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【2020/05 深度と濃度】
《第3週 土曜日 午前》③
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まあ、だるいのは、長谷とする以前に、先輩と前日も3回戦してるんだからしょうがない。言えないけど。てか、なんだかんだ結構な頻度だし、ほんとそのうち身体イカレてもおかしくないよなあ。我ながら今まで無事なのが不思議なくらいだ。
直人さんとの契約が終わって、また先輩に世話にならずにこのまま済めば、あとはハルくんさえ大人しく引いてくれれば、長谷と落ち着いて暮らせるようになれば、隠居して心を乱される出来事がなくなれば、もうこういうことはやめられるようになるんだろうか。
目的の売場に到着して、天井と棚の間に入れて押さえる器具を2つだけ買う。品番やメーカーがわかれば、あとはネットから通販でも買えるから取り急ぎこれでいい。売場的にそんなにデート向きではないせいか思ったほどの混雑もなく、会計しておれのお目当ての買い物はサクッと終わってしまった。
あとは地下で惣菜でも買って帰ろうと思い、振り返るといつの間にか長谷がエスカレーター傍に移動して手招きしている。隣接する百貨店の方を指差した。
「お惣菜とかはこっちの地下でいいんですよね」
「ああ、うん、そうだけど、他の階用事無くない?」
おれとしては、ついでに見るなら家具とか美容関係とかのほうがいいんだけどな。まあ、おれは近所だしいつでも来れるからいいか。
「どうした?なんか見たいの?」
「おれ自分一人ではなかなか百貨店って来なくて、せいぜい駅ビルとかなんでちょっと見たいです…買える値段じゃないかもですけど」
防災用品がある6階の売場と接しているのはちょうど紳士服・紳士雑貨のあるフロアだ。紳士物お売場自体がそんなに賑わう場所ではないが、やはり景気が良くないこともあるのか、場所柄客層も関係あるのか、休日とはいえこちらも客は少ない。
「まあ、いいよ。なんか欲しい物あったら買ってもいいよ、おれが出すから。なんならマルイメンとか伊勢丹メンズとかも寄っていいよ」
そう言うと長谷は嬉しそうにおれの手を引いて婦人服のエリアを抜けて紳士物の売場に向かった。ハルくんとでさえ人前で手をつないだりはしないから、長谷が手をつないでくれるのは嬉しいけどなんとなく気恥ずかしい。
別におれは性的指向を隠してはいないから別にいいんだけど、長谷はオープンにしているんだろうか。界隈じゃフェチも多い人気のある職業だし、ああいう組織だと知られたら不利になりそうというか、形見狭そうだけど、本人気にしてないんだろうか。
「あ、先生がつけてたようなやつありますよ」
とりあえずぐるりと売場を回ってみる。ベルトやカフスやタイピンなどの装飾雑貨が並ぶところで長谷が足を止め、興味深そうに見ている。
「カフスつける場合は袖口もそれ用にするんだよ、シャツでも今度仕立てるか?」
「いえ、本格的に任務についたらあまり着る機会なくなっちゃうと思うんで…それよりは、屋外で活動することも多いし着替え必要なんでインナー増やしておいたほうがいいのかなあとは思ってるんですけど」
角を曲がって肌着の売場をに入って見ていると、速乾性のある機能性のインナーというのは意外と少ない。登山用品やスポーツ用品の売ってるところのほうがあるのかもしれないと思いながら見ていた。
「なあ、長谷あのさあ」
振り返ると長谷の姿がない。通路に出ると、エレベーターの陰の化粧室に向かう通路の壁に隠れていた。
「何やってんの、あのさ、インナーなんだけど」
「先生、いいからこっちに来て」
近づくと、強引に手を引かれて化粧室まで連れて行かれる。そして、個室に連れ込まれて内鍵をかけられた。
直人さんとの契約が終わって、また先輩に世話にならずにこのまま済めば、あとはハルくんさえ大人しく引いてくれれば、長谷と落ち着いて暮らせるようになれば、隠居して心を乱される出来事がなくなれば、もうこういうことはやめられるようになるんだろうか。
目的の売場に到着して、天井と棚の間に入れて押さえる器具を2つだけ買う。品番やメーカーがわかれば、あとはネットから通販でも買えるから取り急ぎこれでいい。売場的にそんなにデート向きではないせいか思ったほどの混雑もなく、会計しておれのお目当ての買い物はサクッと終わってしまった。
あとは地下で惣菜でも買って帰ろうと思い、振り返るといつの間にか長谷がエスカレーター傍に移動して手招きしている。隣接する百貨店の方を指差した。
「お惣菜とかはこっちの地下でいいんですよね」
「ああ、うん、そうだけど、他の階用事無くない?」
おれとしては、ついでに見るなら家具とか美容関係とかのほうがいいんだけどな。まあ、おれは近所だしいつでも来れるからいいか。
「どうした?なんか見たいの?」
「おれ自分一人ではなかなか百貨店って来なくて、せいぜい駅ビルとかなんでちょっと見たいです…買える値段じゃないかもですけど」
防災用品がある6階の売場と接しているのはちょうど紳士服・紳士雑貨のあるフロアだ。紳士物お売場自体がそんなに賑わう場所ではないが、やはり景気が良くないこともあるのか、場所柄客層も関係あるのか、休日とはいえこちらも客は少ない。
「まあ、いいよ。なんか欲しい物あったら買ってもいいよ、おれが出すから。なんならマルイメンとか伊勢丹メンズとかも寄っていいよ」
そう言うと長谷は嬉しそうにおれの手を引いて婦人服のエリアを抜けて紳士物の売場に向かった。ハルくんとでさえ人前で手をつないだりはしないから、長谷が手をつないでくれるのは嬉しいけどなんとなく気恥ずかしい。
別におれは性的指向を隠してはいないから別にいいんだけど、長谷はオープンにしているんだろうか。界隈じゃフェチも多い人気のある職業だし、ああいう組織だと知られたら不利になりそうというか、形見狭そうだけど、本人気にしてないんだろうか。
「あ、先生がつけてたようなやつありますよ」
とりあえずぐるりと売場を回ってみる。ベルトやカフスやタイピンなどの装飾雑貨が並ぶところで長谷が足を止め、興味深そうに見ている。
「カフスつける場合は袖口もそれ用にするんだよ、シャツでも今度仕立てるか?」
「いえ、本格的に任務についたらあまり着る機会なくなっちゃうと思うんで…それよりは、屋外で活動することも多いし着替え必要なんでインナー増やしておいたほうがいいのかなあとは思ってるんですけど」
角を曲がって肌着の売場をに入って見ていると、速乾性のある機能性のインナーというのは意外と少ない。登山用品やスポーツ用品の売ってるところのほうがあるのかもしれないと思いながら見ていた。
「なあ、長谷あのさあ」
振り返ると長谷の姿がない。通路に出ると、エレベーターの陰の化粧室に向かう通路の壁に隠れていた。
「何やってんの、あのさ、インナーなんだけど」
「先生、いいからこっちに来て」
近づくと、強引に手を引かれて化粧室まで連れて行かれる。そして、個室に連れ込まれて内鍵をかけられた。
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