか後世の誰かが引き継いでくれる事を願い、自筆のレポートとして書き残していたのである。

当時は、曽祖父の研究の成果はそれほど評価される事はなかったのだが―――

―――それは前世のプログラミングの知識があったクレイには、非常に大きなヒントとなったのだ。



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