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第一章 帝都の賢者
第75話 後継者争いとか知らんにゃ
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実は、帝国の公爵家のひとつ、カラドール家の嫡男プロバルが、自分こそが皇帝に相応しいと豪語しているそうだ。(皇位を継ぐため、積極的に貴族たちに根回しを進めているらしい。)
だが、そのプロバルは実は養子であり、カラドール公爵との間には直接の血の繋がりはない。跡継ぎがいなかったカラドール公爵は、家を存続させるため隣国の貴族から養子を迎えたのだ。
一応、血統は繋がっている事になっている。何代か前にガレリア帝国(当時はまだ王国であったが)から隣国のサリエル侯爵家に嫁いだ者がいたのだ。
だが、カラドール公爵家と皇帝家は分家して随分経っており、遠縁ではあろうが皇帝にとってはもはや親戚という感覚もない。ましてや隣国サリエル家に嫁いだというのも何代も前の話。サリエル家から来た者などもはや皇帝にとっては他人も同然である。
しかもサリエル家も実は、跡継ぎが居らず何度か養子縁組をして家を存続させてきた歴史があるのだ。それを考えれば、サリエル家に帝国王家の血が流れているというのも疑わしい。
まぁ血筋はともかくとして。
そのプロバルが王の器を持っているならまだよい。
だが、プロバルは性格が酷く邪悪で、そんな者を王に据えれば民が苦しむのが目に見えているとの事。
それに、その隣国侯爵家は、現在帝国と敵対している国と通じているという噂があるのだ。
複数の国が、帝国を食い物にしようと、現皇帝と賢者が亡くなるのを今か今かと待っている……。
さて、現皇帝の孫はというと、能力は優秀であり、また性格は善良で、王の器もあると評価されている。ただ、庶子であるため帝王学を学んでおらず。現在慌てて再教育をしているところなのだそうだ。
足りない知識は教えれば良い。敵と通じている邪悪な者に国を任せるくらいなら、善良な性格の孫を王に据えたほうがマシであろうと誰しも思う。
メイヴィスは、皇帝に孫の教育を頼まれたそうだ。だが、そのメイヴィス自身も寿命はもう長くないだろう。孫の人生を賢者として補佐するというのは無理がある。
(俺から見ればかなり元気そうに見えるのだが……実は、だましだましなんとかやってはいるが、メイヴィスも本当はあまり動けないらしい。俺のところに自ら乗り込んで来たのも、かなり無理を押しての事だったそうな。)
この世界には治癒魔法はあるが、それでは老化は止められない。時間を巻き戻す魔法はあるらしいが、とんでもない魔力とレベルが必要で、現実には人間には使えないのだそうだ。
―――妖精猫の俺なら使えるんじゃないかって?
残念ながら使えない。【加速】などの時間を操る系統の魔法は使えているので、将来的には使えるようになるんじゃないかとメイヴィスは言っていたが、現段階ではレベルも魔力も遠く足りてないようだ。俺が成長して時間を巻き戻せるようになるまで、おそらくメイヴィスも皇帝も待てないだろう。
なるほど、無理をしてまで俺に会いに来た理由が分かってきた。
「つまり、自分の代わりに新皇帝になるその孫の片腕となる賢者を探していた、と言う事かにゃ?」
メイヴィス「それは半分正解、半分不正解というところじゃな…」
メイヴィス「さすがに、前皇帝も自分とそれほど違わない年齢の儂に多くは期待しておらん。できる限りで良いと言っていた。孫は可愛いが、自分の亡き後、どう生きてどう死ぬかは孫の自由だとな」
ただ、メイヴィスは、未来予知の魔法も得意なのだそうだ。そこで、新たに転生賢者が現れる事を予知。そしてその賢者が、新皇帝と帝国に利益を齎すと。それが俺と言うわけだ。
「…いきなりそんな事を言われても。俺がメイヴィスの代わりにこの国で働く義理はないにゃ。確かに前世での堀川部長は尊敬していたし感謝している部分もあるにゃ。でも正直、そこまでの頼み事をされるほどの恩はないにゃぁ…」
メイヴィス「ははは、それでいいのじゃ。別にお主に帝国で働けとは言わんよ。ただ、お主が帝国に居る。新皇帝と関わる。それだけでプラスになる、そういう未来が見えたのじゃよ」
メイヴィスは、俺に何かを無理にやらせようとは思っていない、むしろ、自由に好き勝手にしてくれていいと言う。そうする事で、未来に良い影響があるのだと。
