7 / 8
セザン編 君だけを愛しているんだ。③
しおりを挟む
侯爵の頼みはかなりハードだった。
ユリアンの成績は下から数えた方が早い。
ほとんど何もわかっていない。
この半年で成績を上げろ?
本人にやる気がなければ無理だろう。
「ユリアン、君の成績を上げるために頼まれたセザンだ。とにかくスパルタでいくから!」
初めて会った日に彼女にそう言うと涙目になって俯いていた。
他の男ならここで「可哀想だから優しく」と思うのだろうけど、なんとも思わなかった。
とにかくダリアの横にずっといる為にはこの子の成績を上げるしかない。
それからは昼間も夕方も勉強を教えた。
「ここはね、これとこれを合わせて考えたらいいんだ」
「あ、そうか!」
最初の基礎の計算をさせてみたらそれすらわかっていなかった。
まずは基本を全て教えた。
彼女は馬鹿だったのではなくて、基本がわからないのに無理矢理みんなと同じレベルの勉強から始めたのでついていけなかっただけだった。
基礎をしっかり覚えて仕舞えば、あとはどんどん吸収していって、教える方も楽しくなった。
「今度はこれやってみて」
「うん、わかった」
ある日ーー
「セザンってわたしのことわからないからって呆れて見捨てないでくれて、本当に感謝してるの」
「当たり前だろう、君が成績が上がらないと俺が困るからね」
「……え?」
「俺はある人に君の成績を上げるように依頼されたんだ」
「……そうだったんだ……」
ユリアンが少し傷ついた顔をしたのに気付いたが俺はみなかったことにした。
「だから俺が卒業するまでになんとかもっと成績を上げないといけないんだ」
「……どうして?わたしの成績を上げるのに期限があるの?卒業してからも教えてくれないの?」
「俺は卒業したら外交官として働き出すんだ、だから君を教えることはもうできないと思う」
「………わたし……成績が上がったら最後にご褒美欲しい」
「ご褒美?」
「うん、無理なことは言わないよ、でもちょっとだけ我儘聞いて欲しい」
俺は彼女の気持ちなんか知らなかったから、「わかった、ただし俺の出来ることだけだよ」
気軽に約束してしまった。
ーーーーー
何度もユリアンといるところをダリアに見られた。
食堂で食べた後急いで勉強をするので、二人で昼食を摂ることが多くなった。
放課後も図書室で勉強を教えた。
さすがに自宅で二人っきりでいるのは、俺も抵抗があったので教えるのは学園だけと決めていた。
休日は宿題として課題を与えていた。
誤解されている、それはわかっていた。
ダリアに何度告白されても断りの返事しかしていない。態度も冷たい。
彼女が悲しげにしているのに後を追うこともできない。
他の男がダリアに優しく話しかけ、それを笑顔で返す姿を見て、何度拳を握りしめていたか。
俺がちっぽけなプライドの所為で、ダリアの横に並べる男になりたい、人に守ってもらわなければ婚約者になれないならなりたくないと思ったことが、今更ながらこんなに後悔するとは思わなかった。
「好きです」
ダリアは明るく毎日言ってたけど、本当は手がいつも小刻みに震えていた。
俺が断るたびにひどく傷ついているのだってわかっていた。
最低な俺がもうダリアに告白するなんて出来ない。
何度も諦めようとした。
でもやっぱり諦めきれなくて、目がいつもダリアを追ってしまう。
楽しそうに友達と笑うダリア、他の男子と親しく話すダリア。
本当はその笑顔も隣にいる権利も全て俺のものなのに。
俺はダリアの横にいられない自分にイライラしながら過ごすしかなかった。
自業自得なんだ。
卒業式の一週間前からダリアが、朝家に顔を出さなくなった。
「お兄ちゃん、とうとう捨てられたね」
マーガレットは俺に対していつも辛辣だった。
ダリアはマーガレットを妹のように可愛がり、俺がいない時でもダリアは我が家に遊びにきて母とマーガレットと仲良くしていた。
親父は俺と侯爵との約束を知っているから黙って何も言わずにいてくれた。
ただ、ダリアが全く顔を出さなくなった時に一言。
「セザン、お前の気持ちはわかっている。でもそれが相手に伝わっていなければ、お前はただの残酷な冷たい男でしかない、その結果が今なんだろう」
俺は俯くしかなかった。
俺はユリアンの成績を上げることに必死になった。
成績が上がっていくことがユリアン本人もだが、俺も楽しかった。
