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第13章 間話、野営にて

第83話 間話 3

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「おらっ!ペースが落ちてるぞソニア! ゴウナム!キリキリ走れ!! 」

ーーダダダダダダダダダダダダダダダダッ!! ーー

「「ひいぃぃぃぃぃぃぃいっ!? 」」

 前を走るソニアとゴウナムの足元に《魔弾》を撃ち払いながら、大声で追い立てる。

 昨夜の『唐揚げ&露天風呂の宴』から一夜明けて、宣言通り、今朝から訓練開始である。
 
 とはいえ、ソニア、ゴウナム、アーニャ、マーニャの【蒼い疾風ブルー ソニック】の四人は、スケールやカークスは疎か、セイリアに比べても、まだまだレベルも修練もまるで足りていないのが今の状況だ。
 
 だが、昨日の〈熊狼グリズリーハウンド〉達との戦いの中で、ひとつ面白い事が分かった。
 それは何かと言えば、ソニア達はこれまでの話の中で、魔法について、薪に極小さな火を点火する《着火ライター》や、自身や服などの汚れを落とす《清浄クリーン》などの、いわゆる《生活魔法》と呼ばれる種類の物を親から習った以外は、、と言っていたのだが、〈熊狼〉との戦いの中で、僅かではあったが四人から《身体強化魔法》の魔力波動を感じたのだ。
 一晩が経ち、昨日の復習がてら四人と四対一の組手をしてみたのだが、その際にアイにスキャンしてもらうと、確かに四人は拙いながらも《身体強化魔法》を纏っていた。
 組手の終了後、四人に対しその事を伝えてみると、逆に驚かれてしまった。どうやら本当に無意識の発動だったようだ。

 ーー………ふむ?ーー

 これは仮定だが、恐らく獣人族特有の身体能力の高さとは、獣と人、両方の特性を備えた柔軟で強靭な身体構造を持つ、という事だけでは無く、取り込んだ魔素を無意識のうちに魔力へと変換し、《身体強化魔法》として発現させている為ではないか?と推測してみた。
 そもそも”獣人族”のソニア達は心肺能力が高い。その高い心肺能力で通常より多い魔素を取り込み、荒野や森の中などでの過酷な生存競争の中で、本能的に魔力を身体強化に使用するようになったのではないかと思う。
 
 そう、それこそ”魔獣”達のように……。

 と、いうことは、非常に驚くべき事だが、”意識的に行なっていない”というだけで、ソニア達は俺が血を吐く思いで(実際何度も血反吐に塗れたが)修めた【玖珂流魔闘術(闘氣術)】の基礎を、本能的にという事になるのだ!?

 ーー う~~む、野生恐るべし……っ!? ーー

 ならば、本能的に行なっていた事を、意識的に行えるようにすれば、戦闘面では劇的に四人の戦闘力は向上するだろう。

 まあ、そうは言っても、現状では修練度合いもレベルも、まだまだ何もかもが全然足りていない。じゃあ、今は何をやっているかと言うと………、

 (ソニア・ゴウナム組)(ラーナちゃん・アーニャ・マーニャ組)(セイリア・スケール・カークス組)の三つの組に分けて、代わる代わる交代で、走行中の馬車に並走させて走り込みをさせているところだ。ま、基本に立ち返る、という事で。
 ちなみに俺はと言えば、最初から現在まで、銃を構えながら、交代して走っているメンバーの後ろを、ずっと走りっぱなしだ。

「な、何で…兄貴…は、へ、平気…な、なんだよ~~~~っ!? 」
「バ~カ、ゴウナム、鍛え方が違うんだよ! 無駄口叩いてないで、ちゃんとさっさと走れ!」

 日は中天を指し、既にローテーションも五周目、他のメンバー達も馬車の中でヘロヘロだ。そろそろ今日は限界かな?と、意識の端で考えながら、ゴウナムを叱り飛ばす。

「よ~し、ウッガ! 速度を緩めて、一ケルグ(キロ)程走ったら馬車を止めてくれ!そこで休憩して昼飯にしよう!」
「あいよ~、旦那ァ!待ってました!」

 御者台のウッガに向かって声をかける。いつものライナとサイノの走りでは、今のソニア達では絶対に長時間の並走など出来ないので、もともとかなりスピードを緩めていたのだが、それを更に落としていくウッガ。

