パワハラで人間に絶望したサラリーマン人間を辞め異世界で猫の子に転生【賢者猫無双】(※タイトル変更-旧題「天邪鬼な賢者猫、異世界を掻き回す」)

田中寿郎

文字の大きさ
20 / 85
序章(プロローグ)

第20話 VIPになったにゃ

しおりを挟む
ロデスが試しに言ってみた『私は人間です』という言葉は嘘判定となった。

俺は驚いたが、ロデスは動じていない。分かってて言ったようだ。それはそうか。

本人の許可があったのでロデスを鑑定してみたところ、ロデスは人間ではなく【エルフ】であった。言われてみれば耳が尖っている。(異世界だからそういう人間も居るのかと気にしていなかった。昔見たSF映画の副官も耳尖ってたしな。)

結局、出会った時から一貫してロデスは嘘は言っていなかった事は分かったので、俺は信用してカードの使用者登録をする事にした。

肉球をカードにのせて魔力を流すと一瞬で登録が完了した。情報が流出して悪用されるのではないか懸念したのだが、ロデスを信用する事にしたのだ。

(仮に紛失しても、念ずるだけで自分の元に戻ってくるらしい。すごい技術だが、失われた古代の技術だそうで、今では作ることはもうできないとか。ある意味、本当のVIPにしか渡さないカードなのだそうだ。)

次からはそのカードを商業ギルドの門番に見せれば通してくれると言われた。それだけじゃない、身分証としても使えるそうで、街の門を通る時もこれを見せれば無料で出入りできると言われた。

金は現金で要求したため、用意するのに時間が掛かるというので後日また取りに来る事にした。

先程のVIPカードが証文になるが、念のためと言ってロデスは契約魔法を使った証文まで用意してくれたのだが…

俺は金が用意できた時に素材を渡すと言って【収納】に戻してしまった。

申し訳ないが、俺は人間をそこまで信用していない。



  +  +  +  +



■ロデス

『マスターロデス、良かったのですか? 貴重なVIPカードを渡してしまって』

突然現れた賢者猫を見送った後、商業ギルドのサブマスターのリアンナがロデスに問いかけた。

「構わんさ。こんな時に使わなかったら何時使うと言うんだ?」

リアンナ「それほどですか…。しかし、“賢者猫”ですか? 聞いたことないですが、猫人の賢者という事ですか?」

「ああ。俺も長く生きているが見たのは初めてだよ。伝説でしか聞いたことがない種族だ」

リアンナ「長命なエルフが伝説としてか聞いた事がないって、相当ですね」

「厳密に言うと獣人とは違う、妖精に近い存在だと聞く。あらゆる魔法を使いこなす事ができる本物の【賢者】だ」

リアンナ「でも…伝説の存在と言っても、それが本当だったら、と言う話ですよね? 伝説はたいてい、オーバーに話が盛られている事が多いのでは? あるいは、ステータスを偽装しているとか」

「実はな…彼には、俺の【鑑定】が通らなかった…」

リアンナ「え?! マスターロデスの【鑑定】は、Sランクですよね? どんな偽装も見破れなかった事がないっていう…」

「ああ、それが通らなかった。つまりSランク以上のレベルを持っていると言う事になる」

「そんな存在と取引ができるようになるなんて、どれほど金を積んでも逃す手ははない得難い機会だぞ? 商業ギルドあげて最大限の優遇を徹底するよう、全職員に徹底しておけ」

「だが秘密厳守も徹底しておけ。商業ギルドだけで囲い込むのだ」

リアンナ「…分かりました! 末端の職員では少々心もとないので、各部署のリーダーに秘密厳守とVIP待遇の厳守を徹底します」



  +  +  +  +



主人公カイト

商業ギルドを出た俺は、せっかく街に来たのだからと、街の料理屋に入ってみる事にした。

なにやら良い匂いがしている店があったのだ。(ちなみに俺は猫人なので、鼻はすごく利く。)

店に入ると、客の視線が一斉に俺に集まり、しばらくジロジロ見られたが、徐々に視線は外れていった。

店主「いらっしゃい、お客さん見ない顔だね」

「今日初めて街に来たにゃ」

店主「何にする?」

「おすすめの料理をくれにゃ」

店主「あいよ」

店の親父は厨房に引っ込んでいき、しばらくして料理を持ってきてくれたが、これが絶品であった。

それから、俺は街に来るたびにこの店で飯を食うようになったのだ。

    ・
    ・
    ・

「ごちそうさん、ありがとにゃ~うまかったにゃ~またくるにゃ~」

店主「まいど~」

店を出た俺は、街を出る事にしたのだが、門を通り抜けようとして、門番の衛兵達に止められた。

衛兵1「おい、どこへ行く?」

「どこへと言われても……森へ?」

衛兵2「森? こんな時間に森に行ってどうするんだ? まさか森に住んでいるというわけでもなかろう?」

「森に住んでいるにゃ」

衛兵1「適当な事言ってもダメだぞ。許可証はあるのか? 街の獣人が許可なく街を出る事は禁じられている」

「…へぇ、この街はそうにゃのか? だが俺はこの街の者じゃにゃい。今日初めて街に来て、これから帰るところにゃ」

衛兵2「街の住人ではないのか…?」
衛兵1「なら……いいのか?」

衛兵2「そう言えば外見も街の獣人とはちょっと違っているな……」

「あ、そうにゃ、これを見せろと言われていたにゃ」

俺は商業ギルドのマスターにもらったカスタマーカードを出して見せた。確かこれは身分証明書にもなるので、門の出入りも無料になると言っていた。

だが…

衛兵1「なんだこりゃ…?」

衛兵はキョトン顔をした。


しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...