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嫌です。別れません
13話 ダン編
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「マナ……」
『クソ野郎』なんてマナに言われるとは……
だが俺がマナの前に顔を出さなかったのは確かだ。
「すまなかった」
謝罪の言葉しか出ない。
マナがどれだけ苦労してリオを育てたのか俺は魔女から聞いていた。
リオは賢い子だからマナの気持ちがわかっていてあまりわがままを言わず俺に会いたいとも言わなかったらしい。
たまにマナとリオの姿を見たくて迷いの森へ行った。もちろん二人には会わずにすぐに帰った。
魔女は結界の中に入ってきた俺に気がついても素知らぬ顔をしてくれていた。
一度ボロボロになって血だらけで迷いの森へ行った時、魔女が俺を助けてくれた。
それは俺の従兄弟に殺されかけた時だった。死ぬならあの二人の姿を最後に見たい。会ってはいけないはずなのに、意識朦朧としていた俺は迷いの森へと足が向かっていた。
結界の中に入ったことに気がついた魔女が倒れた俺を冷たい目で見た。
『お前は家族を捨てたんだろう?会いにも来ずに何年経っているんだ?』
『三…年……か……』
俺は国のため重要な任務についていた。
そして俺が狙われるということは家族も狙われる。だから二人から離れた。
いや、本当は二人と家族になること自体間違っていたのだ。わかっているのに……止められなかった。
それに二人もそれぞれ狙われていた。
マナはあの忌まわしい神殿の神官長達と、そして祖国から。
リオは俺の義姉の子供で、リオの本当の父親の本妻から狙われていた。
俺の義姉は父親の再婚相手の連れ子だった。愛を知らずに育った俺に愛情というものを教えてくれた義姉。
その義姉は妻のある男と恋をした。そしてリオを産み、産後の肥立が悪くて徐々に弱り治らずに亡くなった。
義姉をなんとか治そうとマナの噂を聞いた俺はマナのいる神殿へと向かい、そこで俺自身の仕事のことで命を狙われ殺されかけた。
義姉を助けることもできず死んでいくのかと諦めかけたとき、死にかけていた俺を助けたのがマナだった。
マナの聖力の癒しの力で俺は瀕死の状態だったのを助けられた。
マナならやはり義姉を助けられる。そう思ってなんとか神殿の強固な守りを突破してマナを連れ出すことに成功した。
国に帰りとりあえず俺の住んでいた村だとマナに伝え住まわせた。そこは幼い頃から俺の従者をしてくれた男の家だった。
俺を守り盾となり亡くなった男の家。
『ダンライド様、あの村の家は隠れ家として最適です。何かあればあそこを使ってください』
従者から亡くなる前に何度かそう言われていた。
その頃は何故だろうと思っていた。
今ならわかる。あの村は王都からそれほど遠くはないが隠れ里と言われる場所で少しいけば迷いの森がある。
迷いの森には魔女がいて結界があり中に入ってしまえば他者を寄せ付けない。
魔女は人を嫌い、関わろうとはしない。
そして魔女は我が侯爵家には多少だが友好的でもあった。
それに俺が入っている組織の活動する場所からも近い。
俺たち侯爵家は代々王家の犬として、そして盾となり守りとなり仕えてきた。
そして従兄弟は俺たち侯爵家に仕える者のはずだった。だが奴は侯爵家を裏切った。
マナの神殿からの依頼を勝手に受け、マナを攫おうとした。さらにリオはリオの父親である国王陛下の妻、王妃から命を狙われていた。
義姉が国王と不義を犯しリオを授かった。二人は真実の愛を貫いたと言ったが、浮気された王妃からすれば勝手に浮気をして子供を作った夫でしかなかった。
しかも王妃は二人とも女の子しか産まれなかったのに、義姉は男の子を産んでしまった。
俺はマナを祖国に連れて帰り、義姉を助けてもらうつもりだった。まずはとりあえずマナと結婚することでマナの戸籍を確保した。
他の人と結婚させてもよかったのだろう。そう思っていたはずなのにマナに助けられ、ほんの少しだがそばにいて過ごした時間があまりにも温かく楽しかったからなのか、他の奴に頼む気になれなかった。
俺の妻なら俺が守ってやれる。そう思ったのは確かだった。
そしてマナに義姉を助けてもらうように頼むつもりが義姉は先に亡くなってしまった。
リオを侯爵家に置いておけば王妃に命を狙われる。俺はリオを連れ出した。
そしてマナに事情を説明せず預けた。
