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57話
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「や、やめて!」
継母の声だとわかった。
誰か気がついて!
なんとかもがこうとするのにこの手はわたくしの頭を押さえつけている。
「殺しますか?」
男の人の声がする。
「あ……人が戻ってきたわ。助けたフリをして連れて行くわ」
私は池から助け出された。そして男は私を抱えてどこかへ連れて行こうとした。
「た、たす………」
叫ぼうとしたら口を継母に塞がれた。
男は助け出して急いで医務室へ運ぶと友人に伝えた。
「あ、じゃあ、私も……」
友人が慌てて着いてこようとするのを男は「先に行く」と走り出した。
私は継母の手から逃れ声を出そうとしたが「ゴホッゴホッ」と咽せてしまい言葉にならない。
この男は医務室に行くのではなく私を連れ攫おうとしているの!
何も言えない私は心の中で助けて!と叫ぶしかなかった。
でも友人は助け出された私を見てホッとしたのか、そばにいた助けを求めた男子生徒にお礼を言ってそれから少しして医務室へと向かったようだ。
その時私はもちろん医務室にはいなかった。
継母が用意していた馬車に乗せられた。
全身ずぶ濡れで体が震える。
「ちっ、汚いな。馬車が濡れてしまうし池の水が臭くてかなわないな」
男は嫌な顔をしたまま私の手を縄で縛る。
継母は「ビアンカったらずっと護衛がついていてなかなか隙がなくて困ったのよ」と困った顔をして嗤った。
「ど、どうして…ずっと私は……貴女に…狙われないと…いけないの…ですか?」
息が整わずまだ苦しい。だけどどうしても訊いてみたかった。
「どうして?貴女のせいで公爵家は潰れそうなの。お父様は捕まったしわたくしも国を追われ逃げてきたのよ?ふふふっ。お金だけはしっかり隠しておいたから、これからの人生は心配ないし、あとは貴女の幸せをわたくしの手で握りつぶすことしか楽しみがないの」
「……意味が……わからない」
「夫はね、わたくしを愛しているフリをして貴女を邪険に扱い、わたくしの目を逸らしたの。夫が愛しているのはアーシャで娘のビアンカのことも大切に思っていると知った時、わたくしの憎しみは全て貴女へと向かったの。愛していたのに、ずっとずっと愛していたの。やっと彼と結ばれて幸せになれると思っていたのに、目の前には憎っくきアーシャと同じ顔の娘がいるのよ?耐えられるわけがないわ」
両手で自分の体を抱きしめる継母。
そして私を汚い物でも見るかのように見つめた。
「クーパー侯爵家に嫁いでいなくなって気分がスッキリすると思ったのに、貴女がいなくなってとても寂しくなったの」
ニヤリと嗤う継母の笑顔がとても怖かった。
「だって、わたくしを見てビクビクするあの姿がみられなくなったのよ?鞭を打つ相手がいないって寂しいわ。いくら使用人を叩いても満足しないの。やっぱり貴女ではなくては、ね?」
そう言うと馬車の中なのに鞭を持って私を見つめた。
男に「邪魔だから少し端に寄ってて」と言うといつもより短めで小さな鞭を私の太腿へバシンっと打った。
濡れた制服が体に張り付いたまま鞭が何度も打たれた。
声を出せばさらに興奮して強く打たれるのはわかっている。だから食いしばって声は出さない。
「ねぇ?今までは夫に見つからないように見えないところしか打っていなかったけど、もう貴女は逃げられないし、これからはどこを鞭で叩いてもいいのよ?」
ああ、この人は狂っている。
まさか安全な学校にまで忍び込んできて私を害そうとするとは。
周囲から継母のことは言われていたし自分自身も外出する時は警戒していた。
でも学校の中は安全だからと護衛はついていない。
校門の前には警備員もいるし先生方もいる。常にたくさんの生徒がいて、巡回している警備員もいる。
なのに……安心して過ごしていた学校でまさか攫われてしまうなんて……
痛みと寒さの中……必死で声を出さずに歯を食いしばるしかなかった。
フェリックス、お祖母様……オリエ様……誰か助けて……冷たい服が体温を奪っていく……痛みが全身を駆け抜ける。
継母の声だとわかった。
誰か気がついて!
