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98話
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フェリックス様は私に話そうとしていたの?
陛下とお祖母様の話を聞きながら心はどんどん沈んでいく。
でも……それは真実を今さら聞かされたからであって、その真実が心に響くことはない。
何度も泣いたし辛かったし、心が壊れそうになった。
私はこの数ヶ月の間、時間をかけて彼への恋心を手放した。
最後はあの卒業式。
彼の声を聞きながら込み上げる涙をグッと堪えた。
卒業パーティーで二人の楽しく踊る姿。
そこで、わずかに残っていた恋心は全て捨て去ることができた。
だから、陛下の話も、お祖母様の怒りも、何も感じない。
ただ、あまりにもお祖母様が陛下に対して強い言葉で話しているので、そのことの方が驚いた。
ーーー大丈夫かしら?不敬にならないかしら?
驚き呆然に取られ固まる私は、なんとか気力を取り戻した。
「お祖母様!」
「ビアンカ?」
興奮していたお祖母様の手をそっと握ると「お祖母様、私のために怒ってくださってありがとうございます」と静かに言った。
「ビアンカは腹が立たないの?陛下やフェリックス、そして……手紙を捨て会わせようとしなかったわたくしに……」
「フェリックス様はミリル殿下のことが好きだったと思います。たとえ演技だとしても、愛情がなければあんなに優しい目でミリル殿下を見ることは出来ません」
「フェリックスは王命に従ったまでだ」
私は首を横に振った。
「陛下、もしも私とフェリックス様にもっと強い絆があれば、互いに信頼し合い、何があってもこの気持ちを手放すことはなかったと思います。私は彼のことを諦めましたし、彼も私を諦め、ミリル殿下を選びました」
フーッと息を吐き出した。
次の言葉は、ずっと最近、繰り返し考えていたことだった。
「このまま何事もなければフェリックス様とミリル殿下は結婚して、この国で仲睦まじく暮らしていたと思います……私はそんな二人を間近で見続けなければならなかったのです」
「そうならないようにカイ達と動いていたのだ」
「でも、絶対大丈夫だとは限らないですよね?フェリックス様もそれはわかっていて受け入れたのだと思います。そして、彼はそのことも受け入れ、私を諦めミリル殿下を選ばれたのです」
フェリックス様なら王太子の地位を捨ててこの国に来たのだから、他に対処の仕方だって出来たはず。
それなのに、陛下の王命を受け入れたのは、多少でもミリル殿下に惹かれたのではないのかしら?
わがままで傲慢、そんなミリル殿下。
だけど、自分に素直で自分の意思を持った人。人を惹きつける力を持っていて、フェリックス様はそんな彼女に惹かれたのだと思う。
「…………君はそう捉えたのか?」
静かに微笑み頷く。
「はい」
「だが、フェリックスは婚約を解消した。ミリル姫は今…まぁ………侯爵家で暴れているようだが、もうすぐ自国へ帰る。フェリックスが君と話をしたいと言ったら?」
「………もうお話しすることはございません」
ーーー恋心は無惨に砕け散ったのですから。
陛下は私を黙ったままじっと見つめていた。その視線に私も目をそらすことなく見つめ返した。
「………ここの料理はとても美味しい。ゆっくり楽しむといい」
陛下は優しくそう言うとお祖母様を見た。
「夫人、君の屋敷のことは、君たちが帰る頃には全て綺麗に片付けておく」
「もちろんですわ。せっかくの楽しい気分を壊されたくはありませんもの」
「わかってる、いろいろと迷惑をかけた」
「ビアンカ嬢、領地の再生を考えているようだな、協力は惜しまないからいつでも言ってくるように」
「ありがたきお言葉をありがとうございます」
私とお祖母様は席を立ち、陛下に深々と頭を下げて見送った。
「俺はやり方を間違えてしまったのかもしれないな」
陛下は頭を掻きながらため息をついた。
陛下とお祖母様の話を聞きながら心はどんどん沈んでいく。
でも……それは真実を今さら聞かされたからであって、その真実が心に響くことはない。
何度も泣いたし辛かったし、心が壊れそうになった。
私はこの数ヶ月の間、時間をかけて彼への恋心を手放した。
最後はあの卒業式。
彼の声を聞きながら込み上げる涙をグッと堪えた。
卒業パーティーで二人の楽しく踊る姿。
そこで、わずかに残っていた恋心は全て捨て去ることができた。
だから、陛下の話も、お祖母様の怒りも、何も感じない。
ただ、あまりにもお祖母様が陛下に対して強い言葉で話しているので、そのことの方が驚いた。
ーーー大丈夫かしら?不敬にならないかしら?
驚き呆然に取られ固まる私は、なんとか気力を取り戻した。
「お祖母様!」
「ビアンカ?」
興奮していたお祖母様の手をそっと握ると「お祖母様、私のために怒ってくださってありがとうございます」と静かに言った。
「ビアンカは腹が立たないの?陛下やフェリックス、そして……手紙を捨て会わせようとしなかったわたくしに……」
「フェリックス様はミリル殿下のことが好きだったと思います。たとえ演技だとしても、愛情がなければあんなに優しい目でミリル殿下を見ることは出来ません」
「フェリックスは王命に従ったまでだ」
私は首を横に振った。
「陛下、もしも私とフェリックス様にもっと強い絆があれば、互いに信頼し合い、何があってもこの気持ちを手放すことはなかったと思います。私は彼のことを諦めましたし、彼も私を諦め、ミリル殿下を選びました」
フーッと息を吐き出した。
次の言葉は、ずっと最近、繰り返し考えていたことだった。
「このまま何事もなければフェリックス様とミリル殿下は結婚して、この国で仲睦まじく暮らしていたと思います……私はそんな二人を間近で見続けなければならなかったのです」
「そうならないようにカイ達と動いていたのだ」
「でも、絶対大丈夫だとは限らないですよね?フェリックス様もそれはわかっていて受け入れたのだと思います。そして、彼はそのことも受け入れ、私を諦めミリル殿下を選ばれたのです」
フェリックス様なら王太子の地位を捨ててこの国に来たのだから、他に対処の仕方だって出来たはず。
それなのに、陛下の王命を受け入れたのは、多少でもミリル殿下に惹かれたのではないのかしら?
わがままで傲慢、そんなミリル殿下。
だけど、自分に素直で自分の意思を持った人。人を惹きつける力を持っていて、フェリックス様はそんな彼女に惹かれたのだと思う。
「…………君はそう捉えたのか?」
静かに微笑み頷く。
「はい」
「だが、フェリックスは婚約を解消した。ミリル姫は今…まぁ………侯爵家で暴れているようだが、もうすぐ自国へ帰る。フェリックスが君と話をしたいと言ったら?」
「………もうお話しすることはございません」
ーーー恋心は無惨に砕け散ったのですから。
陛下は私を黙ったままじっと見つめていた。その視線に私も目をそらすことなく見つめ返した。
「………ここの料理はとても美味しい。ゆっくり楽しむといい」
陛下は優しくそう言うとお祖母様を見た。
「夫人、君の屋敷のことは、君たちが帰る頃には全て綺麗に片付けておく」
「もちろんですわ。せっかくの楽しい気分を壊されたくはありませんもの」
「わかってる、いろいろと迷惑をかけた」
「ビアンカ嬢、領地の再生を考えているようだな、協力は惜しまないからいつでも言ってくるように」
「ありがたきお言葉をありがとうございます」
私とお祖母様は席を立ち、陛下に深々と頭を下げて見送った。
「俺はやり方を間違えてしまったのかもしれないな」
陛下は頭を掻きながらため息をついた。
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