【完結】え?嫌です、我慢なんて致しません!わたしの好きにさせてもらいます

たろ

文字の大きさ
30 / 69

セリーヌ編  初恋。

しおりを挟む
7歳の時初めてイーサン殿下にお会いした。

子供が集まるお茶会にお母様と初めて行った時だった。
人見知りがありみんなの輪に入るのが苦手で一人隅っこでじっとしていた。

「リーゼがいないからつまんない」
わたしは誰とも話せず、チラッとお母様の方を見るとお母様は大人の人達と楽しそうに話をしていた。

退屈だし一人で寂しかったわたしは、お茶会の席を離れて近くにある噴水へと歩いて行った。

我が家にある噴水に比べて豪華で庭園の真ん中に格調高く置かれていた。

小さなわたしは下から見上げて
「うわぁ、綺麗」
青い空に水しぶきがキラキラと輝いていてワクワクしながらずっと見入っていた。

「そんなに綺麗なの?」

後ろから声が聞こえた。

「うん!!」
思わず大きな声で返事をして振り返るとそこにはプラチナブロンドの綺麗な髪で瞳はシルバーで整った顔のイーサン殿下が立っていた。

慌てて「申し訳ありません」と頭を下げて固まっていたら

「気にしないで、ここの噴水とっても素敵だよね。僕も大好きな場所なんだ」

優しい笑顔で話しかけて来てくれた。

人見知りのはずのわたしが思わず興奮して話した。

「はい、とても綺麗です、ずっと見ていたいと思ってしまいました」

「君の名前は?」

「失礼致しました。わたしの名前はシトラー侯爵の娘でセリーヌと申します。本日はお茶会に参加させていただいております」

「母上が子供を集めてお茶会をするので僕も後で少しだけ顔を出すように言われているんだ。
今から行くところなんだけど君もそろそろ席に戻った方がいいのでは?」

そう言ってイーサン殿下がわたしに手を差し出した。

わたしは恐々と手を差し出した。
優しくギュッと握ってくれたイーサン殿下の手はとても暖かくてホッとした。

「行こう」

「はい」

お茶会の席に戻るまでのほんの7分くらいの短い距離だったけど、手を繋いで話をした。

歩いている両脇に咲いている綺麗な花のこと、イーサン殿下が今大好きで読んでいる本の話。

お茶会の席に着いた時、手を離すのが少し残念で、でも席に戻らないといけなくて。

「イーサン殿下、ありがとうございました」
周りの女の子達に

「どうしてイーサン殿下と一緒に来たの?」

「いいなぁ」

なんて言われてわたしはとても嬉しかった。


それからはお母様に頼んでお茶会がある時は出来るだけ出席させてもらった。

もう手を繋ぐことはなかったけど、会えば挨拶を交わすことができる関係になれて誇らしかった。
なのに、イーサン殿下はカトリーヌ様と婚約した。

もしかしてわたしが選ばれるのではないかと内心期待していた。
お父様もお母様も、「セリーヌとイーサン殿下は話をしたりお互い笑顔で挨拶をするくらい仲良しだからもしかしたら婚約もあるかもしれないわ」

「我が家は侯爵家だからイーサン殿下にとっては釣り合いが取れているはずだしセリーヌが選ばれてもおかしくはないだろう」

と言ってくれていた。

子供の集まりのお茶会は、イーサン殿下の婚約者選びや側近候補を選ぶためでもある。
だから親しくなったわたしは第一候補だろうと言われていた。
なのに……ほとんど顔を出したことがなかったカトリーヌ様が選ばれた。

わたしのどこが劣っていたのだろう。

彼女は確かにピンク色の髪がとても綺麗だし顔もとても可愛らしい。思わずわたし達同じ年の女の子も「可愛い」と思ってしまうし、男の子達は彼女に釘付けになる子もいた。

そしてイーサン殿下は……カトリーヌ様をいつも気にしていた。
他の女の子達はみんなイーサン殿下と仲良くなろうとするのにカトリーヌ様は興味がないみたいでイーサン殿下の顔すら見ようとしない。

お菓子を美味しそうに食べたり、青い空を見ていたり気がついたらいつの間にか姿が見えなくなったりしていた。
そんな彼女をいつも目で追っていたイーサン殿下。そしてそんなイーサン殿下をわたしは目で追っていた。
だからイーサン殿下がカトリーヌ様が気になっていることはわかっていた。

でも王子の婚約者は好きとかそんなことで判断することはない。カトリーヌ様は可愛らしいけど王太子妃として資質があるのか疑問視されていた。

見た目と違いとても元気で活発な人だったから。

それよりも令嬢としてはわたしの方が評判も良かった。

所作も知能も全てわたしの方が上だったはず。

なのに陛下も王妃様もそしてイーサン殿下もカトリーヌ様を気に入ってしまった。

わたしはカトリーヌ様に劣るところなどないのに。

お父様もお母様もかなりお怒りだった。
その怒りの矛先はわたしにきた。

「お前が優秀ではないから婚約者になれなかったのだ」
「どうしてもっとイーサン殿下に媚びらなかったの?」

毎日のように両親に罵倒された。

ーーわたしはイーサン殿下に選ばれなかったダメな子なの?あんなに優しかった両親なのにわたしへの態度はとても酷いものへと変わっていった。








しおりを挟む
感想 177

あなたにおすすめの小説

私を家から追い出した妹達は、これから後悔するようです

天宮有
恋愛
 伯爵令嬢の私サフィラよりも、妹エイダの方が優秀だった。  それは全て私の力によるものだけど、そのことを知っているのにエイダは姉に迷惑していると言い広めていく。  婚約者のヴァン王子はエイダの発言を信じて、私は婚約破棄を言い渡されてしまう。  その後、エイダは私の力が必要ないと思い込んでいるようで、私を家から追い出す。  これから元家族やヴァンは後悔するけど、私には関係ありません。

