【完結】え?嫌です、我慢なんて致しません!わたしの好きにさせてもらいます

たろ

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イーサン殿下②

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【記憶を取り戻したカトリーヌ編】

「カトリーヌ様は……いつも静かに過ごされていました。イーサン殿下は悪い噂を払拭しようとカトリーヌ様のそばで守るように過ごされていました」

「わたしはイーサン殿下と一緒にいることをなんとも思っていなかったの?だって嫌われているのよ?今更記憶がないからってなにしてくれているの?頭おかしいんじゃないの?」
わたしは腹が立って思わず関係のないマーヤを責めてしまっていた。

「ご、ごめんなさい、マーヤが悪いわけでもないのに。ただあの殿下がわたしと仲良くしているなんて……死んでもあり得ないと思っていたから」

マーヤは少し考えながらも……

「イーサン殿下はとてもカトリーヌ様を大事にされていました。そしてカトリーヌ様もそれを受け入れていたと思います」

ーー本当に?わたしが?だってあんなに冷たい目でわたしを見ていたのに?

「…あっ……アーシャ様は?イーサン殿下のお気に入りだったわよね?わたしが転んだふりをして連行されて、イーサン殿下がわたしのことを怒っていたわ」

「アーシャ様はカトリーヌ様に対しての態度が問題視されて反省をすることになり転校して行きました」

「反省?そうだったのね」

「カトリーヌ様が記憶をなくしてからはカトリーヌ様に対しての不敬な態度をした人達は厳しく罰せられました」

「ふうん、だったら一番殿下が罰せられるべきじゃない?」




【記憶を失ったカトリーヌ編】

イーサン殿下の何かを言いたそうにしていた顔が頭から離れなかった。

屋敷に帰ると「お母様」がいた。

「学校は大丈夫だった?」

「はい、なんとか過ごすことが出来ました」

「そう良かったわ」

「そういえば、今日わたしのお友達だと言うジャン様にお会いしました。ジャン様は頭が良くて飛び級で学校に入学したそうです。お姉様もそうだったんですよね?」

「そうね、あの子は15歳で高等部を卒業したわ、その後隣国の学校に留学してこの前までこちらに帰ってきていたの。なのにまた別の大学へと行くことにしたのよ。あの子にはこの国は窮屈なのかもしれないわ、いずれはこの侯爵家を継いでもらわないといけないのだけどね」

「わたしはあまり記憶に残っていませんがとても綺麗な方ですよね?とても優しそうな人でした」

「あなたとセシルは7歳も年が離れているから一緒に過ごした時間は短かったかもしれないわね」

ーーだからなのか、あまり「お姉様」と言う感覚がない。まだ「お母様」の方が家族ではないかと感じる。

そして、イーサン殿下の話を振ってみた。

「放課後図書室で勉強をしていたら、イーサン殿下が声をかけてきました」

「……殿下は何か言っていたの?」

「わたしがご挨拶をすると不機嫌そうな顔をして『君はそんな顔を俺に見せるわけがない。何を企んでいる?』と聞かれました」

「企んでいる?どうしてそなことを言ったのかしら?」

「わたしが笑顔でご挨拶をしたからだと思います、そんな顔と言っていましたので」

「二人はあまり仲の良い関係ではなかったの…だからあなたが笑顔を見せて驚いたのかもしれないわ」

「仲がよくない?」

「殿下は素直ではないから」

「素直?ではない……よくわかりませんが」
わたしはイーサン殿下のあの顔が忘れられない。

睨んで怒っていたはずなのに何故かわたしに必死で向ける眼差し。あれはわたしを嫌っているようには見えなかった。
まるで恋慕う人の目。
わたしをではなく、「カトリーヌ」への恋情に見えた。









【イーサン殿下編】

俺はなんでこんなことしか出来ないんだ。

帰宅してすぐに父上に呼ばれた。

「お前はカトリーヌと婚約解消をしたいのか?何故素直にならない。お前がカトリーヌを選んだんだろう?」

「……はい」

父上に怒られている時に一報が入った。

『カトリーヌ様が事故で大怪我をしました』と。

俺は言葉が出なかった。
さっき俺は彼女への苛立ちからキツイ言葉と態度をしてしまった。謝らなければいけないのにどうしていいのか分からなくて父上に怒られていたところだった。

なのに……


「……………」

言葉が何も出なかった。

カトリーヌが怪我?
危険な状態だと聞いて急いで駆けつけた。

みんなが泣いたり彼女のそばで謝ったりしていた。

俺は現実をみたくなくて近くへ行くこともできずに呆然と突っ立っていた。



ーーーーー

なんとか命に別状はなかったが、意識を取り戻したカトリーヌは全てを忘れていたらしい。
ひと月以上自宅療養を続けた。
その間全ての見舞いは断っていた。

もちろん婚約者の俺もその中の一人だった。
父上達も今の状態で会うのは混乱させることになるかもしれないのでそっとしておこうと言われた。

会えないなか、またあの人がカトリーヌのことを俺に言った。

「彼女は記憶をなくしたのだから何も覚えていない、優しくしてあげて欲しい」と。

今まで俺に言っていたことは忘れろと?

俺はカトリーヌが好きで自分自身がどうしていいのかずっと悩んで過ごしてきたのにそれを忘れろと言った。

カトリーヌが心配ででもどうしていいのか分からず過ごした。
そして久しぶりに学校へやってきたカトリーヌがまた男子と仲良く過ごす姿話をみて苛立ちを隠せなかった。

カトリーヌに声を掛けると

「イーサン殿下にご挨拶申し上げます」笑顔で微笑んだ。

俺はその笑顔に一瞬でもドキッとした、だけど彼女が俺に微笑むこと自体がおかしい。
つい不機嫌そうに眉間にシワを寄せた。

「君はそんな顔を俺に見せるわけがない。何を企んでいるんだ?」

「……企む?…とは?」
カトリーヌがキョトンとした顔をする。

「本当に何も覚えていないのか?」

「はい、申し訳ありません。自分が「カトリーヌ」という人だったことは今は受け入れることができました。でも……なにも覚えていませんし企むと言ってもどう企んでいいのかわかりません」

「……本当に?…俺のことを全然おぼえていないのか……すまなかった……体調は…大丈夫なのか?」

「はいお陰様で怪我はなんとか治りました。まだ傷痕は残っていますが、時間が経てば少しずつ薄くなっていくだろうと言われました」

「良かった……」

怪我が治ったことにホッとした。
そして……今までの俺の態度を全て忘れてしまっていることにもホッとした。

『彼女は記憶をなくしたのだから何も覚えていない、優しくしてあげて欲しい』

俺はその言葉を素直に受け入れようと思った。

もう一度二人の関係を一から。

俺はそんなずるいことを考えた。






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