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59話 ビアンカがいなくなった!
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「ビアンカがいなくなった?」
学校では突然の失踪に騒ついた。
池で溺れた猫を助けるためビアンカが池に飛び込んだと報告が入った。
男性が助け出し医務室へ運んだはず……なのに医務室にはビアンカの姿はなかった。
フェリックスは「探せ」と数人の護衛に命令した。
学校では基本、護衛はつけてはならないことになっていた。たとえ元王族とはいえフェリックスはオリソン国では公爵令息でしかない。
ただいざという時に配備はされている。
ビアンカがいなくなった。常に護衛をつけ目を光らせていたのだが学校には学校の護衛達が配備されているため、安心していたのは確かだった。
簡単に敷地内には入ってこれないはずだった。
嫌な予感がする。
フェリックス自身はすぐに門へ駆け出した。
門番に怪しい馬車が通ったか聞いたがもちろんそんな馬車は通らない。
もしかしたら裏門から、業者が?
そう思い学校で出入りしている業者を調べるように頼む。
自らも裏門へ回り、門番に話を聞いたら何台もの馬車の出入りがあったと話した。
食堂があるため食材の運搬や備品の搬入、業者の打ち合わせなど裏門は頻繁に出入りをしているが必ず許可証を発行されていていつ誰が通ったか全て記帳されていた。
ビアンカの友達のミーシャ達は猫を助けるために人を呼びに行っている間に起こった失踪に呆然としていた。
「え?ビアンカがいない?」
「どこに行ったの?」
「探さなきゃ!」
ミーシャはオリエに少しだけ話を聞いてはいた。
ビアンカは継母にもしかしたら狙われているかもしれない。だから常に護衛がいて彼女を見守っていると。ただ、学校内はしっかりと巡回されているし警備員も配置されていて安心できるだろうとのことだった。
「わ、わたしがしっかりビアンカのそばにいてあげればこんなことにならなかったのに……」
ビアンカの失踪の報告を聞いたオリエ達も学校へ駆けつけていた。
「ミーシャ、悪いのはビアンカを連れ去った犯人よ。貴女達のせいではないわ」
オリエもフェリックス達と合流して捜索を始めた。まだ犯人は断定できないが、男が連れ去ったこと、そのそばに女性がいたとの証言をとっていた。
その女性の容姿からミラー伯爵夫人だろうと思われた。
オリソン国での手がかりはなく、継母が何処にいるのか掴めないままいた。
父である公爵が捕まり、娘な継母は一人大金を隠し持って逃げ出した。
彼女の性格を考えればビアンカを今もなお逆恨みして狙うだろうと考えられ常に護衛をつけていた。
なのに安全だと思われていた学校に忍び込みビアンカを連れ去った。
「絶対に見つけ出す」
フェリックスは馬車の行方を追った。
怪しい業者を見つけ出すのに手間取っている間に………
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
ミラー伯爵は妻であるビアンカの継母、セシリナの行方を追ってオリソン国へとやってきていた。
離縁はまだしていないが、彼女を守るためではない。
殺されたアーシャ、虐待され続けたビアンカへの贖罪は自分も同じ罰を受けることだと思っていた。
だからこそ離縁せずにミラー伯爵家の妻としてセシリナの罪を問うつもりだ。
夫である自分も、妻を見逃し続けた罪を償うつもりだった。
再婚した時に愛などなかった。
公爵家に脅され、無理やり再婚させられた。
『残された娘が可愛くないのか?大切ではないのか?君の妻のようになるかもしれないぞ』
カルソン公爵の言葉は、ミラー伯爵を脅すには効果的だった。
そしてもしかしてアーシャは殺されたのでは?との考えが消えることはなかった。
事故死で証拠などない。もしあったとしても公爵家が証拠など簡単に消し去るだろう。
継母のセシリナのビアンカへの態度は冷たく鞭を打つことも知っていた。
『ビアンカなど放っておけばいい。もうあんな娘のことなどどうでもいいのだから』
娘への関心はなく冷たい態度をとった。再婚した妻をとても大切にした。
愛してもいないセシリナに愛を囁き、キスをして彼女を抱く。
心の中ではアーシャにすまないと謝りながら。
助けを求める娘の目から顔を背け、冷たい目で娘を見ていた。
それが唯一、ビアンカの命を守り助けるのだと信じて。
そしてアーシャと仲の良かったクーパー侯爵家がビアアンカを助けると名乗り出てくれた。
セシリナには邪魔な娘を家から追い出すためだと説明した。
セシリナは喜んでビアンカを追い出した。
こうしてビアンカはダイガットに嫁いだ。まだ15歳と言う若さで嫁いだ。
もちろん実際は籍は入れていない。形だけの結婚でいずれはカルソン公爵家の手前、ビアンカを白い結婚で屋敷から追い出す予定だった。アーシャの実家のオリソン国へ逃す予定だった。
本当はすぐにでもオリソン国へビアンカを逃せばよかったのだとわかっていた。
それでも、アーシャの面影の残るビアンカを手放すことができなかった。本当はとても娘を愛していた。とても大切な娘だった。
あとはセシリナ達の犯罪を証明するだけ。それができなければカルソン公爵とセシリナを殺して自分も死ぬつもりでいた。
なんとかカルソン公爵を捕えることができた。あとは妻であるセシリナを捕まえるだけなのにしぶとく逃げ回った。
やっとオリソン国にいるセシリナの居場所を見つけ出した。逃げ出されては困る。人を集め、ビアンカに害を及ぼす前に捕えようと向かった。
そして向かった先で見たのは傷だらけで今にも死にそうなほどぐったりとしているビアンカの姿だった。
ビアンカは男に抱えられ小さな屋敷へと運ばれて行った。
そこには嗤いながら歩くセシリナがいた。
「……ビアンカ……」
学校では突然の失踪に騒ついた。
池で溺れた猫を助けるためビアンカが池に飛び込んだと報告が入った。
男性が助け出し医務室へ運んだはず……なのに医務室にはビアンカの姿はなかった。
フェリックスは「探せ」と数人の護衛に命令した。
学校では基本、護衛はつけてはならないことになっていた。たとえ元王族とはいえフェリックスはオリソン国では公爵令息でしかない。
ただいざという時に配備はされている。
ビアンカがいなくなった。常に護衛をつけ目を光らせていたのだが学校には学校の護衛達が配備されているため、安心していたのは確かだった。
簡単に敷地内には入ってこれないはずだった。
嫌な予感がする。
フェリックス自身はすぐに門へ駆け出した。
門番に怪しい馬車が通ったか聞いたがもちろんそんな馬車は通らない。
もしかしたら裏門から、業者が?
