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余命宣告
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頭が重い。
…………胸が苦しい。
ここは何処?勉強しないと……頑張らないと間に合わないのに………眠ってしまっていたみたい………どうしよう……お父様とお母様に捨てられるわ……起きなければ……
アイシャは見慣れない天井を見つめながらなんとか体を起こそうとした。
なのに体が動かない。
重たくて鉛がのっているみたいだ。
頭をゆっくりと動かして回りを見た。
ここは何処?
「………誰か………いませんか」
カラカラに喉が乾いていた。掠れながらもなんとか声を出して人を呼んでみた。
しばらくすると。
「あら?目が覚めたわね、先生!起きましたよ早く来てください!」
優しい声の女性がアイシャを見てホッとした顔をしてから優しくにっこりと微笑んだ。
「喉が渇いたでしょう?」
ベッドからまだ起き上がれないアイシャのために少しずつお水をスプーンで掬い口に入れ飲ませた。
冷たい水がスーッと喉を潤してくれる。
「……美味しい……」
「良かった。貴女、ずっと意識が戻らなかったのよ」
女性は看護師なのだろうか。30代くらいだろうか。髪を後ろに一つ結びした少しキツめの目をした綺麗な女性だった。
「…………え?」
慌てて時計を探した。だけどここには時計はなくただ窓から見る景色は薄暗くなっていた。
「わたし何時間眠っていたのでしょう?早く起きて勉強しないと間に合わない………」
アイシャにとってわずかな時間も大切で無駄にはしたくない。
独り言を呟いてベッドからなんとかフラフラしながらも起き上がり、おぼつかない力の入らない手で掛けられていた毛布を剥ぐとたたみ始めた。
「あ、あの……お世話になりありがとうございました」
ぺこぺこと頭を何度も下げてベッドから出ようとした。
「駄目よ、まだ動ける状態ではないの。しばらくは寝ていないと!」
アイシャの動きを驚いて呆然と見ていた女性は我に返り、アイシャが出て行こうとするのを慌てて止めた。
「で、でも、時間が……」
アイシャはなんとか少しでも早く勉強をしなければと気が焦っていた。
すると部屋に入ってきたのは、白髪混じりの優しそうな白衣を着た男の人でにこにことアイシャに向けて優しく微笑んだ。
「やぁ、やっと目が覚めたね」
そう言うとアイシャのおでこに手を置き熱を測っていた。
「君は4日間も寝ていたんだよ」
「えっ………そんなに………どうしよう?」
アイシャは驚き真っ青な顔をしていた。
「かなり無理をしていたみたいだね。睡眠不足に栄養失調。食欲もなかったみたいだね、胃がやられているよ。そしてこれはとても重要なことなんだが……最近胸が苦しかったことが多かったんじゃないか?」
「胸が苦しいのは睡眠不足が続いていたからだと思います」
アイシャにとって体調が悪いことはいつものことで当たり前で。
最近ではキツくても寝込むわけにもいかないので仕方がないことだとあきられていた。
「………ハア、君の病気はね……色々調べたんだが……」
お医者様はどう話そうか悩んでいるようで間を置いてから話し始めた。
「君はね、弁膜症という病気なんだ。
心臓にある4つの弁のどれかが損なわれる病気なんだよ。弁の損なわれ方の大部分は、弁が開きにくくなるか閉じにくくなるかなんだけど、君の場合は先天的なものなんだけど、しばらくは無症状であることが多いんだよ。
悪化するにつれ心臓がポンプ機能を維持できなくなり、動悸や呼吸困難、むくみといった心不全の症状を呈すんだ。
治療の基本は、外科手術で損なわれた弁を修復するか(弁形成術)、人工弁に取り換えるか(弁置換術)になるんだけど我が国の医療技術ではまだ治すことができないんだ。
このままでは君は長くは生きられない。もし手術を望むなら隣国のルビラ王国に行くしかない。そこなら最新の医療技術がありさらに魔術を組み合わせた手術をしてくれる」
先生が言っていることは頭ではなんとなく理解したつもりだけど、心はついていかない。
「わたしが……心臓病?死ぬのですか?」
「君はまだ14歳だ。数ヶ月隣国へ行って手術をしてリハビリをすれば治る可能性が高い。ただ、手術には莫大なお金がかかるだろう。だが君は公爵令嬢だからご両親に頼めばお金は出して貰えるだろうからすぐに手続きを始めよう」
両親にそんなことは言えない。
だって、わたしは無能で両親にとって迷惑でしかない娘。
また両親に失望されてしまう。
『こんなこともできないの?』
『はああ、どうしてマーカスは優秀なのに……』
お二人の嘆いている言葉を思い出す。
ああ、どうしよう。
なんとか頑張ってきたのに。
やっとお父様に振り向いてもらえると思ったのに。
王太子殿下の婚約者として立派な姿さえ見せられれば少しは認めてもらえるかもしれないと思ったのに。
「………先生、両親は仕事と社交に忙しくてわたしに興味はありません。迷惑をかけずに良い子でいなければならないのです。もしわたしが病気だとわかれば利用価値がなくなります。
殿下の婚約者になって恥ずかしくない立派な妃になり生きることだけがわたしの使命なのです」
