sunlight curtain【サンライト・カーテン】

ACT.1 きみと温泉旅行大作戦♡

3-6

「おはようございます」

夕人が職員室に入り机へ向かうと、隣席の国語科教諭・相模綾乃さがみあやのが嬉しそうな顔で振り向き会釈する。


（夕人先生ーーー…はぁ……今日も素敵…♡
あっ！今日のシャツの色、初見だわ！
コーラルベージュのストライプ柄⁉︎どこのメーカーだろう。新調したのかしら…？
はあ……よく似合ってる……）


ジャケットを脱ぎキャスターチェアの背もたれに掛ける姿を盗み見てこっそり、うっとり。



「夕人先生、おはようございます。
ーーー今日はゆっくりですね？」

いつもは早いのに、と含みを持たせてたずねると、ノートPCを開きながら夕人は「ああ…」と少し返答に詰まる。

「ええっとその、まあ。ちょっと寝坊ーー…しかけて。」

「えっ？そうなんですか？」

（夕人先生が寝坊？えっ、意外～～～…。
もしかして、実は朝弱いの？
なにちょっとギャップに萌えるだけどぉ！）

食い気味に見つめる綾乃。



「あー…その……僕、低血圧ぎみで、朝動くまでがちょっと長いんです。だからいつもはできるだけ余裕もって、早めに起こしてもらっ……」

しまった口を滑らした、という顔で青ざめる夕人。


「………」

「ーー起こしてもらってるんです。
母に。電話で。」

「……へ…へぇ～～！優しいお母様ですねぇ～！」

「……はは……」


（夕人先生………。
毎朝お母様からのモーニングコールで起きてるんだ……そ、それって……ちょっとマザコーー…。
ーーーいやいや。彼女よりマシだわ。
うん、全然アリよ。許容範囲。夕人先生なら許せる）




苦笑いする二人。




すると後ろの席から高らかな声が響く。




「だからぁ～～！絶対こっちの宿やどの方がオススメですってばぁ！ほら、じゃ◯んでレビュー星4つもついてるっ‼︎
ちょっとは信じなさいって浅田先生！」


声の主は英語科担当教諭の大村おおむら。

その目の前には渋い顔で腕組みをした社会科担当の浅田あさだが。



「でもなぁ～…予算がねぇ……」と悩ましい顔で呟く。