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父。
「ああもう!いい加減にしてくれ!」
ウィリアムはゴードンからの手紙を持ってきた使いの者を怒鳴り上げた。
アイシャはゴードンが引き取ったのだ。もう娘だと思っていない!
ウィリアムは仕事に追われ忙しい合間に煩わしい手紙など読みたくもなかった。
わがままな娘に頭を抱えていた。
王妃は体調を悪くして別邸で療養中。王子はいまだに留学をしている。
陛下自身も仕事に勤しんでいるが、もちろんそれだけでは手が回らない。
宰相をはじめ、大臣たちも王妃の仕事を振り分けられさらに忙しく働いている状況だった。
14歳のアイシャでは王妃の仕事の手伝いをさせるわけにもいかず、体調が悪いなどと嘘か本当かわからない話を鵜呑みにする気にはなれなかった。
常に報告されてきたアイシャの日常はわがままで横暴。子供の頃は素直で明るい娘だった。
アリアとの関係が徐々に悪くなるなか、アイシャは唯一の癒しでもあった。
仕事が忙しいなか、アリアがアイシャを見ると不機嫌になるのを知ってからは王城に連れて行き仕事中はメイドに面倒を見てもらった。
あの楽しそうな笑顔を見るのがとても幸せだった……なのに本人が行きたがらなくなって、屋敷での生活を好むようになった。
だんだん屋敷の使用人たちへのわがまま放題な生活ぶりが報告されるようになった。
妻の姉のロザリアたちがアイシャの面倒を見てくれて感謝しかない。あんなわがままなアイシャを嫌がりもせず見てくれる人なんてなかなかいない。
ゴードンや陛下にはうんざりしていた。
何がアイシャに会えだ!
ウィリアムはイライラしていた。
屋敷の者たちからアイシャが出て行ってやっと平穏な日々を送れると感謝されていた。一体どんな日々を過ごしていたのか。
そういえば……アイシャを王城内で見かけることはあっても声をかけることもなかった。
ウィリアムはゴードンからの手紙を受け取らず追い返した。
だが……もうどれくらいまともに会っていないのだろう……あの時…アイシャは真っ青な顔で……それを俺は怒鳴り上げてしまった……ふとペンの動きを止めアイシャのことを考えてしまった。
「宰相、この書類に目を通していただけますか?」
「ああ、わかった」
部下からの声に急ぎ書類に目を通す。
もうアイシャのことを考えることもなくなった。
日々の仕事と公爵当主としての仕事に追われ、アイシャのことなど頭の隅に追いやられる。
ゴードンが適当に面倒を見てくれているならそれでいい。あと数年もすれば王太子妃になる。そうなれば多少のわがままも周りも気にしなくなるだろう。
本人も少しは大人になるだろうし、今一番頭を抱えているのは愛する妻との関係だった。
あと少し仕事が落ち着けば宰相を引退するつもりだった。息子のマーカスに公爵の地位を譲り自分はアリアと向き合い、もう一度関係を修復したいと願っていた。
ウィリアムは屋敷に帰る暇もなく仮眠をとりながら仕事をした。
そして………
「大変です。ア、アイシャ様が火事で……」
宰相の部屋にノックもせず飛び込んできたゴードンの部下。
「いきなり勝手に入ってくるな!」
ウィリアムは顔見知りのゴードンの部下を一喝した。
「申し訳ありません……ですが……」
「アイシャが今度はなんだ?いい加減にしてくれないか?」
「アイシャ様は……お亡くなりになりました」
◆ ◆ ◆
感想欄そっと開きました。
あと少し。
いつも読んでいただきありがとうございます。
ウィリアムはゴードンからの手紙を持ってきた使いの者を怒鳴り上げた。
アイシャはゴードンが引き取ったのだ。もう娘だと思っていない!
ウィリアムは仕事に追われ忙しい合間に煩わしい手紙など読みたくもなかった。
わがままな娘に頭を抱えていた。
王妃は体調を悪くして別邸で療養中。王子はいまだに留学をしている。
陛下自身も仕事に勤しんでいるが、もちろんそれだけでは手が回らない。
宰相をはじめ、大臣たちも王妃の仕事を振り分けられさらに忙しく働いている状況だった。
14歳のアイシャでは王妃の仕事の手伝いをさせるわけにもいかず、体調が悪いなどと嘘か本当かわからない話を鵜呑みにする気にはなれなかった。
常に報告されてきたアイシャの日常はわがままで横暴。子供の頃は素直で明るい娘だった。
アリアとの関係が徐々に悪くなるなか、アイシャは唯一の癒しでもあった。
仕事が忙しいなか、アリアがアイシャを見ると不機嫌になるのを知ってからは王城に連れて行き仕事中はメイドに面倒を見てもらった。
あの楽しそうな笑顔を見るのがとても幸せだった……なのに本人が行きたがらなくなって、屋敷での生活を好むようになった。
だんだん屋敷の使用人たちへのわがまま放題な生活ぶりが報告されるようになった。
妻の姉のロザリアたちがアイシャの面倒を見てくれて感謝しかない。あんなわがままなアイシャを嫌がりもせず見てくれる人なんてなかなかいない。
ゴードンや陛下にはうんざりしていた。
何がアイシャに会えだ!
ウィリアムはイライラしていた。
屋敷の者たちからアイシャが出て行ってやっと平穏な日々を送れると感謝されていた。一体どんな日々を過ごしていたのか。
そういえば……アイシャを王城内で見かけることはあっても声をかけることもなかった。
ウィリアムはゴードンからの手紙を受け取らず追い返した。
だが……もうどれくらいまともに会っていないのだろう……あの時…アイシャは真っ青な顔で……それを俺は怒鳴り上げてしまった……ふとペンの動きを止めアイシャのことを考えてしまった。
「宰相、この書類に目を通していただけますか?」
「ああ、わかった」
部下からの声に急ぎ書類に目を通す。
もうアイシャのことを考えることもなくなった。
日々の仕事と公爵当主としての仕事に追われ、アイシャのことなど頭の隅に追いやられる。
ゴードンが適当に面倒を見てくれているならそれでいい。あと数年もすれば王太子妃になる。そうなれば多少のわがままも周りも気にしなくなるだろう。
本人も少しは大人になるだろうし、今一番頭を抱えているのは愛する妻との関係だった。
あと少し仕事が落ち着けば宰相を引退するつもりだった。息子のマーカスに公爵の地位を譲り自分はアリアと向き合い、もう一度関係を修復したいと願っていた。
ウィリアムは屋敷に帰る暇もなく仮眠をとりながら仕事をした。
そして………
「大変です。ア、アイシャ様が火事で……」
宰相の部屋にノックもせず飛び込んできたゴードンの部下。
「いきなり勝手に入ってくるな!」
ウィリアムは顔見知りのゴードンの部下を一喝した。
「申し訳ありません……ですが……」
「アイシャが今度はなんだ?いい加減にしてくれないか?」
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◆ ◆ ◆
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あと少し。
いつも読んでいただきありがとうございます。
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