俺はマナに甘えリオを頼み、二人から離れた。
あまり接触しない方が二人のため。
『クソ野郎』なんてマナに言われるとは……
だが俺がマナの前に顔を出さなかったのは確かだ。
「すまなかった」
謝罪の言葉しか出ない。
マナがどれだけ苦労してリオを育てたのか俺は魔女から聞いていた。
リオは賢い子だからマナの気持ちがわかっていてあまりわがままを言わず俺に会いたいとも言わなかったらしい。
たまにマナとリオの姿を見たくて迷いの森へ行った。もちろん二人には会わずにすぐに帰った。
魔女は結界の中に入ってきた俺に気がついても素知らぬ顔をしてくれていた。
一度ボロボロになって血だらけで迷いの森へ行った時、魔女が俺を助けてくれた。
それは俺の従兄弟に殺されかけた時だった。死ぬならあの二人の姿を最後に見たい。会ってはいけないはずなのに、意識朦朧としていた俺は迷いの森へと足が向かっていた。
結界の中に入ったことに気がついた魔女が倒れた俺を冷たい目で見た。
『お前は家族を捨てたんだろう?会いにも来ずに何年経っているんだ?』
『三…年……か……』
俺は国のため重要な任務についていた。
そして俺が狙われるということは家族も狙われる。だから二人から離れた。
いや、本当は二人と家族になること自体間違っていたのだ。わかっているのに……止められなかった。
それに二人もそれぞれ狙われていた。
マナはあの忌まわしい神殿の神官長達と、そして祖国から。
リオは俺の義姉の子供で、リオの本当の父親の本妻から狙われていた。
俺の義姉は父親の再婚相手の連れ子だった。愛を知らずに育った俺に愛情というものを教えてくれた義姉。
その義姉は妻のある男と恋をした。そしてリオを産み、産後の肥立が悪くて徐々に弱り治らずに亡くなった。
義姉をなんとか治そうとマナの噂を聞いた俺はマナのいる神殿へと向かい、そこで俺自身の仕事のことで命を狙われ殺されかけた。
義姉を助けることもできず死んでいくのかと諦めかけたとき、死にかけていた俺を助けたのがマナだった。
マナの聖力の癒しの力で俺は瀕死の状態だったのを助けられた。
マナならやはり義姉を助けられる。そう思ってなんとか神殿の強固な守りを突破してマナを連れ出すことに成功した。
国に帰りとりあえず俺の住んでいた村だとマナに伝え住まわせた。そこは幼い頃から俺の従者をしてくれた男の家だった。
俺を守り盾となり亡くなった男の家。
『ダンライド様、あの村の家は隠れ家として最適です。何かあればあそこを使ってください』
従者から亡くなる前に何度かそう言われていた。
その頃は何故だろうと思っていた。
今ならわかる。あの村は王都からそれほど遠くはないが隠れ里と言われる場所で少しいけば迷いの森がある。
迷いの森には魔女がいて結界があり中に入ってしまえば他者を寄せ付けない。
魔女は人を嫌い、関わろうとはしない。
そして魔女は我が侯爵家には多少だが友好的でもあった。
それに俺が入っている組織の活動する場所からも近い。
俺たち侯爵家は代々王家の犬として、そして盾となり守りとなり仕えてきた。
そして従兄弟は俺たち侯爵家に仕える者のはずだった。だが奴は侯爵家を裏切った。
マナの神殿からの依頼を勝手に受け、マナを攫おうとした。さらにリオはリオの父親である国王陛下の妻、王妃から命を狙われていた。
義姉が国王と不義を犯しリオを授かった。二人は真実の愛を貫いたと言ったが、浮気された王妃からすれば勝手に浮気をして子供を作った夫でしかなかった。
しかも王妃は二人とも女の子しか産まれなかったのに、義姉は男の子を産んでしまった。
俺はマナを祖国に連れて帰り、義姉を助けてもらうつもりだった。まずはとりあえずマナと結婚することでマナの戸籍を確保した。
他の人と結婚させてもよかったのだろう。そう思っていたはずなのにマナに助けられ、ほんの少しだがそばにいて過ごした時間があまりにも温かく楽しかったからなのか、他の奴に頼む気になれなかった。
俺の妻なら俺が守ってやれる。そう思ったのは確かだった。
そしてマナに義姉を助けてもらうように頼むつもりが義姉は先に亡くなってしまった。
リオを侯爵家に置いておけば王妃に命を狙われる。俺はリオを連れ出した。
そしてマナに事情を説明せず預けた。
俺はマナに甘えリオを頼み、二人から離れた。
あまり接触しない方が二人のため。
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