真実の愛は罪か否か

KAORU

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不実な婚約者は【真実の愛】を謳う(※タイトル変更しました)

16.心に重い調査結果

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 フェリアは手にした結果を机の上に並べた。

 侍女に調査をお願いしてから3日。フェリアの元には4人の令嬢や夫人に関する報告書が届いた。
 一人は、フェリアが14歳の頃。アランと婚約解消の話が出た際の原因となる令嬢であった。
 中堅的な伯爵家の令嬢で、当時アランと同じ年の16歳。学園入学前から、アランに対して恋情があったらしい。入学するとすぐにアランと行動を共にするようになっている。
 幼少期から同派閥の子爵令息との婚約が成っていたが、その仲はあまり良くなかったようだ。アランに熱を上げるようになり、アランもそばに置くようになって、彼女はその令息との婚約を解消した。その際、すでに令息には次の相手がほぼ見繕われていたから、ではなく、同意の上での解消となったようだ。
 それを証拠に間を置かずに、子爵令息は別の子爵令嬢と婚約している。現在のところ、その相手との婚約は問題なく継続している。
 一方の彼女は、必ずアランと結婚すると親を説得し、婚約の解消まで至ったものの、肝心のアランからは婚約について断られている。

 気になるのは、その後の記述だ。
 件の令嬢はアランと同い年であるのに、フェリアが入学してから学園で名前を聞かない。誰も話題にしないだけかと思っていたが、婚約を解消してすぐに学園を退学していたのである。
 騒動の後、父親の不正が発覚し、家は爵位を男爵位まで落とし、その際、当主が親戚の者に変更となっていたからだ。降爵と令嬢の婚約騒動には関連性はないとされているが、結果的に父親の不祥事の煽りを受けて、令嬢も家族と共に伯爵家からは縁を切られた状態になっている。その後の一家は隣国へ渡ったと記載されていた。

 二人目は、若くして年の離れた伯爵へ嫁ぎ、子を為す前に夫に先立たれた未亡人だった。後妻であったため、後継ぎは先妻の子と決まっていた。17歳という若さで嫁いでおり、その際には、生家である男爵家にかなりの額の支度金が支払われている。見目は美しく女性らしい体つきの少女であったというから、金で売られたというのが正しいであろう。生家の男爵家は、平素は平民と遜色ない生活をしていたと思われる。堅実に運営していれば貴族としてそれなりの対面は保てたであろうが、この一家は派手好きの散財一家であった。食べるものにも苦労するような生活であったのに、派手な衣装を購入したり、賭博に金をつぎ込んだりしていたようである。
 そうして、後妻として嫁いだが、2年の間に夫である伯爵が亡くなった。死別であるから、支度金の返金なども求められず、夫人は齢19歳にして未亡人になり、伯爵家に残ることになった。
 夫の先妻の子が正式に伯爵を継いだ。その子は未亡人と年1歳しか違わない当時18歳であった。まだ若く、伴侶も得ていない当主のため、未亡人は彼の後見となった―― 建前上は。
 おそらく、夫が存命のうちから関係はあったのだろうと噂された。その後、正式な場でのパートナーはすべて未亡人が務めている。
 その距離感は、義理とはいえ親子であるはずが、まるで恋人同士のようだと噂された。
 アランと関係が出来たのは、未亡人が21歳の頃である。継子と婚姻して伯爵家に残ろうとしていたようだが、親戚筋に反対されてその計画は頓挫していたらしい。親戚から息子に婚約者が宛がわれ、いよいよ彼女には居場所がなくなったのである。
 社交界でも【美貌の未亡人】として人気であったが、それはあくまで男性側は火遊びでしかない。伴侶として迎えようとする相手はいなかった。
 そんな折、共通の知り合いを通して、アランと出逢い、未亡人とアランとの距離は短期間で縮まっている。
 しかし、アラン側はこれまた火遊び程度の付き合いであり、3ヶ月ほどで関係は解消している。
 その後、彼女の夫であった前伯爵の死に疑問を抱いていた親戚筋からの訴えで、彼女は殺人罪で捕縛されることになった。共犯は現当主の息子であった。

「なんといっていいか分からないけど、本当に問題のある人ばかりなのね」

 フェリアは二人目までを読んだだけで疲れてしまうほどだ。残りの二人も、調査書の枚数からみて、そう変わらないのだろうと思われた。
 読んだ二人は、どちらも容姿に自信があった。そして、アランの容姿に魅かれた女である。フェリアは直接絡まれたことはないけれど、どちらも男性には人気があったと記憶している。
 調査書には、アランからの接近ではないと記載されている。どちらも女性からのアプローチである。

 それは、アランが質なのか。
 もしくは、アランがのか。
 
 そしてアランと別れた後、どちらも幸せになったとは言い難い。むしろ、隠していたであろう闇が暴かれて、真っ当に裁かれているのである。

「これって、お父様に相談するべきことよね?」

 小さなフェリアの呟きは、傍らの侍女の耳に届いた。

「お嬢様の気の済むようになさいませ。もやもやを抱えたまま、夫にするのは良くありません」

 報告書の横に入れたばかりの茶を置いて、しれっと侍女はそう告げた。
 

 
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