【完結】あなたとの離縁を目指します

たろ

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嫌です。別れません

12話

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 泣きながら思った。

 なんでわたしが泣くの?
 ダンの馬鹿!
 本気の女作るなら、子供作るなら、待ってろなんて言うな!

 ふざけんな!


 わたしは拳を握りしめ、「中に入れてください」とアイリスさんにものすごく低い声で言った。

「あ、いや、でも、ちょっと、それは……」
 戸惑うアイリスさんの体と扉の隙間に体を滑り込ませ部屋の中に入って行った。

 思ったよりも中は広い。声の聞こえた方へと向かうと……


 うん?ここ、すごく広い。

 アパートなのに廊下があってそれぞれ扉があってたくさんの部屋がある。

 この3階の部屋全部が外から見ればそれぞれの部屋なのに、中は一つの家になっていた。それにボロく見えたのに中はとても綺麗で全く違う。

「ちょっと、勝手に入らないでちょうだい!」

 アイリスさんがぷりぷり怒りながらわたしの肩を掴んだ。

 その脇にはアイリスさんの息子がいた。

 わたしは一瞬その男の子と視線が合い、一気に冷静になった。

「ごめんなさい……ダンに会いたいんです。ずっと帰るのを待っていたんです。死んだと言われても信じられなくて探していたんです」

 今度は本当に悲しくて涙が出た。

 ダンにはもう新しい家庭がある。わたしのことなんてもう忘れているみたい。

 だけど、リオは元気だと、学校に通い出したと、伝えたい。

 別れるなら、笑顔で……は無理だから、一発、いや十発くらいビンタして文句を言ってから離縁したい。

 あとリオの親権はもちろんわたしがもらう。

 ここまで育てたのはわたしだもん。他人で血は繋がっていなくてもわたしはもうリオの母親だから。

 ただ、リオの本当の母親が生きていたら?どう言う理由で1歳だったリオを引き取ったの?

 勝手に両親は死んだと思っていた。でももし生きていたら?

 ダンと別れてリオもいなくなったらわたしは……

 本当に一人になってしまう。

 わたしは片っ端から扉を開けた。

「ダン!」

 アイリスさんは諦めたのか「勝手にしなさい」とため息をついて言った。

 そして、数年ぶりにダンを見つけた。

「このクソ男!ふざけんな!死んだと聞いたけど、本当に死ねばよかったのよ!この馬鹿!クソ!アホ!リオとわたしがどれだけあんたを待ってたと思ってるの!リオなんか、もうあんたの顔覚えていないからね!」

 わたしは肩で大きく息をしながら叫んでいた。

「クソ野郎!」と。



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