つい夢中になって彼女に近づきすぎていたのかもしれない。
ダリアが俺に関わらなくなった卒業式までの一週間は俺にとって長く辛いだけの時間だった。
ーーーーー
そして卒業式。
約束の首位での卒業。
そして外交官になったことで、これからは誰からも文句を言われず堂々とダリアの横にいられる。
なのにこの虚しさはなんなんだろう。
5年間彼女にプロポーズをするためだけに必死で頑張ってきたのに、彼女からの告白を断り続け、最後にはもう話しかけられなくなった。
俺を避けているのがあからさまにわかった。
廊下を歩いていると彼女の姿が目に入った。
サッと隠れるのが分かっても声をかけられない。
そして俺の横にはユリアンがニコニコしながらいる。
残りはユリアンの成績。
最終テストは卒業式の3日前。
ユリアンの成績がわかるのは卒業式当日だった。
俺たちの卒業式の間、下級生は試験の結果の用紙を渡される。
その結果次第で俺の運命も変わる。
卒業式で卒業生代表の挨拶をした。
これは卒業生にとって憧れ。
だけど俺にとってはこんなことどうでもよかった。
早くユリアンの結果を知りたかった。
卒業式が終わりユリアンと約束した空き教室に急いで行った。
入った瞬間、
「ユリアン、結果は?」
息を弾ませながら俺はユリアンに早く結果を教えてほしいと顔も見ずに聞いた。
「うん、205名中68番だったよ」
「よし!」
俺は嬉しくてユリアンに「頑張ったな」と褒めた。
「セザン、卒業おめでとう。ずっとそばにいてくれてありがとう、寂しくなっちゃうわ」
「ううん、本当はまだ一緒にいてあげたかったけどごめんな」
俺はユリアンに教えるのが楽しかった。
だから言った言葉だった。
「……だったらずっとわたしのそばにいてよ。セザンに成績が上がったら一つだけ我儘聞いて欲しいとお願いしたでしょう?」
「ユリアン、ごめん。それはできない。
君に教えることはできない。学生の間だから出来たんだ。学園ならたくさん人がいる、だから勉強を教えていても二人っきりになることはない。でも学園を卒業したら教えるのは二人になってしまう、それは無理だ」
「どうして?ずっとそばにいてくれたじゃない?わたしのこと少しでも好いてくれていたと思っていたのは勘違いだったの?」
「悪い、そう思わせていたのなら謝る。君の成績が上がっていくのがつい楽しくて君に近すぎていたのかもしれない」
「そんな……わたしは貴方が好きなの」
「ごめん、俺には好きな子がいるんだ。その子のために学園を首席で卒業したんだ、君の成績を上げるのもその子との婚約を認めてもらうために頼まれたんだ」
「……嘘、だっていつも笑顔でわたしのそばにいてくれたじゃない。わたし達みんなから恋人同士だって噂されていたのよ?わたしも貴方の優しさをずっと愛情だと思っていたわ」
「……悪い、君を恋愛対象だと一度も思ったことはなかった」
「あの優しさはなんだったの?」
「……君は俺にとって成績を上げろと頼まれた子だったから」
「最低!……わたしが勘違いしただけなの?あの優しさも笑顔も?少しもわたしを好きではなかったの?全く?」
「俺はずっと好きな子がいるんだ、それに君には成績を上げるようある人に頼まれたと最初に言ったはずだよ」
俺は確かに彼女にそう言ったはずだった。
それに成績を上げるため必死だったけど、別に彼女に身体的には近づきすぎたことも、触れたこともない。
好きだと思わせるような態度も取ったつもりはなかった。
「……わたし……帰るわ」
彼女は涙を溜めて、恨みがましい瞳をしてキッと睨んで帰って行った。
俺はそれを黙って見送った。
卒業式が終わり、あとは自宅に帰り正装して卒業パーティーに行くことになっている。
俺は隣のクラスのダリアのところへ急いだ。
思ったより時間を取られた。
早くダリアを捕まえなきゃ。
やっと、ダリアに自分から話しかけられる。
俺は気を急きながら彼女の姿を探した。
エリーを見つけて
「エリー!ダリアは?」
「………話しかけないで!」
エリーは俺を睨みあげてそう言うと去って行った。
ダリアと仲が良かった他の友人達も俺を睨んでいる。
確かに勘違いさせていたとは思う。
ユリアンも言っていた。俺と彼女が付き合っていると噂になっていると。
ダリアも勘違いしているのか?
