あなたの愛はもう要りません。

たろ

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58話

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 何度鞭で打たれたかわからない。

 打たれたところは真っ赤に腫れ上がり血が滲んでいた。

 制服も破れ痛みと寒さで震えていた。

 そんな姿を男は少し離れたところで哀れみの顔をして見つめていた。

 継母は興奮しているのか楽しそうに嗤っている。

 馬車が止まった。

 継母の手も止まる。

 ホッとしたところに継母が男に命令した。

「ビアンカを降ろしてちょうだい。そしてすぐに地下の倉庫に連れて行ってちょうだい」

「あ、あの、傷の手当ては?服も濡れていますし」

「放っておけば勝手に乾くわ。傷だってそのまましていれば治るでしょう?ねえ?ビアンカ?」

「………」

 答えない私にイラッとしたのか「可愛げがないわね」とチッと舌打ちをされた。

 男は小声で私に話しかけてきた。

「すまないな、金で雇われていてあんたを助けるわけにはいかない。だけど後で毛布と傷薬をこっそり持って行くから待ってな」

 声を出さずにコクンと頷いた。
 見た目は怖そうだし、私を溺れさせて殺そうとしたけど、思ったよりも優しかった。でも、許せないけど。

 薄暗い地下に連れて行かれた。

 倉庫らしく埃っぽいけど木の箱や使わない家具などがいろいろ置かれていた。

 少し壊れかけた椅子を見つけそこに座った。冷たい地面に座るよりはまだマシだ。

 継母の言った通り少しずつ制服が乾いている。だけど体温は奪われ寒くてたまらない。

 それに鞭でたたかれたところが痛くて耐えるのも辛い。

 このまま継母に甚振られながら死んでいくのだろうか。

 私がいなくなったことに気がついてみんな探してくれているだろうとは思う。でもこの場所を見つけ出せた頃にはもう私の体力は失くなっているかもしれない。

 約束通り男がこっそりと毛布と傷薬を持ってきてくれた。
 そしてトレーに水の入ったコップとパンをのせて持ってきてくれた。

 思ったよりも細やかな人だ。

「俺はこれから金を持って逃げる。その前にあんたの居場所を記した紙を学校の生徒に渡しておく。もうしばらくの辛抱だ。俺ができるのはここまでだ、悪く思うなよ」

「………」
 ありがとうと言うべきなのか……悩みつつも頷いたが何も言わなかった。

 男はすぐに地下室を出て行った。

 継母はしばらく来なかった。

 聞き耳を立ててみたけど様子がわからない。

 仕方なく毛布に包まり寒さを凌いでいた。

 ああ、また熱が上がり始めた。

 寒くてたまらない。でも熱のせいか、傷が燃えるように痛い。

 痛みで頭がおかしくなりそうだ。

 座っているのも辛い。でも地面で横になるのも冷たいし痛くて辛い。

 頭がボーっとしてきた。

 このまま死んでしまった方が楽になるかもしれない。

 いつまたあの鞭が私の体を打つのかわからない。その恐怖に耐えながら朦朧としていく。



「ビアンカッ!!」

 忘れてしまいたい大っ嫌いな声。

 もう二度と会うことも話すこともないと思っていた。でも胸が切なくなるくらい……大好きだったの。

 ずっと嫌われていても、いつかまた振り向いてもらえるかもしれないと願っていた……

「………うさま……」











 ◆ ◆ ◆

【裏切られ殺されたわたし。生まれ変わったわたしは今度こそ幸せになりたい。】

 新しい連載を始めました。よろしくお願いいたします。


 今書いているこの話もあと少し。

 最後に父親を出さなきゃ!と書いております。

 そして継母にはしっかり罪を償ってもらいます。

 いつも読んでいただきありがとうございます。
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