【完結】どうして殺されたのですか?貴方達の愛はもう要りません  

たろ

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番外編  ブラッド編 ②

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今回の巻き戻しでは、俺はまだ16歳だった。

今回は未亡人達の欲望の玩具になるのはやめて、魔石をいくつか探し出して、それを売って学費にした。

俺の両親は貧乏すぎて、俺のことはほとんど見向きもしていない。


俺が何をしようと自由だった。

俺はエリーゼ様を今回は何があっても助けるために、全てにおいて優秀でいようと努力した。

なのに何故か彼女は殿下の婚約者になっていなかった。

彼女は孤児院で楽しそうに生活をしていた。

孤児のみんなと共に働き、過ごしていた。

学生の間はたまに見守るために、慰問と称して友人達と訪問していた。
もちろんエリーゼ様は俺に気づかないし、俺も彼女の前には近づかないようにしていた。

今のところハウエル公爵やニューベル公爵からの接触はないみたいだ。

俺はとりあえず今回も成績優秀で身体能力も学園一を目指して過ごした。

もちろん今回も「影」になった。

そして20歳の時にやはり彼女の護衛になった。

今回はエリーゼ様は身の安全のためにクロード殿下の宮に寝泊まりしている。

前回とは動きが変わっていた。

それでも彼女が危険なのは変わらない。

前回と同じようにエリーゼ様をつけ狙っているようだった。

今度こそ守る。

俺にとって彼女は守るべき存在だった。

なのに彼女自ら囮になって拐われた。

だが、考えられていた毒とは違う強いものを使われていた。

解毒剤の効きは悪く、彼女を助け出したいのに見守るしかなかった。

殿下達、早く証拠を見つけ出してくれ。

俺はユシリス様とハウエル公爵達の話を聞いてすぐにでもこいつらを殺して助け出したくなった。

それにしても、三人の話は酷すぎる。

それぞれが自分の欲に溺れて、協力しているだけ。



「皇后様、クロード様を頂いてもよろしいですか?」

「ふふふ、その代わりこのエリーゼはわたしが貰うわ。しばらくは玩具としていろんな事をしてみたいの。
男に犯させる。城の中を引きずる。裸にして歩かせるのも楽しそう。髪を丸坊主にしたらどんな顔になるのかしら?あとは何をして遊ぼうかしら?」
皇后様はクスクス笑いながら、楽しそうに話していた。

「皇后様、その時は是非わたしに犯す役を与えてください」
ハウエル公爵が、気持ち悪い声で懇願している。

「まだ死んでいないみたいだから、後で誰かに解毒剤を持ってこらせるわ。少し元気になってもらわないとわたしの玩具として使い物にならないわ。
ねえ、次はヴィクトリアのところへ行きましょう。あの目障りな女はどうやって痛ぶるのがいいのか思いついたのよ。あの孤児院を燃やしたら、ヴィクトリアはどう思うかしら?あんなゴミ屑達が死んでも誰も困らない。逆に寄付代も浮くし、貴族達は喜んでくれるわ」

「確かに貴族として孤児院に寄付や慰問は欠かせません。無駄金が減るなら、全ての孤児院を順番に放火させて行きましょう。古い建物だ。よく燃えるでしょうね。子供達が寝ている夜中にみんなまとめて焼いてしまうのが手っ取り早い」

ハウエル公爵が笑いながら話している。

三人が地下牢から出て行った瞬間エリーゼ様が言った。
「誰かここからわたしを出してください。お願い」


コツン。

壁を叩いて返事をした。


「お願い、孤児院を守って」

エリーゼ様は窓に向かって何度もお願いした。

コツン!

「ありがとう。お願いします」

エリーゼ様は窓に向かって頭を下げた。


それからしばらくエリーゼ様は窓を見つめ続けた。



エリーゼ様は窓を見るのに疲れて壁にもたれ掛かって、キツイ体をなんとかいつでも動ける態勢に整えて、助けを待っていた。

意識が朦朧としているのがわかった。

食事も摂っていないし、解毒剤が効いたといってもまだ本調子ではない。



そしてやっと、許可がおりてエリーゼ様を助けることができた。

「殿下……わたし…は貴方を愛し…ていたんです…」

エリーゼ様のその呟きは何故か俺の心を抉った。

まだ10歳の少女。

俺がこの子に恋などあり得ない。

なのに前回の16歳の時の彼女の姿と重なり、あの時の思いが、助けたいと思った理由が分かりそうになる。

俺は気づかないフリをした。






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