俺はやはり間違っていた…
「エリー、お願いだ、ダリアはどこに行ったか教えてくれ!」
もう一度エリーに聞いた。
「ダリアなら君を探しに行って大泣きしながら教室に帰ってきて、家に帰ったよ」
「そう、あれは可哀想すぎたよな」
「ほんと、もう誰も慰めてあげられなかった」
「大泣?俺を探した?」
ーーあ、ユリアンと二人でいるところを見られたんだ。もしかしてまた勘違いさせた?
仲良く話しているところを見られた?
最後の会話を聞く前に帰ったのかもしれない。
顔面真っ青になった俺はつぶやいた。
「ダリア…」
すぐに教室を出てダリアの家に行こうとした。
「おい待てよ!」
ダリアと幼馴染のバンが俺を引き止めた。
「何?」
「ダリアにあれだけ冷たくして他の女とずっとイチャイチャしておきながら今更ダリアになんの用なんだ?」
「君には関係ないだろう?退いてくれ!」
「もうダリアの傷ついた顔を見たくない、君がずっと彼女を傷つけてきたんだろう?」
急いでいるのに引き止めやがって!
わかってる、わかっているから急いでダリアに会いに行きたい、もう、これ以上勘違いさせたくない。
「俺が好きなのはダリアなんだ!理由があって話すことを禁じられていたんだ!やっと話す許可を得たんだ、邪魔しないでくれ」
「セザン、ダリアは今日貴方に断られたらあの子は……修道院へ行くと決めていたの」
エリーそう言うと、「ダリアをこれ以上泣かせたら絶対許さないから!」
俺は「すまない」そう言って教室を飛び出した。
◆ ◆ ◆
すみません、もう1話あります。
話が長すぎて……
そしてユリアンの名前が間違っていたので訂正しております。
いつも誤字脱字すみません
ユリアンの成績は下から数えた方が早い。
ほとんど何もわかっていない。
この半年で成績を上げろ?
本人にやる気がなければ無理だろう。
「ユリアン、君の成績を上げるために頼まれたセザンだ。とにかくスパルタでいくから!」
初めて会った日に彼女にそう言うと涙目になって俯いていた。
他の男ならここで「可哀想だから優しく」と思うのだろうけど、なんとも思わなかった。
とにかくダリアの横にずっといる為にはこの子の成績を上げるしかない。
それからは昼間も夕方も勉強を教えた。
「ここはね、これとこれを合わせて考えたらいいんだ」
「あ、そうか!」
最初の基礎の計算をさせてみたらそれすらわかっていなかった。
まずは基本を全て教えた。
彼女は馬鹿だったのではなくて、基本がわからないのに無理矢理みんなと同じレベルの勉強から始めたのでついていけなかっただけだった。
基礎をしっかり覚えて仕舞えば、あとはどんどん吸収していって、教える方も楽しくなった。
「今度はこれやってみて」
「うん、わかった」
ある日ーー
「セザンってわたしのことわからないからって呆れて見捨てないでくれて、本当に感謝してるの」
「当たり前だろう、君が成績が上がらないと俺が困るからね」
「……え?」
「俺はある人に君の成績を上げるように依頼されたんだ」
「……そうだったんだ……」
ユリアンが少し傷ついた顔をしたのに気付いたが俺はみなかったことにした。
「だから俺が卒業するまでになんとかもっと成績を上げないといけないんだ」
「……どうして?わたしの成績を上げるのに期限があるの?卒業してからも教えてくれないの?」
「俺は卒業したら外交官として働き出すんだ、だから君を教えることはもうできないと思う」
「………わたし……成績が上がったら最後にご褒美欲しい」
「ご褒美?」
「うん、無理なことは言わないよ、でもちょっとだけ我儘聞いて欲しい」
俺は彼女の気持ちなんか知らなかったから、「わかった、ただし俺の出来ることだけだよ」
気軽に約束してしまった。
ーーーーー
何度もユリアンといるところをダリアに見られた。
食堂で食べた後急いで勉強をするので、二人で昼食を摂ることが多くなった。
放課後も図書室で勉強を教えた。
さすがに自宅で二人っきりでいるのは、俺も抵抗があったので教えるのは学園だけと決めていた。
休日は宿題として課題を与えていた。
誤解されている、それはわかっていた。
ダリアに何度告白されても断りの返事しかしていない。態度も冷たい。
彼女が悲しげにしているのに後を追うこともできない。
他の男がダリアに優しく話しかけ、それを笑顔で返す姿を見て、何度拳を握りしめていたか。