4日間も寝込んでいるのに両親がここに来た様子はない。
もし来たのならわたしにそんな話はせずにもう手術の話は進んでいるはずだもの。
アイシャは手をギュッと握りしめて先生を見た。
「手術をしなければあと………何年生きられると思いますか?」
アイシャにとって知りたいのは自分の命の長さだった。助かりたいからではなく、利用価値のなくなった自分がその生きている間どうやって過ごすのか、住むところはあるのか、追い出されてしまうのか、それが知りたかった。
「はっきりとは言えないが早ければ半年、長くても数年だと思う。心臓病はまだ我が国ではなかなか治療が難しいんだ。ルビラ王国には魔術師がまだまだ沢山いる。だから手術に応用されて難しい手術を行うことが出来るんだよ」
先生の言葉をしっかりと訊いた。把握し納得したアイシャは先生に告げた。
「わたし………手術はできません」
「はっ?なぜじゃ?」
医者は驚いた。公爵令嬢にとっては手術代くらい払うことは簡単なことだ。
しかも父親はこの国の宰相として働いている。お金に糸目をつけるわけがない。
「両親は………わたしにお金を使うことはないと思います。だって無能なわたしに出すお金などありません」
アイシャは迷うことなくそう言った。
「……ウィリアムが……娘のための治療費を払わない?そんなわけがないだろう?」
「お父様をご存知なのですか?」
「わしは彼が子どもの頃の主治医だったんだよ」
「そうなんですね。お父様は……お仕事がお忙しい方でほとんど家には帰りませんしわたしの存在すら忘れていると思います。お母様にも、問題など起こさず良い子で聞き分け良くしていなさいといつも言われています。もし、病気のことがわかったら……わたしは………切り捨てられてしまいます」
「………捨て…られる?」
「はい、わたしは兄と違って何も出来ない無能なので利用価値が無くなれば捨てられます」
「誰がそんなことを言ったんだね」
「屋敷の者たちが教えてくれました。どうして両親がわたしに会ってくれないのか分かるか?と。
わたしは無能で何を教わってもまともにできない金食い虫だから食事も服も生かされるだけしか与えて貰えないのだと言われています。
この屋敷に居たければ何も文句を言わず黙ってみんなの言うことだけを聞いて生きていればいいと言われています」
「そんな……君はそれで良いのか?」
「わたしはずっとそうしてみんなの前では息を殺して、邪魔をしないように過ごしてきました。それが普通なのです。だから、両親に高額なお金を出させて迷惑をかける手術は出来ません」
アイシャの握りしめた手は震えていたけど先生へ精一杯の作り笑いをした。
「迷惑をかけないように………死んでいきます」
…………胸が苦しい。
ここは何処?勉強しないと……頑張らないと間に合わないのに………眠ってしまっていたみたい………どうしよう……お父様とお母様に捨てられるわ……起きなければ……
アイシャは見慣れない天井を見つめながらなんとか体を起こそうとした。
なのに体が動かない。
重たくて鉛がのっているみたいだ。
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「………誰か………いませんか」
カラカラに喉が乾いていた。掠れながらもなんとか声を出して人を呼んでみた。
しばらくすると。
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「喉が渇いたでしょう?」
ベッドからまだ起き上がれないアイシャのために少しずつお水をスプーンで掬い口に入れ飲ませた。
冷たい水がスーッと喉を潤してくれる。
「……美味しい……」
「良かった。貴女、ずっと意識が戻らなかったのよ」
女性は看護師なのだろうか。30代くらいだろうか。髪を後ろに一つ結びした少しキツめの目をした綺麗な女性だった。
「…………え?」
慌てて時計を探した。だけどここには時計はなくただ窓から見る景色は薄暗くなっていた。
「わたし何時間眠っていたのでしょう?早く起きて勉強しないと間に合わない………」
アイシャにとってわずかな時間も大切で無駄にはしたくない。
独り言を呟いてベッドからなんとかフラフラしながらも起き上がり、おぼつかない力の入らない手で掛けられていた毛布を剥ぐとたたみ始めた。
「あ、あの……お世話になりありがとうございました」
ぺこぺこと頭を何度も下げてベッドから出ようとした。
「駄目よ、まだ動ける状態ではないの。しばらくは寝ていないと!」
アイシャの動きを驚いて呆然と見ていた女性は我に返り、アイシャが出て行こうとするのを慌てて止めた。
「で、でも、時間が……」
アイシャはなんとか少しでも早く勉強をしなければと気が焦っていた。
すると部屋に入ってきたのは、白髪混じりの優しそうな白衣を着た男の人でにこにことアイシャに向けて優しく微笑んだ。
「やぁ、やっと目が覚めたね」
そう言うとアイシャのおでこに手を置き熱を測っていた。
「君は4日間も寝ていたんだよ」
「えっ………そんなに………どうしよう?」
アイシャは驚き真っ青な顔をしていた。
