アリス 観察者《オブザーバー》の弟子

御魂

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全ての始まり

17. 霞家と名家

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 数分後、私は店主から教科書類が入った袋を受け取り、二人と一緒に本屋から少し離れた場所…歩道に設置してあるベンチに座っていた。とりあえず外に出て二人を落ち着かせるためだ。



 外に出てベンチに座ったおかげか、もう泣くための水分も体に残っていなかったのか二人は落ち着きを取り戻していた。



「ごめんね、急に泣き出して」



「ごめんなさい」



「いや、それは気にしてないよ。まあ、急に泣き出して抱き着いたときは正直焦ったけど、いい匂いもしたし……。それにしても……あんなに泣くって何か事情があるんでしょう?良ければ話してくれないかな?」



 とりあえずこの日本には名家という存在がある、そしてこの二人は霞家という名家の人間であるということまでは理解できた。しかし、この日本での常識なのだろう霞家は禁忌を犯し没落した名前だけの名家。



 しかも名家はかなりの数があるらしい、師匠の弟子となる手前もしかしたら名家との交流もあるかしれないと考えると少しでもいいから情報が欲しかった。



 しかも私が師匠……龍さんの弟子になった、その言葉を聞いた瞬間のあの表情……それに『話と違うわね』という言葉……もしかしたら師匠の知らないところで、名家同士の話し合いが行われており師匠の弟子を名家の中から出そうという話があったのも知れない。



「私たちも詳しくは知らなけど……」



「知っていることだけで大丈夫だよ」



「確かにあの人の言う通り、霞家は一応名家の扱いらしいんだ。他の名家は除籍したり追加されたりしてるけどうちは除籍するのも許されない状況で数ある名家での力なんてないに等しいし、多分見せしめで残してあるんだってお母さんが言ってた。

 後から名家に追加された家にあのような形になりたくなければ5大名家に従えって。だから名家として所属してる家からはまるで腫れもの扱い……忌家扱いされてるって状況なの」



「うわー」



 予想以上に深刻な状況だった。



「あの人……霞家は禁忌を犯したって言ってたけど具体的にはどんな禁忌を犯したの?そんなにやばい事やっちゃったのかな?」



「うーん、それが分からないんだよね。なにしろ400年前のことだから、記録がほとんど残ってないって話だし」



「へー、もう一つ聞きたいんだけど忌子って何?まさか双子は呪われてる的な迷信あったりしない?」



「へ?そんな迷信古いよー!ある意味たとえかな?名家にとっての」



「はい?」



「名家ってさ…跡継ぎ……当主を決めなきゃならないじゃない?兄弟とかだと、長男や長女が継ぐもんだからいいけど、双子だとさどちらに継がせるかで迷うらしいんだ。だから名家にとっての忌子」



「ああ、なるほどそういうことか」



 ある意味金持ちの家系に生まれた宿命……ってところか。だから私は金持ちの家に生まれるのが嫌だと思える。



 長男や一人っ子なら可愛がられるだろう、だが兄弟だったら?確実に家督争いに巻き込まれるからだ。それにある意味この先の人生も約束されてはいるが逆に言えば自由がないともいえる、そうなっては生きる意味があるのかと私は思ってしまう。



「っていうかなんで泣いてたの?」



「ああ、さっきも言った通り霞家ってほとんどの名家から差別されてるんだけど、それは私たちも例外じゃないんだよね、幼稚園、小学校、中学校とも他の名家の指示?なのかな、友達ができたことなくて、ずっとクラスメイトから変な目で見られる日々、でも幸いなのはそれ以上のいじめが無かったことかな。

 だからアリスちゃんがあの人たちの話を聞いた後でやっぱり離れるって思ってたから。でもそんな事は無かった、ちゃんと友達でいてくれるって聞いて…ああ、生まれて初めての友達ができたって思ったら涙が止まらなくて。

 他の人は最初は話しかけてくれたけど他の名家の子や名家の大人の話を聞いた親が話さないようにって言ってからは距離置くようになったからアリスちゃんもかなって……」



 私はそれを聞いた瞬間!二人を強く抱きしめた。



「大丈夫!まあ私も学校に入ったら他の人に言われるかもしれないけど、私は絶対にさちとこうの友達になり続けるよ!」



「ありがとう!」



「ありがとうございます」



 周りが訝し気に見ている中抱き合っている私たちだが、ここで重要なことに気づく……杖だ。



「あ!思い出した!」



「どったの?」



「買うものまだあったわ。今思い出した」



「あ、そうなんだ!じゃあ一緒に買いに行こうか?」



「駄目だよさち!もうそろそろ帰らないと……明日の準備もあるし」



「ちょっと待って!帰るのは仕方がないけど……一つだけお願いがあるんだけど……」



「なに?初めての友達だもん!なんでも言って?」



「そうだよ、なんでも言って。」



 二人がこい!こい!という風に熱い眼差しを向けられる、っていうか君たち本当に友達居なかったのね。



「えっと、杖を買いに行くんだけど……師匠が店の名前と場所をメモに書いてくれたんだ。でもさ、さっきの店員の反応からして……読めない確率が非常に高いので解読をお願いします!あと、出来れば案内も……」



「任せてよ!とりあえずそのメモを見せて!」



 二人にも師匠が書いたメモを見せる……が早くも表情が困惑し始める、こうを除いて。



「うわー……確かにこれは読めないわ……日本語だよね?これ?」



「……多分」



「え?読めるけど」



「「は?」」



 私とさちがこうに対して驚愕の視線を送る。



 いや、本屋の店主も読めたのだ、読める人には読めるのかも知れない。だが、私と同い年なのに読めるのは私でも驚く。名家による英才教育なのだろうか……でもさちが読めないとなるとそれも違うようだ。



「なんで!?なんで読めるの?こう!」



 やはり一番驚いたのはやはりさちだ。今まで双子として一緒にいるのにここで初めて片方が見せた特技に驚いたのは無理もない。



「だって家に残ってる古い本とか似たような文字の文よく読んでたし」



「あんたが、いつも読んでる奴?それでか」



「いや、驚くのは後でいいから。とりあえずなんて書いてあるのか教えてください」



「えっとね、『杖を買う場所 オリバンダーの杖』とだけ。ああ、オリバンダーの杖……有名な所だね、私たちもそこで杖買ったし」



「ああ!オリバンダーか!そこならかなり近いよ!ってかここから店見えるじゃん」



二人が納得してる間、私は別の意味で納得していた。オリバンダー…識人…旧日本人が杖の店を作ったのなら店名に納得がいくのだ。ハリーポッターでも出ている有名なお店だから。



私はそこのお店に案内してもらうことにした。
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