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これからどうしようかな。
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「ハア~…………」
わたし、デビュタントを楽しみにしていたのに……あまりの衝撃的な話に言葉も出なかった。
『今』ですらパニックなのに、わたしの5年前って最悪なんじゃない……?
「お父様達は気に病んでるかしら?わたし……どんな態度だった?」
当事者なんだけど、客観的にしか感じないのは多分その出来事はもう終わったことなのだろう。
わたしの中にいるそのことを覚えているもう一人のわたしが冷静さを保たせている気がする。
ダバサは「旦那様もアンディ様もとても胸を痛めておりました」と教えてくれた。
その先の話まで聞くだけの気力も体力も無くなって「ごめんなさい、とりあえず一人にしてちょうだい」と言って、タバサには出て行ってもらった。
さっきのあの冷たい視線と態度でわかる。
旦那様であるグレイ様とは上手くいっていないのだろう。
まだこの現実を受け入れられないわたしはベッドから出て窓際へと歩いた。
知らない部屋、見覚えのない外の景色。だけど何故か体が覚えている。
クローゼットの場所も浴室も、わたしの思い出の髪飾りの場所も。
机の引き出しの二番目を開けると、そこにはハンカチで包んだ古い髪飾りが入っていた。
年月が物語っている。わたしの覚えている時より少し古めかしく感じた。やはり5年が経っているのね。
お母様が亡くなる前に買ってくれた髪飾り。王宮に呼ばれて子供達のためのお茶会に行った時に付けていた髪飾りを遊んでいて失くしてしまった。
悲しくて必死で探して回っていたら迷子になった。その時に「何してるんだ?」と知らないお兄さんが声をかけてくれた。
わたしはその時8歳でそのお兄さんは、わたしよりもずっと年上で騎士見習いをしていた。
「髪飾りがなくなったの」
泣きながら話すとしばらく黙っていたお兄さん。
「どこで落としたのかわからないのか?」
「わかんない」
「じゃあ………一緒に探そう……ほら、泣くなよ」
お兄さんはぶっきらぼうにそう言うとわたしの頭をくしゃっとして「失くしたら怒られるのか?」と聞いた。
「怒ったりしないわ。お父様もお兄様も優しいもの。だけどお母様が亡くなる前に買ってくださった大切な髪飾りなの」
「だったら何があっても探さなきゃいけないな」
お兄さんはわたしと一緒に必死で探してくれた。泣いてばかりのわたしに「泣くな!」「見つけてやるから!」と声をかけてくれた。
結局見つからずに周りの大人達に居なくなったことを心配されて探し回られていた。
「どこに行ってたんだ!」
「心配したんだから!」
お父様やお兄様にしこたま怒られた記憶しかない。
一緒に探してくれたお兄さんはいつの間にかいなくなっていた。
そして髪飾りをもう諦めるしかないと思っていた1週間後に王都にあるタウンハウスに髪飾りが届けられていた。
あのお兄さんが探して届けてくれたのだろう。
だけどお礼も言えず、そしてどんな顔だったかも今でははっきりと覚えていない。
その髪飾りがここにある。そして不思議に体が場所を覚えている。知らない部屋なのに。
それはわたしがここで5年間暮らしたということなのだろう。
「はあああ~、これからどうしたらいいのかしら?」
わたしは大きなため息をついた。
◇ ◇ ◇
ーーーー記憶を失うまえの話ーーーー
結婚式すら挙げない書類にサインするだけの結婚は、ティアにとって無機質なものだった。
親に売られたという意識がどうしても邪魔をしてグレイとの結婚の日々は淡々と過ぎて行った。それに……男性が怖いという思いがティアの気持ちをさらに頑なにした。
朝食だけは顔を合わせて食べることが結婚前の約束になっていたので、グレイが屋敷にいる時は朝だけは顔を合わせた。
そう、顔を合わせるだけでただ同じ部屋で同じものを食べるだけでまともに話すことがなかった。
まだ一度も同じ部屋で共に夜を過ごすこともない白い結婚の二人。