「かなり無理をしていたみたいだね。睡眠不足に栄養失調。食欲もなかったみたいだね、胃がやられているよ。そしてこれはとても重要なことなんだが……最近胸が苦しかったことが多かったんじゃないか?」
「胸が苦しいのは睡眠不足が続いていたからだと思います」
アイシャにとって体調が悪いことはいつものことで当たり前で。
最近ではキツくても寝込むわけにもいかないので仕方がないことだとあきられていた。
「………ハア、君の病気はね……色々調べたんだが……」
お医者様はどう話そうか悩んでいるようで間を置いてから話し始めた。
「君はね、弁膜症という病気なんだ。
心臓にある4つの弁のどれかが損なわれる病気なんだよ。弁の損なわれ方の大部分は、弁が開きにくくなるか閉じにくくなるかなんだけど、君の場合は先天的なものなんだけど、しばらくは無症状であることが多いんだよ。
悪化するにつれ心臓がポンプ機能を維持できなくなり、動悸や呼吸困難、むくみといった心不全の症状を呈すんだ。
治療の基本は、外科手術で損なわれた弁を修復するか(弁形成術)、人工弁に取り換えるか(弁置換術)になるんだけど我が国の医療技術ではまだ治すことができないんだ。
このままでは君は長くは生きられない。もし手術を望むなら隣国のルビラ王国に行くしかない。そこなら最新の医療技術がありさらに魔術を組み合わせた手術をしてくれる」
先生が言っていることは頭ではなんとなく理解したつもりだけど、心はついていかない。
「わたしが……心臓病?死ぬのですか?」
「君はまだ14歳だ。数ヶ月隣国へ行って手術をしてリハビリをすれば治る可能性が高い。ただ、手術には莫大なお金がかかるだろう。だが君は公爵令嬢だからご両親に頼めばお金は出して貰えるだろうからすぐに手続きを始めよう」
両親にそんなことは言えない。
だって、わたしは無能で両親にとって迷惑でしかない娘。
また両親に失望されてしまう。
『こんなこともできないの?』
『はああ、どうしてマーカスは優秀なのに……』
お二人の嘆いている言葉を思い出す。
ああ、どうしよう。
なんとか頑張ってきたのに。
やっとお父様に振り向いてもらえると思ったのに。
王太子殿下の婚約者として立派な姿さえ見せられれば少しは認めてもらえるかもしれないと思ったのに。
「………先生、両親は仕事と社交に忙しくてわたしに興味はありません。迷惑をかけずに良い子でいなければならないのです。もしわたしが病気だとわかれば利用価値がなくなります。
殿下の婚約者になって恥ずかしくない立派な妃になり生きることだけがわたしの使命なのです」
4日間も寝込んでいるのに両親がここに来た様子はない。
もし来たのならわたしにそんな話はせずにもう手術の話は進んでいるはずだもの。
アイシャは手をギュッと握りしめて先生を見た。
「手術をしなければあと………何年生きられると思いますか?」
アイシャにとって知りたいのは自分の命の長さだった。助かりたいからではなく、利用価値のなくなった自分がその生きている間どうやって過ごすのか、住むところはあるのか、追い出されてしまうのか、それが知りたかった。
「はっきりとは言えないが早ければ半年、長くても数年だと思う。心臓病はまだ我が国ではなかなか治療が難しいんだ。ルビラ王国には魔術師がまだまだ沢山いる。だから手術に応用されて難しい手術を行うことが出来るんだよ」
先生の言葉をしっかりと訊いた。把握し納得したアイシャは先生に告げた。
「わたし………手術はできません」
「はっ?なぜじゃ?」
医者は驚いた。公爵令嬢にとっては手術代くらい払うことは簡単なことだ。
しかも父親はこの国の宰相として働いている。お金に糸目をつけるわけがない。
「両親は………わたしにお金を使うことはないと思います。だって無能なわたしに出すお金などありません」
アイシャは迷うことなくそう言った。
「……ウィリアムが……娘のための治療費を払わない?そんなわけがないだろう?」
「お父様をご存知なのですか?」
「わしは彼が子どもの頃の主治医だったんだよ」
「そうなんですね。お父様は……お仕事がお忙しい方でほとんど家には帰りませんしわたしの存在すら忘れていると思います。お母様にも、問題など起こさず良い子で聞き分け良くしていなさいといつも言われています。もし、病気のことがわかったら……わたしは………切り捨てられてしまいます」
「………捨て…られる?」
「はい、わたしは兄と違って何も出来ない無能なので利用価値が無くなれば捨てられます」
「誰がそんなことを言ったんだね」
「屋敷の者たちが教えてくれました。どうして両親がわたしに会ってくれないのか分かるか?と。
わたしは無能で何を教わってもまともにできない金食い虫だから食事も服も生かされるだけしか与えて貰えないのだと言われています。
この屋敷に居たければ何も文句を言わず黙ってみんなの言うことだけを聞いて生きていればいいと言われています」
「そんな……君はそれで良いのか?」
「わたしはずっとそうしてみんなの前では息を殺して、邪魔をしないように過ごしてきました。それが普通なのです。だから、両親に高額なお金を出させて迷惑をかける手術は出来ません」
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