なんとかもがこうとするのにこの手はわたくしの頭を押さえつけている。
「殺しますか?」
男の人の声がする。
「あ……人が戻ってきたわ。助けたフリをして連れて行くわ」
私は池から助け出された。そして男は私を抱えてどこかへ連れて行こうとした。
「た、たす………」
叫ぼうとしたら口を継母に塞がれた。
男は助け出して急いで医務室へ運ぶと友人に伝えた。
「あ、じゃあ、私も……」
友人が慌てて着いてこようとするのを男は「先に行く」と走り出した。
私は継母の手から逃れ声を出そうとしたが「ゴホッゴホッ」と咽せてしまい言葉にならない。
この男は医務室に行くのではなく私を連れ攫おうとしているの!
何も言えない私は心の中で助けて!と叫ぶしかなかった。
でも友人は助け出された私を見てホッとしたのか、そばにいた助けを求めた男子生徒にお礼を言ってそれから少しして医務室へと向かったようだ。
その時私はもちろん医務室にはいなかった。
継母が用意していた馬車に乗せられた。
全身ずぶ濡れで体が震える。
「ちっ、汚いな。馬車が濡れてしまうし池の水が臭くてかなわないな」
男は嫌な顔をしたまま私の手を縄で縛る。
継母は「ビアンカったらずっと護衛がついていてなかなか隙がなくて困ったのよ」と困った顔をして嗤った。
「ど、どうして…ずっと私は……貴女に…狙われないと…いけないの…ですか?」
息が整わずまだ苦しい。だけどどうしても訊いてみたかった。
「どうして?貴女のせいで公爵家は潰れそうなの。お父様は捕まったしわたくしも国を追われ逃げてきたのよ?ふふふっ。お金だけはしっかり隠しておいたから、これからの人生は心配ないし、あとは貴女の幸せをわたくしの手で握りつぶすことしか楽しみがないの」
「……意味が……わからない」
「夫はね、わたくしを愛しているフリをして貴女を邪険に扱い、わたくしの目を逸らしたの。夫が愛しているのはアーシャで娘のビアンカのことも大切に思っていると知った時、わたくしの憎しみは全て貴女へと向かったの。愛していたのに、ずっとずっと愛していたの。やっと彼と結ばれて幸せになれると思っていたのに、目の前には憎っくきアーシャと同じ顔の娘がいるのよ?耐えられるわけがないわ」
両手で自分の体を抱きしめる継母。
そして私を汚い物でも見るかのように見つめた。
「クーパー侯爵家に嫁いでいなくなって気分がスッキリすると思ったのに、貴女がいなくなってとても寂しくなったの」
ニヤリと嗤う継母の笑顔がとても怖かった。
「だって、わたくしを見てビクビクするあの姿がみられなくなったのよ?鞭を打つ相手がいないって寂しいわ。いくら使用人を叩いても満足しないの。やっぱり貴女ではなくては、ね?」
そう言うと馬車の中なのに鞭を持って私を見つめた。
男に「邪魔だから少し端に寄ってて」と言うといつもより短めで小さな鞭を私の太腿へバシンっと打った。
濡れた制服が体に張り付いたまま鞭が何度も打たれた。
声を出せばさらに興奮して強く打たれるのはわかっている。だから食いしばって声は出さない。
「ねぇ?今までは夫に見つからないように見えないところしか打っていなかったけど、もう貴女は逃げられないし、これからはどこを鞭で叩いてもいいのよ?」
ああ、この人は狂っている。
まさか安全な学校にまで忍び込んできて私を害そうとするとは。
周囲から継母のことは言われていたし自分自身も外出する時は警戒していた。
でも学校の中は安全だからと護衛はついていない。
校門の前には警備員もいるし先生方もいる。常にたくさんの生徒がいて、巡回している警備員もいる。
なのに……安心して過ごしていた学校でまさか攫われてしまうなんて……
痛みと寒さの中……必死で声を出さずに歯を食いしばるしかなかった。
フェリックス、お祖母様……オリエ様……誰か助けて……冷たい服が体温を奪っていく……痛みが全身を駆け抜ける。
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