「っしゃ! ラストスパートだ、二人共気張れ!」
「「うおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉっ!! 」」

 疲れ切って縺れそうになる足に気合いを入れ、疲労を雄叫びを上げることで捩じ伏せて、最後のスパートを始めるソニアとゴウナム。
 こうして、王都に着くまでの道程の中で、様々な訓練が始まったのだった。



「旦那ァ!「ハマーン・マース」が見えて来やしたよぉっ!」

 更に半日が経ち、日はだいぶ傾いて、夕陽に大地が真っ赤に彩られる中、広大な湖の畔に広がる美しい都市、「ハマーン・マース」が見えて来た。
 ここまで来れば、王都まであと三分の一程度の距離だという。

「ここはねぇ、”ウーナ”って魔魚の蒲焼きが名物なんですよ! これがまた美味えのなんの! ああ…思い出しただけでオイラ腹が減って来ちまった……!? 急げ~~!ライナ、サイノ!! 」

 もう暫くすれば完全に日も沈み、都市の門も固く閉ざされてしまうだろう。名物を食い逃してなるものか!と、ウッガが手綱を鳴らすと、それに応えて一声高い嘶きを上げ、猛然と速度を上げるライナとサイノ。

 訓練の為に通常より抑えて走っていた事で、少し不満だったのだろうか?嬉しそうに全力疾走する二頭のお陰で、俺達は無事日没までに「ハマーン・マース」の門を潜ることが出来たのだった。

 大きな湖の畔に広がるだけあって、「ハマーン・マース」は港街でもあった。水源に乏しいここまでの草原や荒野と違って、街の周りには湖の豊富な水を使用した農耕地が広がり、また湖から水揚げされる魚貝類のお陰で食に関しても恵まれている。
 沖の方の水深の深い方はともかく、岸に近い方にはそれほど強い水棲魔獣の類いもおらず、船を利用して、湖に点在する各港町や、そこから伸びる各街道の都市との交易も盛んという、大変活気のある都市だった。

 瀟洒な家が建ち並び、道路にも石畳が敷き詰められていて、都市を運営する資金の潤沢さも伺わせる。
 陸路と水路を通じて多くの人が集まり、街の中は大層賑わっていた。

 だが、街行く人々の様子を見ていると、普段の日常の中での喧騒とは何か違うものを感じる。何と言うか、不安?のような空気が漂っているのを感じたのだ。
 そうだな?俺の経験の中だけで似たようなものを挙げるなら、内戦や、反政府武装組織とかが暴れている国の都市で感じた空気感によく似ているような気がする。

「何だろうな?賑やかには違いないんだが……? 」
「そうですね、”何かに脅えている”ような、そんな雰囲気を感じますね?先日、する為に寄った時は、そんな感じは受けなかったんですが……?」

 つい一ヶ月程前に、この「ハマーン・マース」に立ち寄った憶えのあるセイリア達が、その時に受けた街の印象とのに、首を傾げている。

「う~ん? 初めて来た俺には、どっちにしろよく分からないが…?まあいいや、取り敢えず今夜の宿を取って、それからこの街の冒険者ギルドに行ってみよう。騒ぎの原因も判るかもしれないしな 」

 もう既に都市の門が閉められているこの時間、ランクの低い安宿や中ランクまでの宿はすっかり埋まって空き部屋は無さそうだったが、一部上位ランクに含まれる高級宿には、まだ幾分かの空きがあった様で、俺達は無事【碧麟館】という名の宿(というより殆どホテル)に部屋を取る事が出来た。

