アリス 観察者《オブザーバー》の弟子

御魂

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全ての始まり

4. 私の名前はアリス

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 数十秒後龍の言った通り、ライオンが消し炭になったのだろうか、二人を包んでいた炎の壁は消え去りそこらじゅうに何かの燃えカスが散乱していた。



「ふう! 退治完了だね! いやー、すごかった! ゲームもここまで進化してたんだね! さて魔法を見るチュートリアルはこれで終わりかな? まあゲームにしてはすこし炎が熱かった気がしたけど。そこは気にしない!」



(一番気にしなきゃいけないところだろ…。)



「お前…、ここまでの状況でお前なりに分かったことを述べてみ?」



「この世界はVRMMOで! 私は恐らくそのゲームでクローズドベータのテスト参加者である! なんで裸なのかはさておき。まあプログラムが間に合ってないとかそんなところでしょ! どうよ」



「………」



 龍はもはや呆れてものが言えなかった。



(こいつ的にはこれで精いっぱいなのかもしれんな、しょうがない。今までもこんな奴はいたけどここまで引きずる奴は初めて見た)



「じゃあ、状況を一つずつ説明してやるその前にとりあえずテストだお前の名前を教えて見ろ」



 少女はさらに目を輝かせた。



(ついに! キャラ登録か! しかしゲームにて本名はご法度! でもアスナは本名使っていたけど、でも本来ならだめだ。ならここは)



「メイリンで!」



 この少女以外にもメタルギア全シリーズコンプ済みだった。



「……それ日本人の名前か? 聞いたことがないな。うーん、それじゃ試にだがお前の本名、名字から言ってみろ、言えるもんならな」



(はあ?この人何言って、いくらクローズドベータだからって本名、しかも名字から言えとかマナー違反でしょ!まあとりあえずいうけど。)



「名字は……」



 名字を口から言おうとした瞬間、少女は固まった。思い出せないのだ。



(え! なんで! なんで思い出せないのよ! 日本人どころか世界中の人間は必ず名字あるはずでしょ!? それが思い出せないって、まさか…)



「私…、記憶喪失!?」



 少女は下から崩れ落ちる。もう自分がタオル一枚しか羽織っていないことにはどうでも良いようだ。



「まあ半分はあたりだな、でも下の名前は思い出せると思いますがねー?」



(………あ、思い出せた!)



「あ、ありす。私の名前は【アリス】! やった! 思い出せた! でもなんで下の名前だけ? おかしくない!?」



(…あ、ありすっすか。メイリンよりも日本人から離れた気がするけど、まあ本人の反応から察するに。本当の名前だろう)



「それがこの世界における【転生人】【転生者】の決まりみたいなものだ、気にするな。まあアリス、君の置かれている状況とこの世界については直ぐに話す。だが、今はここから即刻離れるぞ!」



「なんでここでも良いじゃん! 何か不都合でも?」



「また襲われたい? あの獣に」



「あ…、いや…、うん…。移動しましょう」



 アリスはこの場所の置かれた状況を考えた結果移動することに決めた、が。



「ちと待てーい!」



 すぐさま、龍を呼び止めた。



「なんだ? いいか? 話はするが時間がかかる、その場合ここではまた奴らに襲われる危険が…」



「そういうことではないんじゃ! 服を着させろ服を! この格好で山の中を歩かせる気っすか! 裸足だよ! ほぼ全裸だよ! あ、まさかのそういうプレイ…」



「あ、忘れてた」



 最後のプレイという言葉に少々疑問を覚える龍だが、カバンの蓋を開くと中から女性ものの服を出し始める。



(まあ、着替えるだけならそう時間はかからないだろう。俺としては早くここを発ち去りたいんだが)



 アリスは、小さいカバンから服が出てくることに軽い違和感を覚えるが、それよりも男性のカバンから女性の服が出てくることの気味悪さの方が勝った。



「まさかですけど…、そういう趣味なんですか?ま、まあ人にはいろんな趣味がありますもんね!しょうがないですよね!ははは」



(もう何も言うまい)



 龍はもう反論を諦めた。いや、諦めたというより疲れたの方が正しいだろうか。





 龍と服を着たアリスは山の軽く舗装された道を歩いていた。龍は持っていた懐中時計と地図を見ながら、アリスは龍から貰った服の感触等を見ながら。



(でもおかしいんだよね、仮に私の知らない間にSAOの世界が作られたと仮定して、クローズドベータだかオープンだか知らないけど、あのアニメで記憶がなくなるのは劇場版からだし。そもそもあれはARなんだよね。でも仮にアリシゼーションの世界だとしても、途方もない金がかかって作るのなんて非現実すぎるし…、さっきのライオン? もゲームならHPが無くなったら消えるはずなのに炭になったままだしなあ、それにキリトの記憶がなかったのも全部の記憶で一部じゃないしうーん)



「アリス」



「ひゃ、ひゃい!」



 考え事をしていたアリスは龍にいきなり声をかけられて変な声を上げてしまった。



「な、なんでしょう?」



「さっきから言動がころころ変わるのは置いておくが、ついたぞ今日はここに泊まる。少し予定と時間がずれたがなんとかここにたどり着けたからよしとするか」

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