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★高等部3年生⑤
そして1週間後殿下は留学した。わたしの席の隣は暫く空いたままになる。
隣の席をじっと見ていたらクレインがわたしに話しかけてきた。
「殿下がいないから寂しいんでしょ」
「うん、寂しい。殿下とは六年間隣の席が一緒なの、初めて離れた気分……」
わたしは殿下がいないだけでこんなに寂しいなんて思っていなかった。
「……寂しいよ……」
机にベッタリと突っ伏せて一人呟く。
わたしの髪の毛をわしゃわしゃしてくる奴がいた。
「だ、誰?」
わたしはびっくりして顔を上げるとアランがニヤニヤして笑っていた。
「もう!びっくりするじゃない!」
「殿下がいなくなって落ち込んでいるんだろ?」
「っう……確かに…こんなに寂しくなるなんて計算違いだったの。明るく行ってらっしゃいして帰って来たら楽しかった日々を殿下に羨ましがれるくらい話してあげるつもりだったの」
「だったらとりあえず一つ話せることが増えるよ。父上と会える日が決まったよ」
「レオ様?」
「うん、来週の休日になるんだけどどうかな?」
「大丈夫!どうしたらいい?」
「父上がシャーリーの屋敷に伺うように話すと言ってた」
「分かったわ、では家で待っているわ」
「うん、伝えておくよ」
「アランも来るんでしょう?」
「えっ?俺?」
「うん、もちろんよ。アランもレオ様に言いたいこと言えば良いのよ。溜め込まないで!」
「………………考えとく」
こうして殿下のいない日々にまだ慣れない中でレオ様との対面の日が来た。
わたしはなんとなく落ち着かなくて部屋の中を行ったり来たりしていた。
「落ち着きなさい、鬱陶しいわ」
シャーリーがわたしの部屋に来て溜息を吐いていた。
「姉様がこんなに落ち着かない姿は初めて見たわ」
メイが少し嬉しそうに言った。
二人はのんびりわたしの部屋でお茶を飲んでいた。
わたしはその周りをうろうろと歩いていた。
「ねえ、まだ後来るまでに1時間もあるわ。座ってゆっくりお茶でもしましょうよ」
わたしは落ち着かないのに無理やり座ってお茶を飲んだが上の空だった。
そして侍女が呼びに来てわたしは客室に向かった。
初めての父親との会話に胸がドキドキして落ち着かない。
部屋へ入るとアランもいた。
アランの顔を見て少しホッとした。
わたしはレオ様を見て、まずは挨拶をした。
「エイミーです。今日はよろしくお願いします」
畏まらず簡単な挨拶をしてみた。
「エイミー、ゆっくり話すのは初めてだね。よろしく」
わたしは色々話すことを考えていたが頭が真っ白になってしまった。
「あ、あの、ですね、レオ様はわたしのお父様らしいのですがわたしは貴方の事を知らずに生きて来ました。そして今も実感がありません。貴方はわたしのお母様を愛していると言っていますがそれはただ何年も思い続けたことで今更諦められない妄想ではないのですか?はっきり言ってお母様は貴方に怯えて暮らしていたと思います。貴方を今さら愛するのでしょうか?」
アランは溜息を吐いてわたしをみた。
「一発目から結構厳しい発言だね」
「ごめんなさい、でも……わたしお母様の気持ちが分かるんです。多分貴方に対して今まで必死で避けて考えないことで自分の気持ちを保って来たんだと思うんです。なのに本当は浮気していなかった。わたし達のことをずっと思っていたなんて言われても今さらでしかないと思うんです。アランだって今さら本当のお父様が現れてもすぐには受け入れられないでしょう?」
「そこで俺に聞くの?……確かに俺にとって父上は目の前にいる人だ。でも今は少しずつラウル様に対してもこの人は父親なんだと感じるようになってきた」
「アラン、そうなのか?」
レオ様は寂しそうに聞いてきた。
「父上、俺は父上の背中を見て育ちました。俺は立派な侯爵当主になるのを目標に過ごしてきました。でも剣術も好きなんです。ラウル様から教わる度にワクワクしてもっとやりたいと求めてしまう自分もいます」
「アラン、分かるわ!わたしも剣術が大好きなの。ワクワクするわよね」
「エイミーは今でも剣術が好きなんだね」
レオ様はなぜ知っているのかしら?
