Path to our dream!

maocafe

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第一章

第三話

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 ABFは、熱狂のうちに幕を閉じた。
 投票の結果、アンコールに選ばれたのは、二十歳前後の四人組バンドだった。
 ポップで明るい曲を、プロ顔負けのクオリティで演奏し、観客達も腕を振って盛り上がった。
 既に陽は傾きかけていて、bourgeonsは帰ろう、と歩いていた。
 だが、朝陽が突然立ち止まる。朝陽が突然なのはいつもだが。走り出したのも珍しい事ではないが。
 朝陽の瞳に映るのは二人の長身の男性。bourgeonsのメンバー達より年上と思われる。
 「……っ、はあ、はぁ……。あ、あのっ!」
 二人が振り向く。一人は黒髪と白い肌のコントラストが美しく、さらっと羽織ったジャケットがよく似合っている。もう一人はブロンドの髪をたなびかせている。頬のほくろが特徴的で、小顔かつ脚の細い、完璧なモデル体型だ。二人とも長髪で、モノトーン調の服装で統一されているあたりもはやセットで一つの芸術品のようだ。
 「Ridillの方ですよね?」
 朝陽を追っていた四人は「こいつ敬語喋れたんだ……。」と声を揃えてぼやいた。
 Ridill。
 これまたバンドの名前だろう。
 話しかけられて驚いているふうもないから有名なのかもしれない。
 「はじめまして、だね?俺たちのこと知ってるってことは、バンドマンかな?」
 ブロンドの青年が応える。優しそうな声音が耳に心地よい。
 「あっ、はい!えと、桜華大学のbourgeonsです」
 「桜華大学……。榊くんのところだな。ん、立ち話も何だし、近くに知り合いのライブハウスがあるから、そこに行かないか?」
 「薔……。お前面白そうな奴見つけたら絡みまくるの、悪い癖だぞ」
 「他人のこと言えたクチかよ」
 薔――黒髪の方の青年の突然の誘いには流石の朝陽もたじろいている。くるっ、と後ろを振り向いて、他のメンバーを見詰める。その目が揺れている。
 「行きたいんでしょ。行けばいいじゃん、もう振り回されるのにはみんな慣れてるんだしさ」
 春彦が朝陽の肩をぽん、と叩いて前に出る。
 「是非行かせてください」
 と言って頭を下げる。突然話しかけてしまって申し訳ない、とも。朝陽の尻拭い係歴=年齢なだけはある。綺麗なお辞儀だ。
 「いやいや、言い出したのこのアホだから、頭下げないで~。俺としても、来てくれると嬉しいよ」
 ブロンドの兄さんが微笑む。身内に厳しい。隣で泣き真似をする薔には目もくれない。
 案内するよ、ついてきて。
 そう言ってブロンドさんは歩き出す。横でまだわんわん言っている薔をはたいて歩かせる。
 ……仲良し、なのかな。 
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