そう思い学校で出入りしている業者を調べるように頼む。
自らも裏門へ回り、門番に話を聞いたら何台もの馬車の出入りがあったと話した。
食堂があるため食材の運搬や備品の搬入、業者の打ち合わせなど裏門は頻繁に出入りをしているが必ず許可証を発行されていていつ誰が通ったか全て記帳されていた。
ビアンカの友達のミーシャ達は猫を助けるために人を呼びに行っている間に起こった失踪に呆然としていた。
「え?ビアンカがいない?」
「どこに行ったの?」
「探さなきゃ!」
ミーシャはオリエに少しだけ話を聞いてはいた。
ビアンカは継母にもしかしたら狙われているかもしれない。だから常に護衛がいて彼女を見守っていると。ただ、学校内はしっかりと巡回されているし警備員も配置されていて安心できるだろうとのことだった。
「わ、わたしがしっかりビアンカのそばにいてあげればこんなことにならなかったのに……」
ビアンカの失踪の報告を聞いたオリエ達も学校へ駆けつけていた。
「ミーシャ、悪いのはビアンカを連れ去った犯人よ。貴女達のせいではないわ」
オリエもフェリックス達と合流して捜索を始めた。まだ犯人は断定できないが、男が連れ去ったこと、そのそばに女性がいたとの証言をとっていた。
その女性の容姿からミラー伯爵夫人だろうと思われた。
オリソン国での手がかりはなく、継母が何処にいるのか掴めないままいた。
父である公爵が捕まり、娘な継母は一人大金を隠し持って逃げ出した。
彼女の性格を考えればビアンカを今もなお逆恨みして狙うだろうと考えられ常に護衛をつけていた。
なのに安全だと思われていた学校に忍び込みビアンカを連れ去った。
「絶対に見つけ出す」
フェリックスは馬車の行方を追った。
怪しい業者を見つけ出すのに手間取っている間に………
✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎ ✴︎
ミラー伯爵は妻であるビアンカの継母、セシリナの行方を追ってオリソン国へとやってきていた。
離縁はまだしていないが、彼女を守るためではない。
殺されたアーシャ、虐待され続けたビアンカへの贖罪は自分も同じ罰を受けることだと思っていた。
だからこそ離縁せずにミラー伯爵家の妻としてセシリナの罪を問うつもりだ。
夫である自分も、妻を見逃し続けた罪を償うつもりだった。
再婚した時に愛などなかった。
公爵家に脅され、無理やり再婚させられた。
『残された娘が可愛くないのか?大切ではないのか?君の妻のようになるかもしれないぞ』
カルソン公爵の言葉は、ミラー伯爵を脅すには効果的だった。
そしてもしかしてアーシャは殺されたのでは?との考えが消えることはなかった。
事故死で証拠などない。もしあったとしても公爵家が証拠など簡単に消し去るだろう。
継母のセシリナのビアンカへの態度は冷たく鞭を打つことも知っていた。
『ビアンカなど放っておけばいい。もうあんな娘のことなどどうでもいいのだから』
娘への関心はなく冷たい態度をとった。再婚した妻をとても大切にした。
愛してもいないセシリナに愛を囁き、キスをして彼女を抱く。
心の中ではアーシャにすまないと謝りながら。
助けを求める娘の目から顔を背け、冷たい目で娘を見ていた。
それが唯一、ビアンカの命を守り助けるのだと信じて。
そしてアーシャと仲の良かったクーパー侯爵家がビアアンカを助けると名乗り出てくれた。
セシリナには邪魔な娘を家から追い出すためだと説明した。
セシリナは喜んでビアンカを追い出した。
こうしてビアンカはダイガットに嫁いだ。まだ15歳と言う若さで嫁いだ。
もちろん実際は籍は入れていない。形だけの結婚でいずれはカルソン公爵家の手前、ビアンカを白い結婚で屋敷から追い出す予定だった。アーシャの実家のオリソン国へ逃す予定だった。
本当はすぐにでもオリソン国へビアンカを逃せばよかったのだとわかっていた。
それでも、アーシャの面影の残るビアンカを手放すことができなかった。本当はとても娘を愛していた。とても大切な娘だった。
あとはセシリナ達の犯罪を証明するだけ。それができなければカルソン公爵とセシリナを殺して自分も死ぬつもりでいた。
なんとかカルソン公爵を捕えることができた。あとは妻であるセシリナを捕まえるだけなのにしぶとく逃げ回った。
やっとオリソン国にいるセシリナの居場所を見つけ出した。逃げ出されては困る。人を集め、ビアンカに害を及ぼす前に捕えようと向かった。
そして向かった先で見たのは傷だらけで今にも死にそうなほどぐったりとしているビアンカの姿だった。
ビアンカは男に抱えられ小さな屋敷へと運ばれて行った。
そこには嗤いながら歩くセシリナがいた。
「……ビアンカ……」
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