愛すべきマリア

志波 連
恋愛
幼い頃に婚約し、定期的な交流は続けていたものの、互いにこの結婚の意味をよく理解していたため、つかず離れずの穏やかな関係を築いていた。 学園を卒業し、第一王子妃教育も終えたマリアが留学から戻った兄と一緒に参加した夜会で、令嬢たちに囲まれた。 家柄も美貌も優秀さも全て揃っているマリアに嫉妬したレイラに指示された女たちは、彼女に嫌味の礫を投げつける。 早めに帰ろうという兄が呼んでいると知らせを受けたマリアが発見されたのは、王族の居住区に近い階段の下だった。 頭から血を流し、意識を失っている状態のマリアはすぐさま医務室に運ばれるが、意識が戻ることは無かった。 その日から十日、やっと目を覚ましたマリアは精神年齢が大幅に退行し、言葉遣いも仕草も全て三歳児と同レベルになっていたのだ。 体は16歳で心は3歳となってしまったマリアのためにと、兄が婚約の辞退を申し出た。 しかし、初めから結婚に重きを置いていなかった皇太子が「面倒だからこのまま結婚する」と言いだし、予定通りマリアは婚姻式に臨むことになった。 他サイトでも掲載しています。 表紙は写真ACより転載しました。

裏切られた氷の聖女は、その後、幸せな夢を見続ける

しげむろ ゆうき
恋愛
2022年4月27日修正 セシリア・シルフィードは氷の聖女として勇者パーティーに入り仲間と共に魔王と戦い勝利する。 だが、帰ってきたセシリアをパーティーメンバーは残酷な仕打で…… 因果応報ストーリー

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

婚約破棄したその場から、ざまぁは始まっていました

ふわふわ
恋愛
王国随一の名門、アルファルド公爵家の令嬢シャウラは、 ある日、第一王子アセルスから一方的に婚約を破棄される。 理由はただ一つ―― 「平民出身の聖女と婚約するため」。 だが、その“婚約破棄したその場”で、ざまぁはすでに始まっていた。 シャウラは泣かず、怒らず、抗議もしない。 ただ静かに席を立っただけ。 それだけで―― 王国最大派閥アルファルド派は王子への支持を撤回し、 王国最大の商会は資金提供を打ち切り、 王太子候補だったアセルスは、政治と経済の両方を失っていく。 一方シャウラは、何もしていない。 復讐もしない。断罪もしない。 平穏な日常を送りながら、無自覚のまま派閥の結束を保ち続ける。 そして王国は、 “王太子を立てない”という前代未聞の選択をし、 聡明な第一王女マリーが女王として即位する――。 誰かを裁くことなく、 誰かを蹴落とすことなく、 ただ「席を立った」者だけが、最後まで穏やかでいられた。 これは、 婚約破棄から始まる―― 静かで、上品で、取り返しのつかないざまぁの物語。 「私は何もしていませんわ」 それが、最強の勝利だった。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

偽聖女として私を処刑したこの世界を救おうと思うはずがなくて

奏千歌
恋愛
【とある大陸の話①:月と星の大陸】 ※ヒロインがアンハッピーエンドです。  痛めつけられた足がもつれて、前には進まない。  爪を剥がされた足に、力など入るはずもなく、その足取りは重い。  執行官は、苛立たしげに私の首に繋がれた縄を引いた。  だから前のめりに倒れても、後ろ手に拘束されているから、手で庇うこともできずに、処刑台の床板に顔を打ち付けるだけだ。  ドッと、群衆が笑い声を上げ、それが地鳴りのように響いていた。  広場を埋め尽くす、人。  ギラギラとした視線をこちらに向けて、惨たらしく殺される私を待ち望んでいる。  この中には、誰も、私の死を嘆く者はいない。  そして、高みの見物を決め込むかのような、貴族達。  わずかに視線を上に向けると、城のテラスから私を見下ろす王太子。  国王夫妻もいるけど、王太子の隣には、王太子妃となったあの人はいない。  今日は、二人の婚姻の日だったはず。  婚姻の禍を祓う為に、私の処刑が今日になったと聞かされた。  王太子と彼女の最も幸せな日が、私が死ぬ日であり、この大陸に破滅が決定づけられる日だ。 『ごめんなさい』  歓声をあげたはずの群衆の声が掻き消え、誰かの声が聞こえた気がした。  無機質で無感情な斧が無慈悲に振り下ろされ、私の首が落とされた時、大きく地面が揺れた。

【完結】私が愛されるのを見ていなさい

芹澤紗凪
恋愛
虐げられた少女の、最も残酷で最も華麗な復讐劇。(全6話の予定) 公爵家で、天使の仮面を被った義理の妹、ララフィーナに全てを奪われたディディアラ。 絶望の淵で、彼女は一族に伝わる「血縁者の姿と入れ替わる」という特殊能力に目覚める。 ディディアラは、憎き義妹と入れ替わることを決意。 完璧な令嬢として振る舞いながら、自分を陥れた者たちを内側から崩壊させていく。  立場と顔が入れ替わった二人の少女が織りなす、壮絶なダークファンタジー。

処理中です...