「ええ、刺繍やマナーの勉強をするよりもダンスをするよりも剣を振って鍛錬している時が1番好きです」
「あと好きなことは?」
「やはり読書です。最近は陛下と諸外国の習慣や国民の」
なんだか話が盛り上がってきた気がするわ。
隣の席をじっと見ていたらクレインがわたしに話しかけてきた。
「殿下がいないから寂しいんでしょ」
「うん、寂しい。殿下とは六年間隣の席が一緒なの、初めて離れた気分……」
わたしは殿下がいないだけでこんなに寂しいなんて思っていなかった。
「……寂しいよ……」
机にベッタリと突っ伏せて一人呟く。
わたしの髪の毛をわしゃわしゃしてくる奴がいた。
「だ、誰?」
わたしはびっくりして顔を上げるとアランがニヤニヤして笑っていた。
「もう!びっくりするじゃない!」
「殿下がいなくなって落ち込んでいるんだろ?」
「っう……確かに…こんなに寂しくなるなんて計算違いだったの。明るく行ってらっしゃいして帰って来たら楽しかった日々を殿下に羨ましがれるくらい話してあげるつもりだったの」
「だったらとりあえず一つ話せることが増えるよ。父上と会える日が決まったよ」
「レオ様?」
「うん、来週の休日になるんだけどどうかな?」
「大丈夫!どうしたらいい?」
「父上がシャーリーの屋敷に伺うように話すと言ってた」
「分かったわ、では家で待っているわ」
「うん、伝えておくよ」
「アランも来るんでしょう?」
「えっ?俺?」
「うん、もちろんよ。アランもレオ様に言いたいこと言えば良いのよ。溜め込まないで!」
「………………考えとく」
こうして殿下のいない日々にまだ慣れない中でレオ様との対面の日が来た。
わたしはなんとなく落ち着かなくて部屋の中を行ったり来たりしていた。
「落ち着きなさい、鬱陶しいわ」
シャーリーがわたしの部屋に来て溜息を吐いていた。
「姉様がこんなに落ち着かない姿は初めて見たわ」
メイが少し嬉しそうに言った。
二人はのんびりわたしの部屋でお茶を飲んでいた。
わたしはその周りをうろうろと歩いていた。
「ねえ、まだ後来るまでに1時間もあるわ。座ってゆっくりお茶でもしましょうよ」
わたしは落ち着かないのに無理やり座ってお茶を飲んだが上の空だった。
そして侍女が呼びに来てわたしは客室に向かった。
初めての父親との会話に胸がドキドキして落ち着かない。
部屋へ入るとアランもいた。
アランの顔を見て少しホッとした。
わたしはレオ様を見て、まずは挨拶をした。
「エイミーです。今日はよろしくお願いします」
畏まらず簡単な挨拶をしてみた。
「エイミー、ゆっくり話すのは初めてだね。よろしく」
わたしは色々話すことを考えていたが頭が真っ白になってしまった。
「あ、あの、ですね、レオ様はわたしのお父様らしいのですがわたしは貴方の事を知らずに生きて来ました。そして今も実感がありません。貴方はわたしのお母様を愛していると言っていますがそれはただ何年も思い続けたことで今更諦められない妄想ではないのですか?はっきり言ってお母様は貴方に怯えて暮らしていたと思います。貴方を今さら愛するのでしょうか?」
アランは溜息を吐いてわたしをみた。
「一発目から結構厳しい発言だね」
「ごめんなさい、でも……わたしお母様の気持ちが分かるんです。多分貴方に対して今まで必死で避けて考えないことで自分の気持ちを保って来たんだと思うんです。なのに本当は浮気していなかった。わたし達のことをずっと思っていたなんて言われても今さらでしかないと思うんです。アランだって今さら本当のお父様が現れてもすぐには受け入れられないでしょう?」
「そこで俺に聞くの?……確かに俺にとって父上は目の前にいる人だ。でも今は少しずつラウル様に対してもこの人は父親なんだと感じるようになってきた」
「アラン、そうなのか?」
レオ様は寂しそうに聞いてきた。
「父上、俺は父上の背中を見て育ちました。俺は立派な侯爵当主になるのを目標に過ごしてきました。でも剣術も好きなんです。ラウル様から教わる度にワクワクしてもっとやりたいと求めてしまう自分もいます」
「アラン、分かるわ!わたしも剣術が大好きなの。ワクワクするわよね」
「エイミーは今でも剣術が好きなんだね」
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「ええ、刺繍やマナーの勉強をするよりもダンスをするよりも剣を振って鍛錬している時が1番好きです」
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