ティアは普段おしゃべりなのにグレイに対しては話しかける気すらなかった。ただ二人っきりの無言の中の朝食は息苦しいだけのものだった。
この屋敷にはグレイと使用人しか住んでいない。
侯爵夫婦はティアとの結婚前から領地運営をしながらのんびりと田舎暮らしをしていた。
グレイは騎士団に所属して王都の街であるミルフォードに暮らしていた。
ティアの実家のタウンハウスのあるバレール街とは少しだけ距離がある。結婚して2ヶ月が経つがいまだに実家に顔を出すことはなかった。
唯一タバサだけを嫁入りの時についてきてもらったが、捨てられたという思いから実家への想いも壊れてもう会いたいとすら思わなかった。だからと言ってこの屋敷もかなり居心地が悪かった。
一方グレイは………
「ティアは今日は何をして過ごしていた?」
グレイは執事に毎日彼女の屋敷での様子を聞く。
「奥様は部屋から出ようといたしません」
「そうか……この屋敷に来て笑顔を見せてはくれない」
「グレイ様……もう少し奥様に優しく話しかけるとかその………ムスッとした無表情な顔をどうにかするとかしないとずっと怖がられたままだと思います」
「俺が悪いのか?俺なりにティアとの関係をなんとかしようとは努力をしているつもりだ。だがティア本人が俺と話そうとしないのだから仕方がないだろう?」
「……………どっちもどっちですけどね……」
執事は朝食の時の二人の様子を思い出しため息をつくしかなかった。
「ところで、メイドの数人がティア様に対して嫌がらせを行なっているようです」
「嫌がらせ?」
「はい……非常にお伝えしにくいのですが……お二人の関係が上手くいっていないことは屋敷の者たちは理解しております……なので……ティア様を奥様と認めず、その、お世話すら放棄する者が数人おりまして………」
「ティアに何かしているというのか?」
「……わたしが把握しているのは……まともな食事を出さなかったり、お世話すら放棄しております。あえて部屋から出さないように酷い言葉で奥様を罵ったりしたようです」
「食事?」
「冷たい料理を態とだしたり、固いバンや残り物をだしていたみたいです」
「朝食の時はまともだったはずだが?」
「………それも奥様の料理には……その…腐った肉をだしたり、味付けのスパイスを多く使ったりとしていたことがわかりました」
「そいつらはどうしている?何故今頃わかったんだ?」
「メイドとして共に付いてきたダバサからの訴えがありまして、調査を行いました」
「部屋から出さないで罵ったのは誰だ?」
「メイド長です」
「メイド長?彼女は俺が幼い頃からこの屋敷に仕えてくれている優秀で心優しい人だ。そんなことをする訳がないだろう?」
「グレイ様に忠実だからこそ奥様の態度やグレイ様との不仲が許せなかったのだと言っておりました。『落ちぶれた伯爵家の娘が大切なグレイ様の嫁に来たのも許せないのにあの厚かましい態度も許せなかった』のだと言っておりました」
「ティアは何か傲慢な態度をとっていたのか?」
「わたしから見てもそんな態度ではありませんでした。ただ……閨を共にされず愛されていないティア様を奥様と認めることができないようです」
「………そうか……」
「わたしがこんなことを言うべきではありませんが……やはり白い結婚のままでは使用人達から軽くみられぞんざいに扱われてしまうようです。ティア様を大切に思われるならきちんと奥様として扱って差し上げて欲しいです。
少しは侯爵夫人としての仕事も振ることもティア様にとっては必要なのではないでしょうか?」
「…………考えておく。ところでティアに対して嫌がらせをした者達の処分は?」
「グレイ様に委ねてもよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ。こちらで処分しよう、もう二度とティアにそんな態度を取らせないように使用人にはしっかりわからせておこう」
わたし、デビュタントを楽しみにしていたのに……あまりの衝撃的な話に言葉も出なかった。
『今』ですらパニックなのに、わたしの5年前って最悪なんじゃない……?