俺がちっぽけなプライドの所為で、ダリアの横に並べる男になりたい、人に守ってもらわなければ婚約者になれないならなりたくないと思ったことが、今更ながらこんなに後悔するとは思わなかった。
「好きです」
ダリアは明るく毎日言ってたけど、本当は手がいつも小刻みに震えていた。
俺が断るたびにひどく傷ついているのだってわかっていた。
最低な俺がもうダリアに告白するなんて出来ない。
何度も諦めようとした。
でもやっぱり諦めきれなくて、目がいつもダリアを追ってしまう。
楽しそうに友達と笑うダリア、他の男子と親しく話すダリア。
本当はその笑顔も隣にいる権利も全て俺のものなのに。
俺はダリアの横にいられない自分にイライラしながら過ごすしかなかった。
自業自得なんだ。
卒業式の一週間前からダリアが、朝家に顔を出さなくなった。
「お兄ちゃん、とうとう捨てられたね」
マーガレットは俺に対していつも辛辣だった。
ダリアはマーガレットを妹のように可愛がり、俺がいない時でもダリアは我が家に遊びにきて母とマーガレットと仲良くしていた。
親父は俺と侯爵との約束を知っているから黙って何も言わずにいてくれた。
ただ、ダリアが全く顔を出さなくなった時に一言。
「セザン、お前の気持ちはわかっている。でもそれが相手に伝わっていなければ、お前はただの残酷な冷たい男でしかない、その結果が今なんだろう」
俺は俯くしかなかった。
俺はユリアンの成績を上げることに必死になった。
成績が上がっていくことがユリアン本人もだが、俺も楽しかった。
つい夢中になって彼女に近づきすぎていたのかもしれない。
ダリアが俺に関わらなくなった卒業式までの一週間は俺にとって長く辛いだけの時間だった。
ーーーーー
そして卒業式。
約束の首位での卒業。
そして外交官になったことで、これからは誰からも文句を言われず堂々とダリアの横にいられる。
なのにこの虚しさはなんなんだろう。
5年間彼女にプロポーズをするためだけに必死で頑張ってきたのに、彼女からの告白を断り続け、最後にはもう話しかけられなくなった。
俺を避けているのがあからさまにわかった。
廊下を歩いていると彼女の姿が目に入った。
サッと隠れるのが分かっても声をかけられない。
そして俺の横にはユリアンがニコニコしながらいる。
残りはユリアンの成績。
最終テストは卒業式の3日前。
ユリアンの成績がわかるのは卒業式当日だった。
俺たちの卒業式の間、下級生は試験の結果の用紙を渡される。
その結果次第で俺の運命も変わる。
卒業式で卒業生代表の挨拶をした。
これは卒業生にとって憧れ。
だけど俺にとってはこんなことどうでもよかった。
早くユリアンの結果を知りたかった。
卒業式が終わりユリアンと約束した空き教室に急いで行った。
入った瞬間、
「ユリアン、結果は?」
息を弾ませながら俺はユリアンに早く結果を教えてほしいと顔も見ずに聞いた。
「うん、205名中68番だったよ」
「よし!」
俺は嬉しくてユリアンに「頑張ったな」と褒めた。
「セザン、卒業おめでとう。ずっとそばにいてくれてありがとう、寂しくなっちゃうわ」
「ううん、本当はまだ一緒にいてあげたかったけどごめんな」
俺はユリアンに教えるのが楽しかった。
だから言った言葉だった。
「……だったらずっとわたしのそばにいてよ。セザンに成績が上がったら一つだけ我儘聞いて欲しいとお願いしたでしょう?」
「ユリアン、ごめん。それはできない。
君に教えることはできない。学生の間だから出来たんだ。学園ならたくさん人がいる、だから勉強を教えていても二人っきりになることはない。でも学園を卒業したら教えるのは二人になってしまう、それは無理だ」
「どうして?ずっとそばにいてくれたじゃない?わたしのこと少しでも好いてくれていたと思っていたのは勘違いだったの?」
「悪い、そう思わせていたのなら謝る。君の成績が上がっていくのがつい楽しくて君に近すぎていたのかもしれない」
「そんな……わたしは貴方が好きなの」
「ごめん、俺には好きな子がいるんだ。その子のために学園を首席で卒業したんだ、君の成績を上げるのもその子との婚約を認めてもらうために頼まれたんだ」
「……嘘、だっていつも笑顔でわたしのそばにいてくれたじゃない。わたし達みんなから恋人同士だって噂されていたのよ?わたしも貴方の優しさをずっと愛情だと思っていたわ」