ただ、この帝国で、あるいはその近くでしばらく生活してくれればいいそうだ。
メイヴィス「その程度の頼みなら、聞いてくれてもよいじゃろ?」
だが、そのプロバルは実は養子であり、カラドール公爵との間には直接の血の繋がりはない。跡継ぎがいなかったカラドール公爵は、家を存続させるため隣国の貴族から養子を迎えたのだ。
一応、血統は繋がっている事になっている。何代か前にガレリア帝国(当時はまだ王国であったが)から隣国のサリエル侯爵家に嫁いだ者がいたのだ。
だが、カラドール公爵家と皇帝家は分家して随分経っており、遠縁ではあろうが皇帝にとってはもはや親戚という感覚もない。ましてや隣国サリエル家に嫁いだというのも何代も前の話。サリエル家から来た者などもはや皇帝にとっては他人も同然である。
しかもサリエル家も実は、跡継ぎが居らず何度か養子縁組をして家を存続させてきた歴史があるのだ。それを考えれば、サリエル家に帝国王家の血が流れているというのも疑わしい。
まぁ血筋はともかくとして。
そのプロバルが王の器を持っているならまだよい。
だが、プロバルは性格が酷く邪悪で、そんな者を王に据えれば民が苦しむのが目に見えているとの事。
それに、その隣国侯爵家は、現在帝国と敵対している国と通じているという噂があるのだ。
複数の国が、帝国を食い物にしようと、現皇帝と賢者が亡くなるのを今か今かと待っている……。
さて、現皇帝の孫はというと、能力は優秀であり、また性格は善良で、王の器もあると評価されている。ただ、庶子であるため帝王学を学んでおらず。現在慌てて再教育をしているところなのだそうだ。
足りない知識は教えれば良い。敵と通じている邪悪な者に国を任せるくらいなら、善良な性格の孫を王に据えたほうがマシであろうと誰しも思う。
メイヴィスは、皇帝に孫の教育を頼まれたそうだ。だが、そのメイヴィス自身も寿命はもう長くないだろう。孫の人生を賢者として補佐するというのは無理がある。
(俺から見ればかなり元気そうに見えるのだが……実は、だましだましなんとかやってはいるが、メイヴィスも本当はあまり動けないらしい。俺のところに自ら乗り込んで来たのも、かなり無理を押しての事だったそうな。)
この世界には治癒魔法はあるが、それでは老化は止められない。時間を巻き戻す魔法はあるらしいが、とんでもない魔力とレベルが必要で、現実には人間には使えないのだそうだ。
―――妖精猫の俺なら使えるんじゃないかって?
残念ながら使えない。【加速】などの時間を操る系統の魔法は使えているので、将来的には使えるようになるんじゃないかとメイヴィスは言っていたが、現段階ではレベルも魔力も遠く足りてないようだ。俺が成長して時間を巻き戻せるようになるまで、おそらくメイヴィスも皇帝も待てないだろう。
なるほど、無理をしてまで俺に会いに来た理由が分かってきた。
「つまり、自分の代わりに新皇帝になるその孫の片腕となる賢者を探していた、と言う事かにゃ?」
メイヴィス「それは半分正解、半分不正解というところじゃな…」
メイヴィス「さすがに、前皇帝も自分とそれほど違わない年齢の儂に多くは期待しておらん。できる限りで良いと言っていた。孫は可愛いが、自分の亡き後、どう生きてどう死ぬかは孫の自由だとな」
ただ、メイヴィスは、未来予知の魔法も得意なのだそうだ。そこで、新たに転生賢者が現れる事を予知。そしてその賢者が、新皇帝と帝国に利益を齎すと。それが俺と言うわけだ。
「…いきなりそんな事を言われても。俺がメイヴィスの代わりにこの国で働く義理はないにゃ。確かに前世での堀川部長は尊敬していたし感謝している部分もあるにゃ。でも正直、そこまでの頼み事をされるほどの恩はないにゃぁ…」
メイヴィス「ははは、それでいいのじゃ。別にお主に帝国で働けとは言わんよ。ただ、お主が帝国に居る。新皇帝と関わる。それだけでプラスになる、そういう未来が見えたのじゃよ」
メイヴィスは、俺に何かを無理にやらせようとは思っていない、むしろ、自由に好き勝手にしてくれていいと言う。そうする事で、未来に良い影響があるのだと。
ただ、この帝国で、あるいはその近くでしばらく生活してくれればいいそうだ。
メイヴィス「その程度の頼みなら、聞いてくれてもよいじゃろ?」
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