「お父様達は気に病んでるかしら?わたし……どんな態度だった?」
当事者なんだけど、客観的にしか感じないのは多分その出来事はもう終わったことなのだろう。
わたしの中にいるそのことを覚えているもう一人のわたしが冷静さを保たせている気がする。
ダバサは「旦那様もアンディ様もとても胸を痛めておりました」と教えてくれた。
その先の話まで聞くだけの気力も体力も無くなって「ごめんなさい、とりあえず一人にしてちょうだい」と言って、タバサには出て行ってもらった。
さっきのあの冷たい視線と態度でわかる。
旦那様であるグレイ様とは上手くいっていないのだろう。
まだこの現実を受け入れられないわたしはベッドから出て窓際へと歩いた。
知らない部屋、見覚えのない外の景色。だけど何故か体が覚えている。
クローゼットの場所も浴室も、わたしの思い出の髪飾りの場所も。
机の引き出しの二番目を開けると、そこにはハンカチで包んだ古い髪飾りが入っていた。
年月が物語っている。わたしの覚えている時より少し古めかしく感じた。やはり5年が経っているのね。
お母様が亡くなる前に買ってくれた髪飾り。王宮に呼ばれて子供達のためのお茶会に行った時に付けていた髪飾りを遊んでいて失くしてしまった。
悲しくて必死で探して回っていたら迷子になった。その時に「何してるんだ?」と知らないお兄さんが声をかけてくれた。
わたしはその時8歳でそのお兄さんは、わたしよりもずっと年上で騎士見習いをしていた。
「髪飾りがなくなったの」
泣きながら話すとしばらく黙っていたお兄さん。
「どこで落としたのかわからないのか?」
「わかんない」
「じゃあ………一緒に探そう……ほら、泣くなよ」
お兄さんはぶっきらぼうにそう言うとわたしの頭をくしゃっとして「失くしたら怒られるのか?」と聞いた。
「怒ったりしないわ。お父様もお兄様も優しいもの。だけどお母様が亡くなる前に買ってくださった大切な髪飾りなの」
「だったら何があっても探さなきゃいけないな」
お兄さんはわたしと一緒に必死で探してくれた。泣いてばかりのわたしに「泣くな!」「見つけてやるから!」と声をかけてくれた。
結局見つからずに周りの大人達に居なくなったことを心配されて探し回られていた。
「どこに行ってたんだ!」
「心配したんだから!」
お父様やお兄様にしこたま怒られた記憶しかない。
一緒に探してくれたお兄さんはいつの間にかいなくなっていた。
そして髪飾りをもう諦めるしかないと思っていた1週間後に王都にあるタウンハウスに髪飾りが届けられていた。
あのお兄さんが探して届けてくれたのだろう。
だけどお礼も言えず、そしてどんな顔だったかも今でははっきりと覚えていない。
その髪飾りがここにある。そして不思議に体が場所を覚えている。知らない部屋なのに。
それはわたしがここで5年間暮らしたということなのだろう。
「はあああ~、これからどうしたらいいのかしら?」
わたしは大きなため息をついた。
◇ ◇ ◇
ーーーー記憶を失うまえの話ーーーー
結婚式すら挙げない書類にサインするだけの結婚は、ティアにとって無機質なものだった。
親に売られたという意識がどうしても邪魔をしてグレイとの結婚の日々は淡々と過ぎて行った。それに……男性が怖いという思いがティアの気持ちをさらに頑なにした。
朝食だけは顔を合わせて食べることが結婚前の約束になっていたので、グレイが屋敷にいる時は朝だけは顔を合わせた。
そう、顔を合わせるだけでただ同じ部屋で同じものを食べるだけでまともに話すことがなかった。
まだ一度も同じ部屋で共に夜を過ごすこともない白い結婚の二人。
ティアは普段おしゃべりなのにグレイに対しては話しかける気すらなかった。ただ二人っきりの無言の中の朝食は息苦しいだけのものだった。