「……悪い、君を恋愛対象だと一度も思ったことはなかった」
「あの優しさはなんだったの?」
「……君は俺にとって成績を上げろと頼まれた子だったから」
「最低!……わたしが勘違いしただけなの?あの優しさも笑顔も?少しもわたしを好きではなかったの?全く?」
「俺はずっと好きな子がいるんだ、それに君には成績を上げるようある人に頼まれたと最初に言ったはずだよ」
俺は確かに彼女にそう言ったはずだった。
それに成績を上げるため必死だったけど、別に彼女に身体的には近づきすぎたことも、触れたこともない。
好きだと思わせるような態度も取ったつもりはなかった。
「……わたし……帰るわ」
彼女は涙を溜めて、恨みがましい瞳をしてキッと睨んで帰って行った。
俺はそれを黙って見送った。
卒業式が終わり、あとは自宅に帰り正装して卒業パーティーに行くことになっている。
俺は隣のクラスのダリアのところへ急いだ。
思ったより時間を取られた。
早くダリアを捕まえなきゃ。
やっと、ダリアに自分から話しかけられる。
俺は気を急きながら彼女の姿を探した。
エリーを見つけて
「エリー!ダリアは?」
「………話しかけないで!」
エリーは俺を睨みあげてそう言うと去って行った。
ダリアと仲が良かった他の友人達も俺を睨んでいる。
確かに勘違いさせていたとは思う。
ユリアンも言っていた。俺と彼女が付き合っていると噂になっていると。
ダリアも勘違いしているのか?
俺はやはり間違っていた…
「エリー、お願いだ、ダリアはどこに行ったか教えてくれ!」
もう一度エリーに聞いた。
「ダリアなら君を探しに行って大泣きしながら教室に帰ってきて、家に帰ったよ」
「そう、あれは可哀想すぎたよな」
「ほんと、もう誰も慰めてあげられなかった」
「大泣?俺を探した?」
ーーあ、ユリアンと二人でいるところを見られたんだ。もしかしてまた勘違いさせた?
仲良く話しているところを見られた?
最後の会話を聞く前に帰ったのかもしれない。
顔面真っ青になった俺はつぶやいた。
「ダリア…」
すぐに教室を出てダリアの家に行こうとした。
「おい待てよ!」
ダリアと幼馴染のバンが俺を引き止めた。
「何?」
「ダリアにあれだけ冷たくして他の女とずっとイチャイチャしておきながら今更ダリアになんの用なんだ?」
「君には関係ないだろう?退いてくれ!」
「もうダリアの傷ついた顔を見たくない、君がずっと彼女を傷つけてきたんだろう?」
急いでいるのに引き止めやがって!
わかってる、わかっているから急いでダリアに会いに行きたい、もう、これ以上勘違いさせたくない。
「俺が好きなのはダリアなんだ!理由があって話すことを禁じられていたんだ!やっと話す許可を得たんだ、邪魔しないでくれ」
「セザン、ダリアは今日貴方に断られたらあの子は……修道院へ行くと決めていたの」
エリーそう言うと、「ダリアをこれ以上泣かせたら絶対許さないから!」
俺は「すまない」そう言って教室を飛び出した。
◆ ◆ ◆
すみません、もう1話あります。
話が長すぎて……
そしてユリアンの名前が間違っていたので訂正しております。
いつも誤字脱字すみません
282
あなたにおすすめの小説
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
余命わずかな私は、好きな人に愛を伝えて素っ気なくあしらわれる日々を楽しんでいる
ラム猫
恋愛
王城の図書室で働くルーナは、見た目には全く分からない特殊な病により、余命わずかであった。悲観はせず、彼女はかねてより憧れていた冷徹な第一騎士団長アシェンに毎日愛を告白し、彼の困惑した反応を見ることを最後の人生の楽しみとする。アシェンは一貫してそっけない態度を取り続けるが、ルーナのひたむきな告白は、彼の無関心だった心に少しずつ波紋を広げていった。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも同じ作品を投稿しています
※全十七話で完結の予定でしたが、勝手ながら二話ほど追加させていただきます。公開は同時に行うので、完結予定日は変わりません。本編は十五話まで、その後は番外編になります。
顔も知らない旦那様に間違えて手紙を送ったら、溺愛が返ってきました
ラム猫
恋愛