 〈辺境伯〉という大貴族令嬢のセイリアや、その従者である秀真組は平然としていたが、元々が平民で、こんな高級宿には縁が無い低ランクの冒険者であるソニア達は、すっかり気遅れしてしまい『別の安宿を探す』と言い出したが、そんな事は俺が許さない。
 ーー「金なら俺が払うから心配無い」ーーと、無理矢理引き留めて、半分強制的に部屋を取らせた。
 感覚としてはソニア達庶民に近く、が半端無い俺が我慢しているのだ、一連托生、道連れである。
 とは言っても俺の場合、地球ではVIPの護衛などの任務で、もっと高級感溢れるホテルに宿泊した事が何度もある為、ソニア達に比べれば多少気は楽だったのだが。

 ウッガに世話を頼んで、二頭を宿の厩に預け、それほど遠くは無いということで、徒歩で冒険者ギルドへと向かう事にした。
 俺やアイにとっては全くの異国、どころか異世界だ、雑多なや、店先に並べられた見た事も無い魚や果物など、見る物聞くものが全て目新しく、こうして歩いているだけでも十分に面白い。
 そうして異世界情緒溢れる街の様子を楽しみながら、目的地の冒険者ギルドへと到着したのだが、ドアを潜れば、ギルドの中は外の街中よりも更に喧騒に包まれていた。

「冒険者は何人集まった!? 」
「まだ、予定の半分程です、支部長! おまけに「ハマーン・マース」を拠点にしている高ランクパーティの半分以上が、長期の護衛任務で出払っていて!? 」
「く…っ!? いかん、このままでは…!?仕方がない、依頼ランクを落としてでも、人数を集めるんだ!事態は一刻を争う、急げっ!! 」

 この時刻だと、冒険者達はそれぞれが受けた依頼を終え、依頼の達成報告や報酬の受け取り、採取した素材の買い取りと、冒険者ギルド内が忙しい時間帯ではあるのだが、今日のこの騒ぎはそれが原因では無いようだ。怒号と悲鳴のような叫びが飛び交い、冒険者も職員達も皆、殺気立ってさえいるのを感じる。

「兄貴、なんだか随分と騒がしいけど、何かあったのかな?」
「う~ん?よく分からんが、そんな感じだなぁ…。忙しそうだし、また明日にでも出直すか?」
「そうだねぇ…? 気になるし、一応何があったのかだけ聞いてみないかい?」

 昨日の〈熊狼〉の素材の買い取りを頼みたかったんだが、あまりに忙しそうなので躊躇していると、ソニアがそう話しかけて来た。

「そうだな、何か緊急事態かもしれないしな。情報を集めておくのも悪くない 」

 出直すことも考えていたのだが、もしか何らかの緊急事態であるなら、自分達に害の及ぶ危険性も考えられる。 
 そう思い直して一番短い列へと並び、暫くすると順番が回って来た。

「いらっしゃいませ、今日は何のご用事でしょうか?」
「この街に来る途中で倒した魔獣の素材の買い取りを頼みたいんだが…、随分騒がしいけど、何かあったのか?」

 割と可愛らしい感じの受付嬢さんだが、その表情には疲れが滲んでいるようだ、営業スマイルにも精彩が無い。

「買い取り…ですか? 申し訳ありません、ご覧の通り、少々立て込んでおりまして、買い取りの係の者が鑑定出来ない状態ですので、また後日という事になってしまうのですが……、それより!あなた方は冒険者ですか!? 」
「え、ええ…まあ。何か緊急事態でも発生したんですか?」
「はい…実は。この付近に厄介な魔獣の群れが発生したんです。通常よりも遥かに大きな群れで、それだけでも厄介なのに、更に上位種がその群れのリーダーである事が判明したんです。その魔獣達の所為で、既に二つの村が壊滅しています。お願いです!お急ぎかもしれませんが、討伐チームに加わって頂けませんか!? 」

 カウンターから身を乗り出さんばかりの勢いで、受付嬢さんが懇願して来る。
 
「え、ええと…、俺たちの冒険者ランクは、そんなに高くありませんよ? 」
「構いません! この街に所属している高ランクパーティの多くが、運悪く出払ってしまっていて……、とにかく多くの冒険者の方の助けが必要なんです!!」

 ……”魔獣の群れ”か…?手助けすることはやぶさかでは無いのだが、ソニア達の訓練を始めた事で、王都帰還の為の馬車のペースは随分と落ちている。
 この魔獣討伐依頼が、いったいどれくらいの期間に及ぶのか分からないが、「魔術学院」への早期復帰を目指すセイリアにとって、これ以上の旅程の遅れは好ましく無いだろう。
 そう思いながら、後ろのセイリアやレイナルドさんの方をチラリと見れば、二人共がにっこりと笑いながら頷いていた。
 
 うん、もう既に二つの村が被害にあっているらしいし、放っては置けないよな。

 二人に頷き返し、了承の意を示そうとしたところで、依頼を受ける事を迷っていると思ったのか、被せるように受付嬢さんが訴えかけて来る。

「お願いします!〈〉に率いられた、百匹以上にもなる強力な〈なんです!どうか力を貸して下さい!! 」

 ……ん?んん?…〈〉に率いられた百匹以上の〈〉の群れ……? 

 思わずセイリアやソニア達と顔を見合わせてしまうが、レイナルドさんなどは苦笑している。振り向いて、受付嬢さんに今の話を確認する。

「あの~、問題になっているのは、〈熊狼〉の群れなんですか?」
「はい!」
「〈熊狼王〉がリーダーの?」
「はい!!」
「…………………………」

 ちょいちょいと手招きをして、身を乗り出す受付嬢さんの耳元に、そっと耳打ちをする。

「さっき、『ここに来る途中で倒した魔獣の素材の買い取り』って言いましたよね?」
「はい 」
「あれ…、買い取ってもらいたかったの、〈熊狼王〉の素材なんですよね 」
「……は?」
「百匹以上の群れだったし、たぶん、その話の群れじゃないかと思うんですが………?」
「…………………………はい?」

 言った事の意味がすぐには理解出来なかったのか、目を点にしてフリーズする受付嬢さん。しかし、その目がだんだんと見開かれていき?

「え?え!?えええええええええええぇぇぇぇぇぇっ!? ちょっ!待っ!えっ!?ちょっと!ちょっと待ってて下さい!支部長!支部…あ痛ぁっ!? もうっ!支部長!支部長ーーーーっ!! 」

 盛大に驚き声を上げた後、慌てて立ち上がり、隣のイスに脚をぶつけて涙目になりながらも、少し奥に居たひとりの男性の所へ、大慌てで走って行く受付嬢さん。
 そのままそこで大きな身振り手振りで男性に話をすると、血相を変えた様子で、その男性と一緒に戻って来た。

「き、君達!〈熊狼王グリズリーハウンドリーダー〉の群れを討伐したと言うのは本当かっ!? もし、嘘や冷やかしならタダでは済まさんぞ!! 」

 男性は今にもカウンターを飛び越えそうな勢いで近寄ってくると、俺に掴みかからんばかりの形相で叫ぶ。

「え~と、嘘じゃありませんよ?お疑いなら、今ここで証拠の素材を出しますが……?」
「……分かった。裏の素材の解体場に馬車を回したまえ。言い遅れたが、私はこの「ハマーン・マース」の支部長、ミツカビだ 」

 まだ信じられないらしく、不信感のこもった眼差しで、値踏みをするようにこちらを見てくるミツカビ支部長。

『……マスター?』
『燃やさなくていい。落ち着けアイ 』

 ヤバい!?ミツカビ支部長の俺への態度に、アイが不機嫌になって来てる。とっとと証拠を出して、納得してもらおう。

「ああ、俺、”アイテムボックス”持ちなんで、このまま付いて行きますから、案内して下さい 」
「アイテムボックス?やっぱり貴様嘘を言っていたのか!例えアイテムボックス持ちだろうと、百匹もの魔獣が入る訳が無いだろう!」
「いいから、いいから。嘘か本当かはこれから分かるでしょう?怒るのはそれからにして下さい 」
「……いいだろう。付いて来給え 」