この屋敷にはグレイと使用人しか住んでいない。
侯爵夫婦はティアとの結婚前から領地運営をしながらのんびりと田舎暮らしをしていた。
グレイは騎士団に所属して王都の街であるミルフォードに暮らしていた。
ティアの実家のタウンハウスのあるバレール街とは少しだけ距離がある。結婚して2ヶ月が経つがいまだに実家に顔を出すことはなかった。
唯一タバサだけを嫁入りの時についてきてもらったが、捨てられたという思いから実家への想いも壊れてもう会いたいとすら思わなかった。だからと言ってこの屋敷もかなり居心地が悪かった。
一方グレイは………
「ティアは今日は何をして過ごしていた?」
グレイは執事に毎日彼女の屋敷での様子を聞く。
「奥様は部屋から出ようといたしません」
「そうか……この屋敷に来て笑顔を見せてはくれない」
「グレイ様……もう少し奥様に優しく話しかけるとかその………ムスッとした無表情な顔をどうにかするとかしないとずっと怖がられたままだと思います」
「俺が悪いのか?俺なりにティアとの関係をなんとかしようとは努力をしているつもりだ。だがティア本人が俺と話そうとしないのだから仕方がないだろう?」
「……………どっちもどっちですけどね……」
執事は朝食の時の二人の様子を思い出しため息をつくしかなかった。
「ところで、メイドの数人がティア様に対して嫌がらせを行なっているようです」
「嫌がらせ?」
「はい……非常にお伝えしにくいのですが……お二人の関係が上手くいっていないことは屋敷の者たちは理解しております……なので……ティア様を奥様と認めず、その、お世話すら放棄する者が数人おりまして………」
「ティアに何かしているというのか?」
「……わたしが把握しているのは……まともな食事を出さなかったり、お世話すら放棄しております。あえて部屋から出さないように酷い言葉で奥様を罵ったりしたようです」
「食事?」
「冷たい料理を態とだしたり、固いバンや残り物をだしていたみたいです」
「朝食の時はまともだったはずだが?」
「………それも奥様の料理には……その…腐った肉をだしたり、味付けのスパイスを多く使ったりとしていたことがわかりました」
「そいつらはどうしている?何故今頃わかったんだ?」
「メイドとして共に付いてきたダバサからの訴えがありまして、調査を行いました」
「部屋から出さないで罵ったのは誰だ?」
「メイド長です」
「メイド長?彼女は俺が幼い頃からこの屋敷に仕えてくれている優秀で心優しい人だ。そんなことをする訳がないだろう?」
「グレイ様に忠実だからこそ奥様の態度やグレイ様との不仲が許せなかったのだと言っておりました。『落ちぶれた伯爵家の娘が大切なグレイ様の嫁に来たのも許せないのにあの厚かましい態度も許せなかった』のだと言っておりました」
「ティアは何か傲慢な態度をとっていたのか?」
「わたしから見てもそんな態度ではありませんでした。ただ……閨を共にされず愛されていないティア様を奥様と認めることができないようです」
「………そうか……」
「わたしがこんなことを言うべきではありませんが……やはり白い結婚のままでは使用人達から軽くみられぞんざいに扱われてしまうようです。ティア様を大切に思われるならきちんと奥様として扱って差し上げて欲しいです。
少しは侯爵夫人としての仕事も振ることもティア様にとっては必要なのではないでしょうか?」
「…………考えておく。ところでティアに対して嫌がらせをした者達の処分は?」
「グレイ様に委ねてもよろしいでしょうか?」
「ああ、もちろんだ。こちらで処分しよう、もう二度とティアにそんな態度を取らせないように使用人にはしっかりわからせておこう」
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