リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第13章〜帝国編〜

閑話:寵妃の野望

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マリージュアside



こうして心が踊るのは、私の悲願が成就するから。
コツコツと積み上げた私の計画。


「あぁ、もう少しです、愛おしき魔王様。」


うっとりと夢想する。
この世界が悲鳴を上げ、壊れ行く様を。


「・・んっ、マリア?」
「ふふ、あらあら、ガルドフェイン様、申し訳ありません。起こしてしまいましたか?」


私のベットで微睡んでいた、計画の為の駒の1人が起きてしまった様だ。
愚かな駒、リュストヘルゼ帝国の皇帝、ガルドフェインが。


「大丈夫、まだ眠っていてください、ガルドフェイン様。何かありましたら、直ぐにご報告いたしますから。」
「んっ、ぅ、」


あやす様に、ガルドフェインを寝かせ付ける。
まだ、お前はお眠り。


「くふふ、ガルドフェイン、お前の利用価値が無くなる時は、この世界が滅ぶ時よ。」


ガルドフェインの寵妃マリア、マリージュアは哄笑を響かせた。
早く壊れてしまえ。
私から愛おしい魔王様を奪った、こんな世界など。


「ーーーお前、名は?」
「マリアと申します。」


人は言う。
血筋卑しき娘が、王の目に留まる栄光の話を。


「マリア、私の愛おしき人。」


そして羨む。
王の寵愛を独占する女の事を。


「マリア、お前は側室なのだから、王妃たる私の言う事を良くお聞き?」


妬みは、怒りへ。
醜い嫉妬は、私への敵意へと変わる。


「ふふ、王妃様?ガルドフェイン様の寵愛が薄れたからと言って、私に当たらないでくださいまし。」
「何!?」
「良いのですか?私がガルドフェイン様に頼めば、王妃様のお命は無いかも知れませんよ?」


にたりと笑う。
今の王は、私の傀儡。
私の命なら、目の前の女の首だって跳ねるだろう。


「王妃様、もう少し自重されませ。まだ、死にたく無いでしょう?」


この国と共に息の根を止めてあげるから。
怯える女に背を向け、自分に与えられた部屋へと足を向けた。


「ガルドフェイン様、この世界を手にしてくださいませ。」


毎夜、耳元へ囁く。


「貴方にこそ、世界の王と言う栄光は相応しい。」


甘い誘惑。


「血の争いを、私に見せて?」


崩壊への道へ誘った。


「私は世界の統一の為、各国へ宣戦布告をする。」


少しずつ、染まるガルドフェイン。
私の毒に。
自分の欲望に溺れていく。


「その様な事、決してなりません、陛下!」
「世界中を敵に回すと言うのですか!?」


上がる否定の声。


「ーーーっっ、この者達の首を刎ねよ!」


自分に計画に邪魔になりそうな者は、ガルドフェインが容赦なく首を刎ねていくのは愉快だった。
抵抗は少数になっていく。


「ガルドフェイン様、どうかお鎮まりを。」


時に慈悲を乞い。
優しい寵妃を周知させていった。
その水面下で自分の計画を円滑に進ませる為に魅力の力を使い、洗脳していく。


「だって、つまらないでしょう?」


寵妃に溺れた愚王。
そんな安易な理由を与え、内紛だけで終わるのだけは嫌だった。
やるなら徹底的に。


「この世界の全てを、私が破壊尽くすの。」


各国へ攻撃の理由など与えない。
だから私は、愚王を諌める事の出来る唯一の寵妃の地位を守り続けた。
全ては、自分の願いを叶える日の為に。


「さぁ、もう良いでしょう?」


機は熟した。
ガルドフェインに各国へ宣戦布告を告げさせる。
最高のショーの始まりだ。


「あら?」


最後の仕上げの為に魅力しておいた坊や達の気配が、いつの間にか掴めなくなっている事に気がつく。
いずれも、ルイン・カウベリン辺境伯を監視と告発させる為に魅力していた坊や達だ。


「ふん?魅力されている事に気が付かれて殺されたのかしら?」


惜しい事だと溜息を吐き出す。
ルイン・カウベリン辺境伯は、最後にこのリュストヘルゼ帝国を内紛に燃え上がらせる為の駒だったのだから。


「まぁ、良いわ。やり用は幾らでもあるし。」


監視させていた中には、ルイン・カウベリン辺境伯が可愛がっていた子もいた。
その子を殺した事を広めるのも一興か。


「ふふふ、ルイン・カウベリン辺境伯がガルムンド王国と内通した事を知った部下を殺した、なんて、面白い筋書きはどうかしら?」


リュストヘルゼ帝国は外にも中でも、内紛と言う名の爆弾を抱える事になるのだ。
全ては、私の采配次第。
1つ支持を出せば、下り坂を転がり落ちる様に世界は崩壊へと進んで行く。


「最前線で楽しいショーを見れないのは退屈だけど、最後の仕上げまで待ちましょうか。」


ルイン・カウベリン辺境伯を監視させていた坊や達がどうなったか報告させる為に、残していたワイバーン部隊の1人を後方に控えさせた本隊へと合流する様に支持して飛び立たせる。
坊や達の死体も有れば、良いのだが。


「ふふ、ガルドフェイン、私が貴方の寵妃でいるのも後少しよ。」


私のベットで眠るガルドフェインの髪を梳く。
野望が叶うと信じていた。
それが間違いだったと知るのは、もう少し後。


「ニュクスお母様の愛し子として、寵妃マリアが魔族である事を宣言します!」


1人の小娘によって、計画は狂わされる事になる。



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