 憮然とした表情で踵を返すミツカビ支部長の後を、俺達は苦笑を浮かべあいながら付いて行くのだった。



「こっ、こっ、こんな事が………!? 」

 ギルドの裏手、素材解体場の床に、山と積まれた〈熊狼〉の死体を前に、ミツカビ支部長や、その他ギルド職員達が絶句して立ち尽くす。
 先程、素材解体場に着き、さあ出してみろ!と言わんばかりの表情だったミツカビ支部長だったが、どん、どん、どん!と、アイテムボックスから〈熊狼〉を次々と取り出している内に唖然とした表情に変わり、最後に〈熊狼王〉を取り出した時には、カクン、と顎を落として、呆けた様な顔へと変わっていた。

「……ほ、本当だったのか!? いや、しかし、こんなに入れておけるアイテムボックスなど聞いた事も無い!? き、君達は高ランク冒険者なのか!? 」
「いえ、まだランクはそれほどでは無いですよ?」
「ち、違うだろう!そうじゃ無いだろう!? ギ、ギルドカードを見せてみたまえ!? 」

 取り乱したミツカビ支部長の様子に、仕方なくレイナルドさん以外のメンバーは各々のギルドカードを取り出して提示するが、それを見たミツカビ支部長は、更に混乱してしまったようだ。

「……は!? ランク…D?E?…見習い…だと!?  バカなっ!? あり得ない! お、お前達、何か不正を働いたんだな!? は、白状しろぉぉぉっ!」

 とうとう喚き散らし、錯乱しだしてしまった。それを見ていたレイナルドさんが、やれやれと溜め息を吐きながら、自分のカードを取り出しながら支部長へと声をかける。

「落ち着きなさい。見苦しいですよ 」
「何だお前は!お前も仲間…か?こ、これは〈ランクA〉カード!? 名前は…【レイナルド・ゴーロゥ】!? で、では貴方が、【微笑みの剣鬼】様!これは失礼しました!…は!?分かりました!本当は貴方が討伐されたのですね!! 」

 引っ手繰るようにレイナルドさんのカードを手に取ったミツカビ支部長が、カードに記されたレイナルドさんの名前を見て恐縮し、かと思うと、やっと納得がいった!とばかりに表情を輝かせる。

「いいえ、〈熊狼王〉を始めとする群れを討伐したのは、確かにそちらの方々ですよ。私は馬車の護衛をしながら見守っていただけです。ほら、私の得物は刀、〈熊狼〉達の身体に付いた傷の違いが、あなたになら分かるでしょう?」
「確かに…。打撃痕に矢傷、大剣で叩きつけたような傷ばかり……、まさか本当に!?」
「はい。ちなみに、この中で一番腕の立つのは、そちらの…ヒト族での、黒髪の彼ですよ?」

 やめればいいのに、”にっこり”と笑いながら、トドメの爆弾を投下するレイナルドさん。
 せっかく落ち着きを取り戻したミツカビ支部長の顔が、一瞬で強張り、身体がブルブルと震え出す。

「う、う、う…嘘だあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!? 」

 …………あ~~ぁあ…、とうとうプッツンしちゃったよ……、可哀相に……。

「さて、どうやら支部長は話が出来ないご様子。副支部長はみえますか?順序は逆になりましたが、依頼の達成報酬と素材の買い取りを………… 」

 酷え……!?  喚き散らすミツカビ支部長を尻目に、サクサクと話を進めるレイナルドさん。
 どうやら、さっき俺やセイリアに向かってミツカビ支部長が取った態度や暴言に、実は内心御立腹だったようだ。

 こうして、「ハマーン・マース」に訪れるかもしれなかった脅威は、始まる前に終息を迎えたのだった。


 レイナルドさんを怒らせるのはやめよう!という、俺達の決意と共に…………………………!?






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 これで一旦間話終了です。本来は第7章に入れるかどうか悩んだのですが、章がまた長くなり過ぎるといけないと、泣く泣く削った部分でした。
 が、やっぱりどうしても書きたくて、間話として入れさせて頂きました。
 次回からは時系列を戻します。引き続き宜しくお願い致します。



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