セシリアは、政略結婚でアシュレイ・ハンベルク侯爵に嫁いで三年になる。しかし夫であるアシュレイは稀代の軍略家として戦争で前線に立ち続けており、二人は一度も顔を合わせたことがなかった。セシリアは孤独な日々を送り、周囲からは「忘れられた花嫁」として扱われていた。
ある日、セシリアは親友宛てに夫への不満と愚痴を書き連ねた手紙を、誤ってアシュレイ侯爵本人宛てで送ってしまう。とんでもない過ちを犯したと震えるセシリアの元へ、数週間後、夫から返信が届いた。
※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
※全部で四話になります。
その結婚は、白紙にしましょう
香月まと
恋愛
リュミエール王国が姫、ミレナシア。
彼女はずっとずっと、王国騎士団の若き団長、カインのことを想っていた。
念願叶って結婚の話が決定した、その夕方のこと。
浮かれる姫を前にして、カインの口から出た言葉は「白い結婚にとさせて頂きたい」
身分とか立場とか何とか話しているが、姫は急速にその声が遠くなっていくのを感じる。
けれど、他でもない憧れの人からの嘆願だ。姫はにっこりと笑った。
「分かりました。その提案を、受け入れ──」
全然受け入れられませんけど!?
形だけの結婚を了承しつつも、心で号泣してる姫。
武骨で不器用な王国騎士団長。
二人を中心に巻き起こった、割と短い期間のお話。
結婚式の晩、「すまないが君を愛することはできない」と旦那様は言った。
雨野六月(旧アカウント)
恋愛
「俺には愛する人がいるんだ。両親がどうしてもというので仕方なく君と結婚したが、君を愛することはできないし、床を交わす気にもなれない。どうか了承してほしい」
結婚式の晩、新妻クロエが夫ロバートから要求されたのは、お飾りの妻になることだった。
「君さえ黙っていれば、なにもかも丸くおさまる」と諭されて、クロエはそれを受け入れる。そして――
側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、孤独な陛下を癒したら、執着されて離してくれません!
花瀬ゆらぎ
恋愛
「おまえには、国王陛下の側妃になってもらう」
婚約者と親友に裏切られ、傷心の伯爵令嬢イリア。
追い打ちをかけるように父から命じられたのは、若き国王フェイランの側妃になることだった。
しかし、王宮で待っていたのは、「世継ぎを産んだら離縁」という非情な条件。
夫となったフェイランは冷たく、侍女からは蔑まれ、王妃からは「用が済んだら去れ」と突き放される。
けれど、イリアは知ってしまう。 彼が兄の死と誤解に苦しみ、誰よりも孤独の中にいることを──。
「私は、陛下の幸せを願っております。だから……離縁してください」
フェイランを想い、身を引こうとしたイリア。
しかし、無関心だったはずの陛下が、イリアを強く抱きしめて……!?
「離縁する気か? 許さない。私の心を乱しておいて、逃げられると思うな」
凍てついた王の心を溶かしたのは、売られた側妃の純真な愛。
孤独な陛下に執着され、正妃へと昇り詰める逆転ラブロマンス!
※ 以下のタイトルにて、ベリーズカフェでも公開中。
【側妃の条件は「子を産んだら離縁」でしたが、陛下は私を離してくれません】
あなたの言うことが、すべて正しかったです
Mag_Mel
恋愛
「私に愛されるなどと勘違いしないでもらいたい。なにせ君は……そうだな。在庫処分間近の見切り品、というやつなのだから」
名ばかりの政略結婚の初夜、リディアは夫ナーシェン・トラヴィスにそう言い放たれた。しかも彼が愛しているのは、まだ十一歳の少女。彼女が成人する五年後には離縁するつもりだと、当然のように言い放たれる。
絶望と屈辱の中、病に倒れたことをきっかけにリディアは目を覚ます。放漫経営で傾いたトラヴィス商会の惨状を知り、持ち前の商才で立て直しに挑んだのだ。執事長ベネディクトの力を借りた彼女はやがて商会を支える柱となる。
そして、運命の五年後。
リディアに離縁を突きつけられたナーシェンは――かつて自らが吐いた「見切り品」という言葉に相応しい、哀れな姿となっていた。
*小説家になろうでも投稿中です
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる